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真実と想いの業  作者: 神無月凍夜
第三章 学科対抗戦編
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36話「教官の特訓 ~本質とは~」

 ――――昨日は、ちょっと特訓してから帰った。帰った後は、いつも通りに過ごした。


 そして現在は、授業が全て終わり第一訓練場にいる。第一訓練場……というのは、訓練をするためだけの場所。戦闘も出来る。戦闘場とは違う場所だ。第一という名前があるので、第二第三もある。最大で第十まである。


 そこで、俺は今執行科(エンフォースメント)の科員達と校長……いや教官の話を聞いている。……いや、ちょっと違うな。今から教官が話し始めるから、今から聞く、だな。


「……今日の授業で、能力の"本質"についてやりましたよね?それについての説明をお願いします、來貴君」


 教官の発言の通り、今日の三限目に能力の本質を学んだ。隣の文奈がその事にいろいろと驚いていた事が印象に残っている。


 ……能力の本質か。俺を当てたことは気にしないことにして、とりあえず答えよう。そして、俺は口を開く。


「……能力の本質とは、能力の本質。その本質を理解すると、理解する前と比べて二倍以上もの力を得る。これは才能によるモノではないので、努力をすれば能力を持っている者は誰でも出来る。そして、本質を理解したということは能力を使いこなしたと言うことになる。その証として、能力の名前が二つに分けられる。ただし、補助系の能力は能力が二つに分けられない。そのため、最初から本質を理解しているということになる。……ただ、15歳未満の者が本質を理解すると、身体が能力に耐えられず死ぬ。……このくらいでいいでしょうか?」


 とりあえず、能力の本質についてわかっている全ての事は言った。能力の本質は能力の本質だとかいう意味わからない事を言ったと思うが、簡単に言うとその能力の神髄だ。その能力を真に生かすための、方法。それが"本質"であり、『本質理解』をしていない能力は、『本質理解』をしている能力には勝てない。……勝てる場合も稀にあるけど。


 能力の本質を理解することを『本質理解』と呼び、理解しようとしたら凡人だと二ヶ月はかかる。……筋がいい人だと最短で二週間で本質を理解することが出来る。能力の本質を理解すると、身体の中で能力が強くなっていくのを感じる。頭の中に、名前が二つに分けられた能力が浮かび上がる。例えば、こう……覇壊の轟き(オーバードライブ)から覇壊の轟き(オーバー・ドライブ)みたいな感じで。


「はい、大丈夫です。それで、今日は一年生の楓さんと鉤人君に『本質理解』をしてもらいます。学科対抗戦までに、なんとしてでも『本質理解』をしてください」


 ……白凪と明城は筋がいいから、本質理解はすぐに出来ると思うが……俺はどうしようか。


「あの、教官。さっきの発言に、結月が含まれていなかったんですが……」


 白凪が、教官にそう指摘する。他の科員達もうんうんと頷いている。……まぁ、白凪の言っていることもわかる。俺も一年生なのに名前がその中に入っていなかったもんな。


「それについては、大丈夫です。來貴君は、もう既に能力の()()()()()()()()()()


 教官のその言葉に……俺以外の執行科(エンフォースメント)の科員全員が驚愕した。そして、全員が俺の方を見る。……とっても視線が痛いので、止めていただきたい。


 いやそれより……いつバレた?俺が能力の本質理解をしているのは本当だが……それを教官にいったことは無い。


(……あの時か)


 俺が、校長と模擬戦をしたとき。恐らく、その時に俺が能力の本質理解を既にしていると思ったのだろう。……本気を出していないとは言え、バレたか。教官も本気を出していないのだろうけどな……。


「……來貴君。それは本当?」


 瞬華先輩が、ジト目で俺の事を見ながら聞いてくる。他の科員達も、俺と瞬華先輩の会話に耳を傾けているようだ。


「……本当です」


 その事を伝えると、瞬華先輩は溜息をつきながら彩月先輩の元へと行った。


 それを確認した教官は、自分の方へと視線を集め口を開く。


「一つ……來貴君の能力の本質の中で言われなかったことがあります」


 教官のその言葉に、白凪と明城が教官の次の言葉に耳を傾ける。瞬華先輩達は知っているようで、俺に視線を向けている。


「15歳未満の者が本質理解を行えば、能力に身体が耐えられず死亡する……と言うことでしたが、一つだけ語弊があります。15歳未満で本質理解をしても、能力に身体が耐えられる()()の者もいます。來貴君も、その()()()()()()()だということです。ちなみに、()()()()()()()()です」


