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真実と想いの業  作者: 神無月凍夜
第三章 学科対抗戦編
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40話「開戦」

 夜が明け、現在の時刻は七時。ついでに、今日の日付は六月十五日。今現在梅雨に入っている。雨が非常にウザいので、若干ストレスが溜まっている今日この頃。学科対抗戦が、始まる日だ。


 そんなことを考えつつ、俺は学校へ行く準備をする。持っていく物は、バッグのみ。その中には、銃剣が入っている。……よし、行くか。


 そして、俺は玄関の前に立つ。今日は、凜姉と一緒に学校へ行く。出る時間が一緒だったので、一緒に行こうということになった。琉愛は、もう学校へ行った。


 そうして玄関を出て、学校へ向かう。その途中、凜姉が話しかけて来た。


「ねぇ來くん。來くんは学科対抗戦に出るよね?」


 凜姉は、俺にそう聞いてくる。……聞かなくてもわかっているという表情をしているのに、何故聞いてくるのだろうか。まぁ、とりあえず答えよう。


「……ああ。先鋒だ。凜姉は?」


 俺がそう聞くと、凜姉は指をその艶やかな唇に当てながら言う。


「ん? 私は副将だよ」


 どうやら、凜姉は副将で、大将ではないらしい。……と言うことは、凜姉より強い人が刀剣科(ブレイダー)に居る……と言うことか。


 そして、俺達は学校に着き、俺は一年生の玄関へ、凜姉は三年生の玄関へ行った。その後、教室へ向かう

 教室の中には、文奈と黎と雫とあと一人……瑠璃湊(るりみなと)以外居なかった。ちなみに、瑠璃湊は男。瑠璃色の瞳と、黒色の髪を持つ白色の服を着た美少年だ。俺はそんなことは気にせず、自分の席へと向かう。


 だが、休みでは無い。学科対抗戦に出ない生徒は、学科対抗戦を観戦しなければならない。学科対抗戦は、一番広い戦闘場である第一戦闘場で行われる。その第一戦闘場にて、学科対抗戦に出ない生徒は観戦するのだ。しっかりと観戦席が四階まであるので、全生徒が入ることが出来る。


 学科対抗戦に出る人は、第一戦闘場の中の待機場所にて待機。学科対抗戦の開会式が始まり呼ばれたら中に入るのだ。


 というか、文奈と黎と雫は出るんだな……瑠璃の奴は、比較的無口だがクラスでは俺と雫の次くらいに強い方だからまぁわかるけど。


 そんなことを考えていると、隣に居る文奈からの視線を感じた。


「む……來貴君、今失礼なこと考えてませんでしたか?」


 文奈が、こちらをジト目で見ながら言ってくる。教室の中は静寂に包まれていたので、突然の音にこちらに視線が集中する。だが、瑠璃はすぐに視線を逸らした。対して、黎と雫はまだこちらを見ている。


「……いや、何も」


 俺はとりあえずそう言ったが、文奈はまだジト目で見てきている。黎と雫もまだ見てきている。


 ……その後、なんとか文奈を誤魔化すことが出来た。


 そうして、しばらく無言のまま過ごした。そして、教室の時計の針が八時半を刺す頃だ。


「……そろそろ時間ですね、來貴君」


 隣で暇そうにしていた文奈が、俺に向かって呟く。黎と雫と瑠璃の方を見てみると、現在時刻が八時半だと気付いているようで、武器を持ち第一戦闘場へと行く準備をしていた。


 そして、このクラスにいる俺以外の全員が武器を持ち、教室を出る。……さて。


「……行くか」


 俺も教室を出て、第一戦闘場へ向かった。


 第一戦闘場に着いてからは、瞬華先輩に連れられて執行科(エンフォースメント)一チームの場所へと行く。そこで、俺は先鋒なので先頭にて呼ばれるまで待機した。


 そうして待つこと、十数分。


「さぁさぁ、学科対抗戦を始めますよ!! 皆さん、盛り上がってますか!?」


 刀華先生が、実況室らしき場所でマイクに向かってそう叫ぶ。というか、実況は刀華先生なのか。


 後一つ、言いたいことがあるのだが……それでいいのか?もっとこう、真面目にやるのかと思った。だがまぁ……観客(生徒)達も盛り上がっているようだし、いいのか。


「まずは開会式!! この戦いに出場する生徒の紹介をします!!」


 そして刀華先生がそう言うと、観客達が盛り上がる。


「まずは、刀剣科(ブレイダー)から!! 一チーム先鋒!瑠璃湊!」


 刀華先生がそう言うと、瑠璃は前に出て行った。そして、紹介が続いていき、副将の紹介になった。


「副将! 結月凜!」


 凜姉は、前に出て行った。出て行く前に、俺の方を見て手を振ったのを確認できた。それを確認したのか、瞬華先輩と彩月先輩と百々海先輩が溜息をついていた。凜姉のブラコン具合を知っているからだろうか。


