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真実と想いの業  作者: 神無月凍夜
第二章 執行科編
30/234

30話「依頼完了」

「……お前が侵入者か。……俺は、荒川怜次(あらかわれいじ)。ルイジェンドの最高幹部の一人だ。お前のルイジェンド壊滅に協力させてくれ」

「……は?」


 ここへ来た最高幹部の一人が言った言葉。それは、俺には理解出来たが、理解出来なかった。


「……どういうことだ?」


 とりあえず、この男に質問をすることにした。場合によっては殺すが、利用できるものは利用したい。それに、こいつは自分で最高幹部の一人と言っていた。ということは、いろいろ知っているかもしれない。なら、他の幹部を捕らえる手間が省けるかもしれない。


「……俺は、この組織を潰す機会を待っていた。そして、その機会は来た」


 組織を潰す機会……か。この男は、組織に弱みでも握られているのか?俺はそんなことを考えつつ、荒川に質問をする。


「お前、この組織に何か弱みでも握られているのか?」

「ああ……この組織に、俺の妹が人質に取られている。逆らうと、妹を殺されかねない」


 そう言った荒川は、拳を手から血が出るほど握っていた。


「……妹を殺されたくないから、組織に従っていたと」

「……ああ」


 俺の言葉に、荒川は下を見て唇を噛みながら頷く。


 その気持ち……俺にもわかる。俺にも(琉愛)がいるからな。琉愛は死なせたくない。


 ……もう、失いたくは無いから。


「……お前は、この組織を潰しに来たのだろう? 俺にも協力させてくれないか?」


 荒川はそう俺に聞き、頭を下げてきた。……というか、いきなり頭を下げられると、対応に困るんだが。


「……ああ、いいぞ。その、とりあえず頭を上げてくれ」

「……そうか、ありがとう」


 そう言って、荒川は頭を上げた。


 それから、俺と荒川は一緒に十四階を探索しながらいろいろ話をしていた。俺も自己紹介をし、互いに下の名前で呼ぶことになった。……まぁ、怜次の方が年上なんだけど。


「……お前にも、妹がいるのか」

「ああ、可愛い可愛い妹だ」


 俺は怜次と自分の妹について話ながら、この組織の事を聞いた。探索しながら怜次は話してくれた。


 この組織『ルイジェンド』は、一人のボスを中心に組織が構成されている。


 上下関係としては、一番上がボス。その下がボスの側近が一人。この二人は最上階に居て、階が下がっていくごとに地位も下の方へ行くらしい。最高幹部というのは、三番目に地位が高い者達。怜次は、その最高幹部の内の一人。最高幹部は四人いて、怜次はその中で一番強い。


 怜次が言うには、自分が組織の中で一番強いらしい。しかも、人質がいるため裏切られること、逆らうは無い。使い勝手のいい手駒というわけだ。


 十三階にいるものは、ただの幹部。六人いるが、その全員を俺が殺したため、もういない。そこからしたは、ただの有象無象。特に階級は無いらしい。


 怜次が話している間、その間、他の幹部に遭遇し、遭遇した幹部がいろいろ言っていた。例えば「おい、怜次。お前裏切ったらどうなるかわかっているのか!?」とか。まぁ、うるさかったから首を斬って瞬殺したけど。


 そうしているうちに、十五階への階段前扉が見つかり、怜次のカードで扉を開け十五階へ行った。十五階の階段を上ってすぐに護衛が二人居たので、そいつは殺した。咄嗟に首を斬って殺した。怜次も、もう一人の頭を薄赤色の魔力を纏った拳で飛ばしていた。


「……なぁ、ここがボスの部屋だよな」


 俺は、その明らかに変な形をしたボスの部屋と書いてある扉を見て、怜次にそう質問した。……なんだ、これ。わかりやすすぎるだろ。いや、十五階には見た辺りボスの部屋しか無いし別にいいのか?


「ああ……俺も何度か入ったことある。ここが、ボスの部屋だ」

「マジかよ……これ、蹴ったら吹っ飛ぶんじゃないか?」


 思っていたことを怜次に言った。もし、本当に蹴って吹っ飛んでいったら、ガバガバ警備じゃねぇか、ルイジェンド。その方が潰すの楽だからどうでもいいんだけど。


「……俺もそう思う」

「……じゃあ、早速突撃するか。あ、ボスと側近は殺すなよ」

「何でだ?」


 不思議そうな顔をして、俺に質問をする怜次。その顔は、「殺した方が早いだろ」と、言っているだった。


「殺すなと言われてるからだ」


 校長にそう言われたから、一応殺さずに連れて行く。……まぁ……骨は何本か折れているかもしれないけど。それくらいは、別に許容範囲内だろう。因果応報という奴だ。


「……よし、突撃するぞ」

「わかった」


 二人で扉の両脇に気配無く移動し、突撃のカウントダウンを開始させる。


「3,2,1,Go!」


 そして、俺は扉を蹴飛ばした。……本当に蹴ったら飛んだな。中には、一番後ろにボスらしき人物と、その側に側近らしき人物が一人いた。


「誰だ!?」


 側近は、いきなり入ってきた俺達にそう叫ぶ。……ふむ、この感じだと、怜次の言うとおり、怜次の方がボスと側近より強いな。俺は、一瞬で叫んでいた側近に近づき、気絶させる。ボスの方は、怜次が詰め寄っていた。