 ……俺が能力の『本質理解』をしたのは小学三年生の頃くらいだったからな……その時からだっけ。身体能力が異常に上がり始めたのも、能力の伸びが上がったのも。というか……教官もだったのか。能力の本質理解を15歳未満の年に行ったのは。後は……兇介もそうだったな。


「他の学科も、学科対抗戦に参加するしないに関わらず、一年生の能力者は全員が能力の『本質理解』をするために動いています。うちもすぐ本質理解が出来るように特訓しますので、早く理解してくださいね」


 教官は、万人が見惚れるような笑顔で言う。そして、言葉を続ける。


「ということで、話は終わりです。早速、能力の本質理解を始めましょう。楓さん、鉤人君、頑張ってくださいね」


 ――そうして、白凪と明城の本質理解をするための特訓が始まった。ちなみに、俺はその手伝い。他の科員達もそう。本質理解が終わったら、戦闘のための特訓が始まる。


 まず最初に、自分の能力を知ると言うことから始まった。改めて自分の能力と向き合い、本質を知ろうと言うことだ。

 能力を使い続け、どんな能力かを感じる。それにより、本質を知る。……というのがこの特訓の目的らしい。これが、一日目の特訓だ。


 実際にやった白凪と明城曰く、地味な特訓だったらしい。


 二日目の特訓は、「実際に能力を使い続けながら戦った方が速い」と教官が言い、白凪と明城は能力を使い続けながら先輩達と戦うこととなった。


「はぁ……はぁ……やっと休憩か……」

「疲れたわ……」


 そして今は、休憩中。白凪と明城は二人とも汗だくで、タオルで汗を拭いている。


 先輩達は、多少汗をかいては居るがそこまで疲れていない様子だ。俺はと言うと……疲れていない。というか、殆ど何もしていないため疲れるわけがないのだ。


 そうして、白凪と明城の休憩が終わり、また本質理解をするための特訓が始まった。


 白凪と明城は、自分の能力が強くなっていくのは感じているようだが……まだ本質理解へと至るには足りないようだ。だが……白凪はもうちょっとで本質理解が出来るのではないだろうか。この二日で、能力は以前と比べてちょっと強くなった。これならば、もう少しで行けそうだ――――。





 ――――そうして三日目、俺は第一訓練場へ行こうと足を進めた。すると、白凪と明城が話しかけてきた。


「結月、本質理解のコツってなんかあるか?」


 白凪がそう聞いてくる。明城も気になっているようで、白凪の近くに居る。


 それにしても……本質理解のコツ……か。俺の場合、能力の本質は『破壊』。それを理解すると、名前が二つに分かれたから間違いなくこれが覇壊の轟き(オーバー・ドライブ)の本質だろう。万物具現化の眼リアライゼーション・オブ・アイズの場合も、小学五年生の時に本質が『再現』だと理解したら名前が二つに分かれた。死黒暴滅(ブラック・デストロイ)も本質がすぐに『漆黒』だと理解出来たから、すぐに本質理解が出来た。


 これまで三回もの本質理解を経験したが、どの場合も例外なく、本質を理解する前に身体の中に能力の存在を感じた。……恐らく身体の中にある能力を感じ、本来の使い方を知る事こそが本質理解への近道だと思う。


 この事を踏まえて、俺が白凪と明城に言うことはただ一つ。


「本質理解のコツは、ただ一つ。知る事だ」


 俺がその事を伝えると、白凪と明城は少し考えたものの納得したようだ。……俺の言いたいことがわかったのだろう。二人とも頭はいい方だから、これだけでわかってほしいと思っていたからよかった。


 そんなことを考えつつ、俺は白凪と明城について行き第一訓練場へと行った。


「さて、今日も本質理解の特訓を始めますよ」


 第一戦闘場について早々、教官の一言により特訓が始まった。既に第一訓練場には執行科(エンフォースメント)の科員が全員集合していたので、すぐに始められたのも要因の一つだろう。