 周りの観客(生徒)は、それに対して手を振り歓声を上げている。その歓声は、とてもうるさかった。そして、俺の耳には、「凜さんが手を振ったぞ。きっと俺に向かってだ!」とか「いや、俺だ!」とか、そういうのが聞こえてくる。……この距離でよく聞こえたなと思った。


 それは置いておいて……まぁ、凜姉は美人で可愛いから人気なんだろうな……重度のブラコンだけど。


 そして、刀剣科(ブレイダー)の二つのチームの紹介が終わった。


「次は、狙撃科(スナイパー)!! 一チーム先鋒!山桜明菜(やまざくらあきな)!」


 狙撃科(スナイパー)の二つのチームの紹介。刀華先生がマイクに向かってそう言うと、山桜という人が前に行った。この人は、天上先輩から聞いた話だと二年のようで、生徒からの歓声が凄い。見た目も美人な方だからだろうな。


「次鋒! 浦坂黎!」


 そして、黎が前に出てきた。黎は、少し緊張しているように見えた。それと、観客席の方からヒソヒソと話しているのが聞こえる。主に……「あれ、女子か?」とか「いやでも……名前は男っぽいぞ」とか。黎は男の娘だぞ。というか、黎は次鋒だったのか。


 そんなことを考えている内に、狙撃科(スナイパー)の二つのチームの紹介が終わった。


「次は、能力科(アビリティ)!! 先鋒!銘仙雫!」


 能力科(アビリティ)の二つのチームの紹介。刀華先生がマイクに向かってそう言うと、雫が前に出てきた。見た限りでは、緊張はしていないようだ。それとついでに、生徒(主に男子)からの歓声が上がっていた。


 そして、一チームの紹介が終わった。


「そして、二チーム!! 先鋒、稲垣文奈!」


 二チーム目。刀華先生がそう言うト、文奈は前に出てきた。生徒からの歓声が凄かった。正直に言うと、とてもうるさかった。


 そうして、能力科(アビリティ)の二チームの紹介が終わった。


 その後、強襲科(アサルト)救護科(リリーフ)指揮科(コンダクター)情報科(インフォメーション)の二つのチームの紹介が終わった。


 そして最後、執行科(エンフォースメント)の二つのチームの紹介だ。


 第一戦闘場の待機場所で、執行科(エンフォースメント)の生徒しか残っていない中、それぞれのチームに分かれて話をしていた。そして、瞬華先輩が口を開く。


「さて、そろそろだね。それじゃ來貴君、呼ばれたら行ってね」

「わかりました」


 俺はそう返事をし、前の方を見据える。……そろそろ、刀華先生の声が響く頃だろうか。


「さぁ、最後になりました!! 執行科(エンフォースメント)一チーム! 先鋒! 結月來貴!」


 呼ばれたので、出て行く。何処に行くかわからなかったが、執行科(エンフォースメント)一チームという看板の後ろだろう。現に、各チームの先鋒はそこの後ろに立っている。


 ちなみに、俺が出て行く際、歓声は……しなかった。だけど、凜姉の視線は感じた。まぁ、仕方ないだろう。俺の顔は世間一般から見れば整っている方だが……如何せん、見た目が中二病だ。なら、強さはどうだ……と言っても俺は一年なので、あまり上級生に強さが知られていない。それ故、俺には何も起こらないのだ。