「怜次……裏切ったら、どうなるかわかっているのか!?」


 ボスは、高級そうな黒い椅子から転げ落ちて怜次に見下されながらそう叫ぶ。そのボスの見た目は、お腹が出ていて、体にあらゆる高級品を着けていて、如何にも見苦しい見た目をしていた。自堕落な生活をしていたのだろう。


「ああ……俺は、こいつに協力することにした」


 怜次は、俺を指差しながらそう言う。ボスは、そのことに対して、怒っているようだ。その証拠に、何かのボタンを取り出そうとしていた。だが、されると面倒だと思ったので、俺は。


「……さっさと気絶させるか」


 さっさと気絶させて、校長に押しつけようと思った。そうした方が、早く帰れそうだ。


「ゴフッ!?」


 一瞬でボスの横に移動し、ボタンを奪い取り腹にかかと落としを食らわせる。これにより、ボスは汚い唾を吐きながら気絶した。勿論、吐いた唾は魔力で掛からないようにした。怜次も同じようにし、唾が掛からないようにしていた。


「よし、怜次。気絶した奴動けないように縛るぞ」


 俺は、十五階に来るまでの間に見つけた縄で、ボスを縛る。怜次にも縄を投げ渡し、縛るように言う。


「おう……わかった」


 怜次は何か微妙な顔をしながら、側近を縛りに行く。


 怜次が側近を縛り終わった後、ボスを俺が、側近を怜次が持ちながら一階へと向かう。ボスが取り出していたボタンは、裏切りを知らせるためのボタンで、それを押されると拉致されている怜次の妹が殺されるらしい。とりあえず、俺が使えなくした。


 一階へと降りる際、階段を使うのが面倒だったので、怜次の「床を壊していこう」という案に賛成し、俺は床を蹴りで貫きながら降りた。怜次は、床を拳で破壊しながら降りた。それにより、ビルの内部は、悲惨なことになっていたが、全部校長がなんとかしてくれるので大丈夫だろう。


 一階へと着いた後、俺はスマホを取り出し、電話を掛ける。電話の相手は、校長だ。中学校で会った時、何故か連絡先を渡されてからずっと持っている。今回も、ルイジェンドを壊滅状態にさせたら電話をしろということを命令された。そして校長は、電話を掛けたらすぐに電話に出た。


『あ、もしもし、來貴君。ルイジェンドのボス達の捕獲と組織の破壊はおわりましたか?』


 電話に出て開口一番、そう聞いてくる校長。しかも、その声音は確信を持っているようだった。とりあえず、俺も応答しよう。


「はい、終わりました。それと、一人ルイジェンドの組織の最高幹部の一人を味方に付けました」

『……何故そうなったのですか?』


 そして、俺は電話で校長に怜次を味方に付けた経緯と、誰を味方に付けたのかを話す。全てを話すと、校長は電話先でしばらく黙っていた。


『……まぁいいです。そこでしばらく待っていてください』


 そこで、校長との電話は切れた。俺が電話を切るのを見て、怜次が俺に近づいてくる。


「誰と電話していたんだ?」


 怜次が、俺にそう聞いてくる。誰と電話していたか気になるのだろう。


「軍事育成機関高校の校長」

「えっ……!? お前、そんな大物の連絡先を持っていたのか」


 俺が包み隠さず答えると、怜次はそんな驚いたような声と顔で言った。……あの校長、そんな大物なのか? そんな大物に見えないんだが、あの校長。


 そうして二分後、校長が人を何人もぶち込めるような車に乗って、やってきた。……何?あの車。二、三人ぶち込むくらいだから必要なくないか? 誘拐された能力者達をぶち込むにしても、それは別々にした方がいいだろう。


「……本当にその人を味方に付けているようですね」


 俺の近くに居る怜次を見て、校長はそう呟く。……怜次、お前実は凄い人物なのか? 怜次に聞こうかなと思ったが、やめておく。


「まぁ、それは置いておきましょう。このボスと側近を運んでください」

「わかりました」


 校長の後ろの明らかにこいつらを入れる用の車にこいつらをぶち込んでいく。怜次も、側近を後ろにぶち込む。入れ方は適当で言いだろう。ボスと側近を入れ終わった後、校長から押しつけられた拉致された能力者の確保に向かう。


「……それじゃ、能力者の確保に行ってきます」


 あの後、ボス達を乗せた軍の車は軍の人が運転して行った。そして俺達は、怜次の妹の捜索と、能力者の確保をする。場所は怜次が知っているらしいので、怜次の案内の元、能力者が捕らわれているという地下へ行く。


 地下へと足を踏み入れると、俺の想像を絶する光景が待ち受けていた。


「これは……酷いな」


 俺が見たのは、拉致された能力者が、ろくに管理もされていない牢屋の中に捕らわれている様子だ。壁も牢屋も錆びていて、殴れば壊れそうだ。


「ああ……俺もそう思う」


 どうやら、怜次も同じ考えだったようだ。


「牢屋から出すぞ」

「わかった」


 とりあえず、牢屋の中にいる能力者達を開放することにした。俺はヴァルブラドで牢屋を斬り、怜次は牢屋をねじ曲げる。……怜次って、能力は持っていないらしいけど……本当に持っていないのか?パワーが人間じゃないぞ?