 今日の訓練は、昨日と同じ。能力を使い続けながら、先輩達と戦う。それにより、自身の能力を知るという訓練だ。白凪は彩月先輩と、明城は瞬華先輩と戦っている。他の人達は見学及び助言だ。

 主に天上先輩と百々海先輩が助言をしている。俺はというと、ただ静観しているだけだ。




 side ~白凪鉤人~



 さて、どうするか。俺は思案する。


 能力の本質理解。それが、この訓練の目的。俺の能力は物質支配(マテリアルルーラー)。名前が二つに分かれていないので、本質はまだ理解していないということだ。


 感覚は掴めてきたので、もうすぐで本質理解は出来ると思う。明城がもうすぐかどうかは知らないが、アイツも多分もうすぐに出来ると思う。


 ……とりあえず、集中しよう。


 今現在俺は、能力を使いながら鳳先輩と戦っている。防戦一方で、能力を使って防御しているが攻撃する隙が無い。……何より、能力の発動速度が違う。練度が違う。威力が違う。


 俺の能力は、物質を()()させて操るというものだから、どうしても発動が遅くなる。……今では大分速くなったが……ん? 変化させる? 俺の能力は物質を支配する能力だろ?


(なんなんだ……? 俺の能力は?)


 俺は、自分の能力に疑問を感じた。俺は今まで、自分の能力で何をした? 物質を伸ばしたりして、操っていた……他には、物質を変化させる。……いや、そもそも変化させないと操れなかった――。


「――考え事って、余裕なの?」

「ッ!?」


 いつの間にか鳳先輩が接近してきていて、俺に拳を撃ってきた。なんとか防御は間に合ったが、骨にちょっとヒビが入った。


 骨のヒビくらいは、能力で治せるので能力で治していく。骨と骨を繋げて、ヒビを消す。


 そして、鳳先輩と距離を取るために地面を隆起させる。ついでに、地面をちょっと固くした。


(……そうか。そういうことだったのか)


 能力の『本質』を自覚した瞬間、身体の奥底で何かを感じた。恐らく……これは能力だろう。それが、より強くなっていく。今なら……前とは比較にならないことが出来る気がする。


「……鉤人君、手が止まってるよ」


 ……鳳先輩が、接近してきている。そして、拳を俺に向けて攻撃を仕掛けようとしている。……前までなら攻撃を防げずに食らっていただろう。……だが、今の俺なら。


「うえっ!? ……いったぁ!」


 鳳先輩が手を押さえてうずくまっている。鳳先輩が勢いよく殴ったのは、隆起した地面。……ただ、かなり硬くなっている。例え結月の蹴りだろうと、一発は耐えられる自信がある。


(ん……?)


 頭の中に、文字が浮かんできた。その文字は……物質支配(マテリアル・ルーラー)と示していた。名前が二つに分かれた。ということは、俺は本質を理解したと言うことになる。……にしても、この能力の本質は、至って単純だったな……。


 物質支配(マテリアル・ルーラー)の本質は『変質』。物質を自由自在にし支配する事こそがこの能力の神髄だ。それにより、地面を隆起して硬くさせた。


 そんなことを考えていると、教官が近づいてきた。


「鉤人君。本質理解は出来ましたか?」

「……はい。出来ました」


 俺がそう言うと、教官は驚いたような顔を一瞬したが、すぐに表情が戻った。


「……まさか始めて三日で本質理解をするとは……瞬華さんの六日よりも早いですね」


 そう言われると……結構早いほうなんだな。科長の東道先輩よりも三日早いし。


「とりあえず……彩月さん、大丈夫ですか?」


 手を押さえてうずくまっている鳳先輩に、教官が話しかける。鳳先輩は「大丈夫です」と答え手を冷やしに行った。その後、俺は教官に「とりあえず休んでいいですよ」と言われたので、休むことにした。



 side out




 ……まさか、もう本質理解をするとはな……予想以上の早さだった。白凪が能力の『本質理解』をしたことで、能力の自由度が上がった。その本質がなんなのかは知らないが……まぁ、後で聞けばいいだろう――――。





 ――――そして、三日目が終わった。今日は、白凪が能力の本質理解をした。明城は、まだ本質理解は出来ていない。まぁ、明城ならすぐに出来るだろう。


 そんなことを考えつつ、俺は家への帰路を辿るのだった。

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