33話「テスト対策会」
「私達に、勉強と戦闘を教えてくれませんか?」
…………結論、面倒事だ。
というか、なんで俺にこんなこと頼むんだよ。刀華先生とかいろいろいるだろ。……まぁ、理由を聞いてみるか。
「……何故だ?」
そこで、俺は一つの疑問を覚えた。私じゃなくて、私達なのか……。そんなことを考えていると、文奈が説明をした。
「來貴君が、私の知る限り一番強くて頭のいい人だからです。あ、黎君と、雫もいますよ」
……マジかよ。黎と雫が近くに居たのはこのためか……どうしよう。受けるか、受けないか。
「お願い、來貴」
「私からも、お願い。來貴」
……なんか、ここを他の人に見られると何か勘違いされそうだな。
「……わかったよ」
俺は、こいつらに勉強と戦闘を教えることにした。だが、一つ問題がある。場所だ。勉強だけならあまり問題ないが、戦闘となると……普通の場所だとダメだ。
「……と言っても、どこでするんだよ。あ、俺の家はダメだぞ」
あらかじめ俺は、自分の家はダメだと言っておいた。俺の家は絶対ダメだ。凜姉とか琉愛とかに見つかると絶対面倒なことになる。それに、俺の家に戦闘が出来る場所なんて無い。
「それについては、私の家でやるから大丈夫よ」
どうやら、雫の家でやるらしい。安心した。というより、雫の家に戦闘が出来る場所なんてあるのだろうか。……いや、こういったならあるのだろう。雫の家に一度行ったことがある黎からとても大きい家だと聞いたことがあるし。
「早速行きましょうか」
文奈はそう言って、俺の手を引っ張る。雫も、黎の手を引っ張っている。
その後、教室を出て雫の家へ向かった。雫の家は学校から結構遠く、歩きで三十分くらい掛かった。
「ここが私の家よ」
雫の家は、とても大きかった。それこそ、何処かのお嬢様が住んでいるような屋敷で、戦闘できる場所も十分にありそうだった。……俺の家の十倍くらいはデカいな。目の前には門があり、近くにインターホンがある。その奥に見える扉は、二枚扉で正に屋敷という感じだった。
俺は事前に黎から雫の家はとても大きいと聞いていたが、予想以上だったため表情には出していないが驚いている。黎は前に雫の家に言っていると言っていたからか、特に驚いては居なかった。文奈は、驚きを隠せず表情に出している。
そんな俺達の方には見向きもせず、雫はインターホンを操作し門を開けていく。ゴゴゴゴゴという音と共に、門は開いていく。門が開ききった後、雫は俺達を連れて家に入った。
雫の家に入った感想は……広い。それと、高級そうな家具とかが沢山ある。ぶっ壊したら楽しそ……いや止めておこう。
そして、近くに居た執事らしき人が雫に指示され、とても広いリビングに机やら椅子やらが設置される。その机は、椅子が四人分丁度入るような机だ。しかも、黒色に金の装飾がされていてとても高級そうだ。椅子も、同様の装飾がされていてとても高級そうだ。
「さ、速く勉強しましょう。五時からは、戦闘だったわよね?文奈」
文奈は、雫の言葉に頷き、各々執事が用意した椅子に座り勉強を始める。俺も、文奈の隣に座りまだ終わっていない課題をやる。……面倒だな。全部の範囲覚えていると言っても、課題はまだ終わっていないからな……まぁ、半分くらい終わらせるか。そうして、始まった――――。
――――始まって数分くらい経った時点で、俺は誰にも教えていない。まぁ……数分ならまだ頼らないか。そんなことを考えながら、俺は面倒な課題を続ける。
そして、勉強を初めて十数分経った。それまで、互いに会話が無かった訳では無いが、少なかったとは思う。それに、会話はすぐに終わるからな。
「來貴、ここわからないから教えて」
……やっと教えるのか。というか、雫と文奈も黎と同じ場所で止まっているな。なんとか解こうとしている。……やり方は合っている。だが、解くのに時間が掛かっている。これは、あのやり方を使えば簡単にできるはずだ。
そして、俺は黎にそのやり方を教え、問題を解かせる。すると、すぐに理解し問題を終えた。そのときには、雫と文奈はその問題を解き終え別の問題をやっていたが、俺のやり方を聞いていて頷いていた。理解して覚えたのだろう。
とりあえず、教え終わったので……課題を続けよう――――。
――――そうして、一時間が経ち、四時になった。後一時間したら、雫の家の地下にて戦闘だ。
この一時間の間、黎のを含めて約十二回は教えた。その結果、俺は課題が半分の半分終わった。文奈と雫と黎も、順調に課題を進められているようだ。
とりあえず、面倒だからもう課題をやりたくなくなった。……でも、サボると文奈から強制的にやらされる。……頑張って課題を終わらせようと思う。
