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真実と想いの業  作者: 神無月凍夜
第二章 執行科編
31/234

幕間「五人の依頼」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 來貴が、初依頼に行った後。もうそろそろ、一年一組と一年二組は初依頼へ行く時間である。そんな中、文奈は少し不安だった。


(初依頼……大丈夫、かな?)


 心の中で、そう思案する。敬語じゃなくなっているのは、文奈が不安である証拠だろう。中学からも依頼はやってきている、という経験があるため、文奈は心を落ち着かせた。


「皆さん、依頼の時間です。行きますよ?」


 刀華の言葉で、一年一組の全員は初依頼へと行く。


 文奈は、一年生の玄関から外に行く。そして、付き添いの人が待っているという場所へ行く。


「来たか。行くぞ」


 文奈の付き添いの人は、女性の軍人。その人について行き、依頼場所へと行く文奈。


 文奈の初依頼は、麻薬を密売しているヤクザ共を潰してこいという依頼だ。そのヤクザ達は、どうやら拳銃等の武器を持っているようで、対処が警察では出来ず軍人に依頼された。その依頼を、初依頼として文奈にやらせようと言うことである。


「ここが例の場所だ。行ってこい」


 女性の軍人が、ある道の近くの場所で止まる。


「……はい」


 そして、文奈はその道の中に入った。


 入った後、気配を消す。同時に風を操作し、音が出ないようにする。その状態で、文奈は周囲を見ながら探索をする。麻薬を密売しているヤクザ共を探すのだ。


(少し暗いですね……)


 心の中で、文奈はそう愚痴りつつも探索を続ける。


 探索を続けていく内に、文奈はあるものを見つけた。


(麻薬の密売ルート……?)


 文奈が見つけたのは、麻薬の密売ルートの紙。ヤクザ達がどういうルートで麻薬を密売しているのかが、事細かく書かれていた。それを確認した文奈は、その紙をポケットの中に入れ、探索を続ける。


 そうして再び探索をすること数分、妙な声が聞こえた。


「……これで全部だな」

「えぇ。ありがとうございます」


 そこでは、現在進行形で麻薬の取り引きが行われていた。文奈は、静かにそれを観察する。相手の武器は、見たところ拳銃とナイフ一本。敵の数は合計四人。ただの雑魚ヤクザの集団なので、文奈の実力なら問題なく殺せるだろう。


(……そろそろ、行きますか)


 ヤクザ共に隙が出来た瞬間、文奈は風を操り暴風を起こす。そして、ヤクザを全員壁にぶつけ、圧死させる。壁にぶつかったことにより、ヤクザ達は気絶する。

 ……だが、気絶していない者が居て、拳銃を発砲したが簡単に躱された。そして、再び風によって気絶させられる。


 文奈の所業は、それだけでは終わらない。文奈は、手のひらに風を集め、風刃を繰り出す。風刃に切り刻まれ、ヤクザ達は死亡した。


 その後、その惨状に見向きもせず帰って行った。


 ちなみに、ヤクザ共の死体は、文奈を案内した女性の軍人とその部下が処理をした。


 帰る途中、文奈は來貴の事を考えていた――――。





 ――――時は、一年一組の初依頼が始まった辺り。


 黎は、初依頼の場所へと行っていた。案内である軍人と一緒に。その際、武器のスナイパーライフルはケースに隠す。見つかると、いろいろ面倒だからである。


「ついたぞ。ここだ。数十分後、ターゲットが来る」


 そして、黎は軍人の案内により初依頼の場所へと着いた。それと同時に、案内した軍人は何処かへ行った。


 黎の依頼は、簡単に言うとある人物の暗殺。その人物とは、銃の密輸を行っている違法者。その違法者が、初依頼の場所で銃の密輸を行う事を突き止めた。


 そこで、銃の密輸を行っている場面を狙撃しようというのが、今回の依頼の狙いだ。黎のスナイパーライフルによる狙撃で、暗殺をする。そして、銃の密輸を止める。死体などの処理は、案内した軍人がする。


(……もうそろそろ、かな?)


 黎はそう考えながら、スナイパーライフルのスコープで、違法者が来ているかどうかを見る。


 見た結果、まだ来ていない。だが、この場所へ来てから十数分は経つ。そろそろ来そうだなと、黎は考えている。


 そうして、根気よく待つことまた十数分。


「――今回も楽勝だったな、軍人ってヤツもカスだな!」

「おい、そんな大声出すな。見つかるだろ」


 黎の居る場所から約数百メートル先。誰かの声がかすかに聞こえた。よく聞こえなかったが、黎は暗殺ターゲットの人物かもしれないと考えた。


(……あれかな? あの軍人さんから教えられた特徴とは一致してるね)


 黎が覗くスコープには、恐らく銃が入っているであろう箱を持った男が三人。あの軍人の言うとおり、本当に数十分後に来た。軍人が言っていた者との特徴と一致しており、黎はスナイパーライフルの狙いを定める。


バァンッ! バァンッ! バァンッ!