「次鋒! 明城楓!」


 次鋒の明城が呼ばれた。そして、こちらへ来て俺の後ろに立つ。その時の男子からの歓声が大きかった。うるさかったので、俺は下を見ていた。


「中堅! 亜宮蓮!」


 中堅の亜宮先輩が呼ばれた。こちらへ来る際に聞こえたことを言おう。「無能力者の希望の星」だ。……俺の視界に入った観客席の観客の無能力者がそう言っていた。


「副将! 天上司!」


 副将の天上先輩が呼ばれた。天上先輩が出て行ったとき、野太い歓声が響いた。……これは、脳筋の生徒達だろうか。俺から見える範囲に、脳筋らしき生徒が……一、二、三……その数、十三人。しかも、全員が男だ。……しかも、俺の視界に映らない場所にも脳筋の生徒はいる。その方も合計すると、脳筋の生徒達の数は二十五人を超える。……解説はもう止めよう。


「大将! 東道瞬華!」


 大将の瞬華先輩が呼ばれた。瞬華先輩の名前が呼ばれた瞬間、歓声は最高潮になる。その歓声は、凜姉の時と同じくらいだ。そして、瞬華先輩がこちらへ来たときに歓声は収まった。


「そして、執行科(エンフォースメント)二チーム!! 先鋒! 白凪鉤人!」


 執行科(エンフォースメント)二チームの先鋒である白凪が呼ばれる。白凪が呼ばれたときは、黄色い歓声が響いた。……恐らく、白凪はとてもモテるのだろう。……まぁ、イケメンだし強いし当然……いや、強さに関しては俺の方が強い。


 そして白凪が俺の前の看板の隣の執行科(エンフォースメント)二チームという看板の後ろに来た後、刀華先生の声が響く。


「次鋒! 日鏡光!」


 二チーム次鋒の日鏡先輩が呼ばれる。日鏡先輩が呼ばれたときも歓声はあるが、白凪の時と同じくらいだ。……ただ、凜姉や瞬華先輩とは別の意味で歓声が凄かった。……恐らく、今声を出している生徒はロリコンなのだろう。観客席から「ロリは最高」という声が聞こえた。……俺はその声を聞いて、聞かなかったことにしようかなと思った。


「中堅! 閃竜二!」


 二チーム中堅の竜二先輩が呼ばれる。そして響いた歓声には、二つの特色があった。一つは、天上先輩の時みたいな野太い歓声。これは、脳筋な生徒達だろう。二つ目は、黄色い歓声。これは、竜二先輩が……好きな……女子生徒達の歓声だろう。竜二先輩の筋肉は、ゴリマッチョと言えるか言えないかくらいの量なので、しかも顔も悪くないのでそれなりにモテるのだろう。


「副将! 百々海水月!」


 二チーム副将の百々海先輩が呼ばれる。そして、歓声が響く。その歓声は、凜姉や瞬華先輩ほどでは無かったが、とても熱狂的だった。とだけ言っておく。


「大将! 鳳彩月!」


 二チーム大将の彩月先輩が呼ばれる。そして、歓声が響く。その歓声は、凜姉や瞬華先輩ほどでは無い。だが、百々海先輩よりは歓声が大きく響いている。


 そして、全ての学科のチームの紹介が終わった。


 その後、一回戦の組み合わせが発表される。これは勝ち上がり方式らしい。


「今から、一回戦の組み合わせを発表します。組み合わせは、この実況室らしきところの反対側のモニター?に映し出されます。それでは、スイッチ、オン!」


 刀華先生は、そう言いながらスイッチを押した。俺は、刀華先生がいる実況室の反対側を見てみる。



第一試合:執行科(エンフォースメント)一チームVS指揮科(コンダクター)二チーム


第二試合:強襲科(アサルト)一チームVS救護科(リリーフ)一チーム


第三試合:刀剣科(ブレイダー)一チームVS狙撃科(スナイパー)一チーム


第四試合:能力科(アビリティ)二チームVS情報科(インフォメーション)二チーム


第五試合:救護科(リリーフ)二チームVS能力科(アビリティ)一チーム


第六試合:狙撃科(スナイパー)二チームVS強襲科(アサルト)二チーム


第七試合:指揮科(コンダクター)一チームVS刀剣科(ブレイダー)二チーム


第八試合:情報科(インフォメーション)一チームVS執行科(エンフォースメント)二チーム



 どうやら、俺達執行科(エンフォースメント)一チームは、第一試合らしい。


「第一試合かぁ……」


 瞬華先輩がそう呟いているのが聞こえた。


「第一試合は、十分後です。それまでは、自由にしていたください」

 