……はぁ、面倒だな――――。
――――そうして、勉強開始から二時間が経ち五時になった。残り三十分になった時から、課題を一旦切り上げこれからの授業の予習をした。予習を終えたら、戦闘の準備をした。とりあえず、予習しているときに考えていた戦闘をやる。まぁ、死なない保証は無いけど。
そんなことを考えながら、俺は雫達について行き地下に行く。各自武器は持って来ているため、そこら辺の問題は無い。
そして、雫の家の地下についた。地下は……多分、能力を思い切り使っても壊れにくいだろう。……まだ使ったことは無いが、俺の死黒暴導爆滅覇を本気でやったら壊れそうだ。……やらないけど。というか、やったら雫に一生恨まれそうだ。いやその前に……死人が出るな、あんな爆発やったら。
「凄いですね、ここ……どんなに攻撃をしても壊れなさそうです」
文奈がそう言いながら、雫の家の地下をキョロキョロしている。壁は水色一色で扉が一つ、端っこに隠れる場所がある。そこで休憩出来るのだろう。
「さ、來貴。早速お願いするわ」
雫がそう言い、武器を取り出す。黎も武器を取り出し、準備万端のようだ。この地下へ来る前に何をするかは三人に伝えておいたので、合理的に始めることが出来る。
……とりあえず、始めようか――――。
――――そうして、三十分経った。今の状況は……文奈、黎、雫の三人は、地面に座り込んで荒い息を整えている。汗も流していて、とても疲れていそうだ。対して俺は、疲れて等居なく、とても余裕だ。
「まさか……こんなに、手も足も出ないなんて……」
雫の言葉に、文奈と黎は頷く。雫がそう言った理由は、簡単に考えることができる。それは、俺に一度も攻撃が当たっていないからだ。三人で同時に攻撃をしても、俺には当たらない。逆に、俺の攻撃は面白いくらいに当たる。躱しても、その先に攻撃があり当たる。まぁ……一方的だった。
そして、俺は三人の無駄な動きを無くす改善方法や、もっと強くなれる方法を考えた。まず、三人を分析してみることにした。
文奈は、主に風流操作を使って戦う。風を身体に纏わせた肉弾戦や、風で相手を吹き飛ばすのが主な戦闘スタイル。……だが、それにしては近距離が弱い。
技術が無い……というわけでは無いが、威力も無いし速度も無いし、何より読みが下手。風での速度加速を生かし切れていないと思う。それでも、俺に攻撃が当たりそうな場面はあったけど。
……まぁ、『アレ』がまだ出来ていないのも理由の一つだろうけど。とりあえず、体術と能力の使い方、読みを鍛えればもっと強くなれると思う。俺から言えるのはこれだけだ。
次に黎は……まぁ、スナイパーライフルでの遠距離援護が主なスタイルだから、近接戦闘が苦手なのは仕方ないが……仕方ないじゃ済まされない。だが、スナイパーライフルでの零距離射撃、銃身を使っての攻撃はいいと思う。だが、それで銃身が折れたら元も子もない。
今回は訓練だから壊さなかったが、実戦だったら容赦なく壊していた。だから、拳銃なども使えるようになれば近距離も強くなる。拳銃は持っているようだが、あまり使えないみたいだしな。後は、やはり体術だな。
途中、遠距離でもスナイパーライフルを撃って俺に当てようとしていたみたいだが、一発も当たっていない。これは、何処に撃つか読みやすいことに原因がある。黎曰く、ドラッグショットは出来るようだが、仲間に当たるのが怖いためしていないらしい。一回、仲間に当てて咎められたことが原因で、それ以来していないらしい。ドラッグショット、攻撃の音と気配の断絶、拳銃が課題だな。
最後に、雫は……この三人の中で一番強かった。やはりというか、現象系の能力は強かった。たまに攻撃が当たりそうな場面があった。まぁ、結局当たらなかったけど。……雫の戦闘スタイルは、拳銃を二つ両手に持ち、放つ銃弾を能力で加速させて撃つというスタイル。
だがそれだけでは無く、近距離で肉弾戦も行える。葉脈の流力により、思考、時を加速でき、逆に相手は遅くなる。それを魔力を纏ってするのだから、とても凶悪だ。
……だが、それでも遅い。俺が速すぎるというのもあるが、それでもだ。この三人が白凪と戦っても、多分負けるだろう。……まぁ、俺と違って双方大分疲れるだろうけど。それに、斬撃に弱い気がした。俺の銃剣による攻撃を見て、少しビビっていた。
とりあえず、雫は体術の強化、斬撃への対応をしたらいいと思う。……そして、雫も『アレ』が出来ていないからな……それは、いずれ授業でやるだろうな。
そして、俺はその旨を適当な紙に書いておいた。まだ時間はあるので、不備があったら書き足すつもりだ。