 黎のスナイパーライフルから、三発の凶弾が発砲された。凶弾が狙うのは、三人の男の頭部。


 そして、銃弾は正確に三人の頭部を打ち抜いた。直後、軍人により死体の処理がされる。それを確認した黎は、スナイパーライフルを仕舞って帰った。帰り道、道に少し迷ったのは別のお話――――。





 ――――時はまた、一年一組が依頼へと行った直後。


 雫は、初依頼の場所へ行くため、刀華が運転する車に乗って行っていた。雫の初依頼は、一年生でもトップクラスの難易度である。それ故に、刀華が案内をするのだ。


「着いたよ、雫。ここが、貴女の初依頼の場所よ」


 雫の初依頼は、あるグループを潰してこいというものだ。そのグループは、魔力等の存在を知った者達の集まり。その魔力を使用し、強盗などもしている。次の被害が出る前に潰せということだ。刀華からの事前情報で、能力者はいないと思われているため、雫にとっては雑魚同然だろう。


 そして今、そのグループがいるという二階建ての建物の……少し離れた場所へ着いた。目視で建物を確認出来る距離である。


「行ってきます」


 刀華にそう言い、雫はその建物へと接近する。雫が振り返ると、刀華と乗っていた車はもう居ない。何処かへ行ったのだろう。行動が速いなと雫は思いつつも、油断はしない。油断すれば、その瞬間に死が来るとわかっているからだ。今までの依頼で、何度か雫は死にそうになっていた。その経験がある故、決して油断はしないのだ。


 そして、雫は建物の中に侵入する。この建物の中にいるであろうグループを皆殺しにするためである。雫は二丁の拳銃を取り出し、いつでも撃てるようにする。その状態で、雫は建物内を見回る。


 ……と、言っても、探索する場所なんて一階を終えたら二階しか無いが。雫は、音の流れを操り音が出ないようにし、二階へ行く。そして、その二階からは何やら騒がしい声が聞こえた。雫はその声が聞こえる部屋に聞き耳を立てる。


「はっは~! 今回の強盗も楽勝だったな! おかげで、金が増えていく一方だ!」

「そうだな。強盗をしても、警察も追ってこない。それも、この魔力ってヤツのおかげだな。まだ発見してから数ヶ月だが、段々使いこなせるようになってきた!」

「これからも、この強盗生活で生きていける。そして、やりたい放題出来る!」

「はっはっは! そうだな! 数ヶ月前に、空気中に魔素というのがあるのを聞き、あのヤツらがやってた方法でやってみたら、僅かに出来た。それを続けたら、こうなった。どうやら、これは一般には知られていないようだしな! 俺達、世界を支配できるんじゃねぇのか?」


 中にいる者は、四人。どうやら、朝っぱらから酒を飲みながらどんちゃん騒ぎをしているようだ。雫は、四人目の者が言っていたことに「出来るわけ無い」と心の中で呟きながら、静かに扉を開ける。扉を開けたことには気付かれていないようで、雫は一番近くにいた男に向かって加速させた銃弾を放つ。


「グアッ!?」


 銃弾はそのまま当たり、その男は死亡した。その瞬間、雫はその場から離れる。位置を特定されないためである。


「ッ……誰だ!?」


 他にいた者が、ドアの方を見ながら叫ぶ。だが、そこには誰も居ない。雫は、部屋の天井から二発発砲する。

 放たれた銃弾は、叫んだ者以外の頭を打ち抜く。


 その後、雫は天井から降り、叫んだ者の前に立つ。

 ……そして、拳銃を突きつけ発砲する。叫んだ者は死亡し、部屋にいた者達は全て死体に変わった。普通の強盗なら、こうして殺されることは無かっただろう。……だが、彼らは違う。"魔力"を知ってしまった。故に、”闇穿つ闇”の穿つ対象となったのだ。


 これで、雫の初依頼は終わった。雫は、拳銃を仕舞って建物から出る。そして、刀華に終わったという連絡をして、刀華の車に乗って帰った――――。





 ――――時は、一年二組が伏見の言葉で依頼へ行く時。


 白凪は、初依頼の場所へ行くため、伏見について行っていた。白凪としては、明城の初依頼が気になるところだが、他人の心配より自身の心配をした方がいいため、考えていない。


 そして白凪は、伏見の車に乗り初依頼の場所へと行く。


 白凪の依頼は、ある密売組織を壊滅させろという依頼である。その密売組織は、武器や違法物などを密売しているため、組織の構成員が武器を使う。しかも、魔力などの存在も知っているというわけだ。警察に対処なんか出来ない。故に、軍人に依頼されたというわけである。


(なんで、俺はこんな依頼なんだ……)