 刀華先生の言葉に、各々何処かへ行き始める。俺も、別の場所へと歩き始めた。


(……第一試合が始まるまで暇だな)


 そして、俺は暇なので第一戦闘場から出た――――。





 ――――そうして、十分が経った。第一試合が始まる時間だ。合図があるまでは、第一戦闘場の待機する場所で待機をする。待機所は二つあるので、一つが執行科(エンフォースメント)がいる場所、もう一つが相手がいる場所だ。


「さて、相手は指揮科(コンダクター)の二チームね。負けることは無いと思うけど、油断はしないように。行くよ」


 瞬華先輩の言葉に、俺達は頷く。


「では、先鋒戦を始めます。両チームの先鋒の生徒は、出てきてください」


 刀華先生の声が聞こえ、一気に空気が張り詰めたものになる。


「ほら來貴君、出番だよ?」


 瞬華先輩がそう言って、俺の背中を押してくる。


「……行くか」


 そして、俺は出て行った。第一戦闘場内の歓声は、とてもうるさかった。小学生並みの感想だが、うるさすぎたので、耳を塞いでいた。


「さぁ、学科対抗戦第一回戦第一試合です! まずは、知らない人のためにルールを説明しましょう!」


 どうやら、刀華先生がルールを説明してくれるらしい。一応、全学科の教官が生徒にルールを伝えたから知っている。


「主なルールは四つ! 一つ目は、相手が気絶か降参するまで戦闘は続く。二つ目は、殺す事や致命傷になる攻撃は禁止。三つ目は、武器や能力はなんでもあり。四つ目は、やりすぎたら止めます!」


 ルールは知っているので、特に反応する事は無い。


「両方の生徒の準備は出来たようですね! それでは、早速始めましょう! 審判の荒川先生、お願いします」


 ……審判は怜次か。まぁ、適任だとは思うけど。


「それでは、第一試合先鋒戦を始める。始め!」


 怜次の合図で、第一試合先鋒戦が始まった。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




 來貴と相手の先鋒は、対峙し相手の様子を見る。相手の先鋒は油断なく構えているのに対し、來貴は何も構えなどせずただ立っているだけ。それどころか、來貴は武器すら取り出していない。


 それを隙と見たのか、相手の先鋒は飛び出し攻撃を仕掛けようとする。……だが、その選択は間違っていた。


「隙だらけだぜ!」


 相手の先鋒の一言は、來貴では無く自分の事だとは理解出来ていなかった。


 來貴は、相手の先鋒が攻撃してこようとした時、左拳を引く。そして、相手の先鋒が自分に向かって攻撃しようとすると……。


ドォンッ!


 鈍い音が第一戦闘場内に響き渡った。その音の正体は、來貴の拳。相手の先鋒が拳を振り下ろし攻撃をしようとした際、顔面に拳を叩き込み地へと伏せさせたのだ。相手の先鋒は、この一撃で気絶したのだ。武器を使うまでもなく、來貴の完全勝利だ。


「そこまで! 勝者、結月來貴!」


 怜次のその言葉で、來貴の勝利が確定した。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




「なんと、一撃で決着がついてしまいました! これは、文句なしの完全勝利です!」


 刀華先生の一言で、観客が沸き上がる。対照的に、相手の顔は蒼白としているけど。……とりあえず、戻るか。相手が弱かったから、一瞬で決着がついた。


 そして戻ると、瞬華先輩から「やるじゃん」と言われた。天上先輩からも「一撃で倒すなんて強いな。しかも、拳か……」と言われた。


 ――その後、次鋒の明城も勝利し、中堅の亜宮先輩も勝利して、一回戦はストレート勝ちに終わった。


「さあ、次は第二試合ですね!」


 刀華先生はマイクに向かってそう言う。とりあえず、第一回戦が終わるまで見ておこう――――。





 ――――その後、第一回戦が終わった。結果として、執行科(エンフォースメント)二チームも、無事一回戦を勝ち抜き第二回戦に行った。


 今日は、第一回戦しかしないので、今は一人で帰っている途中だ。文奈とは、途中で分かれた。凜姉は、先に帰っている。


 そして、雲がかかった夜空を見ながら、俺は歩く。


「――ッ!?」


 咄嗟に俺は、その場から飛び退く。そして、俺がさっき居た場所には、槍が刺さっていた。

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