「……じゃあ、続きをするぞ」
俺の言葉に、三人はまだ休んでいたいようだったが、そんなものは知らん。続きを始めた。それにより、渋々三人は続きを始めた。とりあえず、やるのは、三人と同時に戦いながらのアドバイスだ。というか、それ以外に方法が思いつかない。
……さてと、始めるか――――。
俺は、攻撃を仕掛けようとしている三人を見て心の中でそう呟いた。
そうして、現在六時半。思っていたより長くやった。三人ともクタクタで、とても動けるような状態では無い。俺は、別に疲れて等いない。汗はちょっとかいたが、息は乱れていない。
とりあえず、文奈と黎は、汗を拭いて疲れがちょっと抜けてから帰るらしい。俺も汗をタオルで拭いて、文奈と黎は……待つのが面倒なので、先に帰った。三人の課題を書いた紙は、もう既に渡してある。
俺は三人に一言言ってから帰った。文奈と黎は、雫の執事に送って貰うそうだ。
そして俺は、雫の家が無駄に遠かったので、走って帰った。勿論、音と気配は絶っておいた。夜の町を無音を突っ走るのは楽しい。
……それは置いておいて、家に帰った後は、凜姉に若干怒られたが、事情を話すと納得……してくれた。
その後は、夕飯を食べてから風呂に入り、今は部屋にいる。そして考え事をしている。
考えているのは、テストのこと。
テストは、合計で四日ある。
テスト一日目は、一限目は武器学、二限目は軍事学、三限目は社会。この組み合わせは、とてもヤバいな。
一限目の武器学というのは、武器のことだ。武器……といっても、銃や剣の使い方、その部位、何処を壊せば壊れるかというのが武器学だ。まぁ、一回覚えてしまえば簡単だ、これは問題ない。
二限目の軍事学は、軍事機関のルール、どんな仕事をするのか、武力行使をする際の事だ。武力行使をする際、別に殺してもいいのだが、指示には従わなければならない。その事についてを勉強するのが軍事学だ。……正直、軍事基礎学の中で一番難しい。俺は別に問題ないが、他の奴らはとてもヤバいだろう。
三限目の社会は……まぁ、普通の高校の社会と同じだ。ただ、他の科目の勉強量が多すぎるため、百点分から50点分に問題量が少なくなっているけどな。でも、ここの五教科は普通の高校よりも難しいと思う。前に調べてみたが、偏差値65以上の高校でやる問題をここでやっていた。
テスト二日目は、一限目は魔法・能力、二限目は戦闘理論、三限目は数学。この組み合わせも、害悪だ。この日程にした先生はいい趣味をしている。
一限目の魔法・能力は、魔法と能力の事だ。魔法は、どうやったら発動するか、攻撃魔法は何故威力が弱いのか、援助魔法は何故使われるのか、後は魔力の事についてもする。能力は、何々系の事や、消費魔力の事だ。後アレは……いや、まだか。ともかく、魔法・能力はそんなに難しくは無い。
二限目の戦闘理論……これが、ヤバいのだ。戦闘理論は、読んで字の如く戦闘の理論だ。戦闘中、どんな動きをするのが最善なのか等、ありとあらゆる戦闘状況の対処法や、どうすれば相手を倒せるか等もする。それにより、戦闘センスを高めるのを目的としている授業だ。これも、軍事基礎学の中で一番難しい。軍事学と双璧を成していて、『軍事学』と『戦闘理論』。「この二つを抑えればテストでいい点数を取れる」と凜姉が言っていた。
三限目の数学は、普通の高校と同じ。点数も、他の五教科と同じだ。
テスト三日目は、一限目は理科、二限目は国語、三限目は英語だ。完全に、普通の高校のテストだ。
一限目も二限目も三限目も、普通の高校と同じテストだ。そして、他の五教科と同じように、問題量が少なくなっている。それにより、最高点数は50点だ。
テスト四日目は、一限目は戦闘技術、二限目から五限目は適正確認だ。
一限目の戦闘技術は、先生と戦って、どれくらい戦闘が出来るかを試す。戦った先生が直接採点をする。ちなみに、満点は100点。
二限目から五限目の適正確認は、点数を平等にするためのものだ。適正訓練のテストバージョンだな。それぞれが能力、剣術、銃、魔法から得意なものを一つ選び、それの腕を確認する。二限目が銃、三限目が剣術、四限目が能力、五限目が魔法だ。それぞれ100点ずつで、必ず一個選ばなければならない。二個以上選ぶことは出来ない。
勉強量がとても多い。実技も入っているので、頭脳と身体の両方を鍛えなければならないので、とても面倒なテストだ。
とりあえず……二週間後のテストを速く終わらせたいな。
そして、俺は課題をやり始めた――――。
その二日後に、全ての課題が終了したのは、言うまでもないだろう――――。