 白凪は、自身の依頼が少々ハードではないかと考えていた。だが、自身より強い來貴が、自身以上に難しい依頼を受けていると伏見から聞いて、考えるのを止めた。


「ついたぞ、鉤人。行ってこい」


 白凪がそうこう考えている内に、初依頼の場所へ着いた。白凪が壊滅させる密売組織は、五階建ての小さいビルを拠点としている。車は、そこから見えない場所に止めた。


 そして、白凪はビルの方へ行く。ビルの前に着いたら、気配を消し侵入する。


 侵入した後、白凪は能力を使う。物質を操り、ある程度構造と人数を把握するためである。そして、ある程度構造と人数を把握した白凪は、ビル内をバレない程度に走る。


 ビルの中の部屋を探索しながら、人がいる場合はその者を殺す。それを繰り返していると、二階へ着いた。そうして、一階と同じ事を繰り返しながら上の階へと上っていった。


 白凪が四階についた時、ただならぬ雰囲気を感じていた。その正体は、この密売組織の幹部だろうと白凪は考えている。より一層気を引き締め、白凪はビルを探索する。


 そして、白凪は四階で誰かがいるのを見た。


(アレは……誰だ?)


 一人、男が通路で佇んでいた。白凪は警戒しながら、後ろから斬りかかる。……だが、躱される。白凪は、ただ者では無いと白凪は判断し、距離を取る。


 男は構えを取り、拳に魔力を纏わせる。そして、白凪に接近し、拳を叩きつける。白凪は、その拳を躱し後ろから魔力の斬撃を飛ばす。斬撃は命中し、男の身体は二つに切断され死亡した。


 それを確認した白凪は、最上階へ行った。


 最上階には、部屋が何部屋かあったので、白凪は一つ一つ調べる。その部屋には誰も居なく、何も無いのでさっさと調べて最後の部屋に行った。


「貴様か! 我々の組織を潰しているのは!」


 そこには、肥えきった男と、その護衛らしき者が二人いた。肥えきったデブは立ち上がり、白凪に向かってそう叫びながら護衛に指示をする。


 そして、護衛二人は白凪に迫る。それを見た白凪は、地面を操作し護衛を拘束し圧死させる。その後、流れるように肥えきったデブの元に移動し、壁を操作し頭を潰す。これにより、死亡した。


 白凪は、それを確認した後ビルから出て行った。そして、伏見に終わったことを連絡し、車で迎えに来て貰い帰って行った――――。





 ――――時はまた、一年二組が依頼へ行く時。


 明城は、初依頼の場所へ行くため、軍事育成機関高校の職員である軍人の車に乗っていた。


 明城の初依頼は、ある()()スパイの侵入ルートを発見せよという依頼だ。日本は、ある国と敵対している。勿論、表沙汰にはなっていないが。その国のスパイが日本に来ているので、どこから来ているのかを見つける。


 そして明城が居る場所は、そのスパイの侵入ルートがある場所の候補の一つである。なんなら、侵入ルートがない可能性がある。一番安全な依頼になる可能性が高く、一番危険な依頼になる可能性が高い依頼だ。


 怪しい場所の怪しい建物などは、入っても構わないと軍……いや、特別に国から許可を貰っているため、勝手に家に入っても構わない。調査するためなので、明城は入っても大丈夫なのである。最悪、記憶は消すことが出来るというのもあるだろうが。


「着いたよ、明城さん。行ってきて」


 そして、明城は車から降りて気配を消す。車から降りた瞬間、軍人は車を何処かへ行った。


 降りた場所は、港町。……ただ、その港町は、一部怪しい場所がある。妙に不気味なところである。明城は、その不気味な場所へ行って探索を開始する。その不気味な場所は、海に近いので、別の国からも侵入可能。もしあるなら、ここしかないと考えたのだ。


 そうして、明城はその怪し場所を探索する。いろいろ探索している中、明城は違和感を覚えた。


(あら……? 何も無いわね。でも、誰かがいた痕跡はある……誰かがいたのかしら)


 海にある程度近い二階建ての建物を調査している中。ある部屋を探索していた明城は、妙な光景を見ていた。その部屋自体は何も無いが、僅かに汚れている。それは、水である。雨水が入ったというのは考えにくい。窓は常に閉められていて、開けられた形跡が無いからである。


 明城は、ここに誰かがいたと見て探索を続ける。そして、別の部屋である紙を見つけた。


(これは……?)


 見つけた紙は、あることが書かれた紙。明城は、それをポケットに入れた。そして、明城は他の部屋を探索した。だが、これ以外に他にめぼしいものは無かった。


 探索し終えた明城は、送って貰った軍人にそれを渡す。それを見た軍人は、明城に「これで依頼は終わりで良い」と言った。


 そして、明城は車で送って貰い帰って行った。明城が自身の依頼の事を、帰ったら白凪に話したのはまた別のお話――――。





 ――――稲垣文奈、浦坂黎、銘仙雫、白凪鉤人、明城楓の五人が受けた初依頼。それは、このような依頼であった。そして、無事に終わっていった。


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