「あの……あなたは誰ですか?」


 途中、牢屋の中にいた気弱な少年の能力者からそんなことを聞かれる。


「俺は、結月來貴。この組織を潰しに来た」

「え……!? この組織を、潰しに……?」


 その能力者は、驚いたような声で言う。その声には少し喜色が混じっていたような気がした。心なしか、表情も少し喜びが混じっているような気がする。


「ああ……と、言ってもこの組織の人間はほぼ殺したけど。もう壊滅状態だ」

「そうですか……ありがとうございます」

「えっ……?」


 俺は、少し驚いた。ありがとうございます?この組織にうんざりしていたのか?まぁ……よく考えるとそりゃそうか。

 

「……この組織は、ボク達を兵器としてしか見ていませんでした。そして、この場所で全ての能力者は物同然に扱われました。それに、気に入らないことがあったり、不機嫌になるとボク達を殴ったり蹴ったりしてストレス発散します。だから、この組織を慕っている能力者は一人もいません。能力者の幹部達は別ですけど」


 そうだったのか……ルイジェンドの地上の人間は、怜次以外は、屑の集まりか。とりあえず、ここにいる全ての能力者を解放しよう。数十分後、俺と怜次は全ての能力者の解放に成功した。そして、怜次は無事妹と再会できた。


「お兄ちゃん……会いたかったよ」


 怜次の妹だという荒川唯(あらかわゆい)は、兄である怜次に抱きつきながら涙を流している。……これが、感動の再会ってやつか。


「ああ……俺も会いたかった」


 俺は、そんな二人の雰囲気を邪魔することは出来ず、近くでその様子を校長と一緒に見ていた。……なんか、俺と校長の存在が空気になっているような感じだった。


「微笑ましいですね」


 ずっと無言でその様子を見ていた校長は、いきなり俺にそう言う。正直、俺も同じ気持ちだ。


「なあ、來貴」


 怜次が、妹と一緒に俺の方へと近づいてきた。


「何だ?」


 俺がそう聞くと、怜次は目を逸らしながら呟く。


「…………ありがとな」


 その言葉はとても小さく、よく耳を澄まさないと聞こえないほどだったが、俺の耳には届いた。近くに居る校長はよく聞こえなかったような反応をしているが、どうせ聞こえているだろう。

 

 その後、唯以外の能力者は軍の車にて保護された。唯は、怜次と一緒にいたいと言うことで、俺達と一緒に麻薬の密輸ルートへ行くことにした。その場所は結構遠かったので、軍の人が持って来た別の車を使っていく。


 その途中、俺は唯に唯と呼んでと言われて、唯と呼ばされた。ついでに、唯が俺の事を來貴さんと呼ぶようになった。


「來貴君、麻薬の密売ルートはどこですか?」


 校長が運転をしながら聞いてくる。


「それ、私も気になります、來貴さん」


 唯もそう言って、俺に顔を向ける。というか、少し距離が近いんだが。


「あそこの建物で密輸されています」

「……あそこですか」


 俺は、校長の車から1キロ先にあるあの普通の会社のビルを指していた。表向きは普通のビルだろうが、その実態は麻薬を密輸しているルイジェンドの部下会社だ。


「……そろそろ着くな」


 怜次のその言葉に、俺達は前を見る。どうやら、本当にもうすぐ着くようだ。


「先に言っておきます。ルイジェンドに関わりのある人物は、全て殺して良いですよ」

「……わかりました」


 校長の言葉に、俺は口元に三日月を浮かべながら頷く。若干、唯が引いていたが……気にしない。さて、全員殺して良いんだな? 言ったな?あのビルに居るルイジェンド関係の屑は全員殺すぞ?


「着きましたよ」


 校長が、車をあのビルにバレないように車を駐める。そして、俺は車のドアを開ける。車から出た後にすぐドアを閉め、怜次に指示を出す。


「怜次、俺は最上階に突撃するから一階から行ってくれ」


 俺はそう言いながら、能力で足腰のリミッターを覇壊する。これで、あのビルの最上階の七階へ行くには十分だろう。


「は!?」

「怜次、頼んだぞ」


 俺は、怜次の返事を待たず、最上階にジャンプで突撃する。


「……あいつ、無茶苦茶な事言いやがって。しかも、最上階に届いてるじゃねぇか。まぁ、行くか」


 上空から、俺は怜次が一階に行くのを見ていた。俺の指示をしっかり聞いて一階の関係者を殺しにいったようだ。まぁ、俺は一階の人が関係者かどうかわからないから、怜次に一階に行けと行ったんだけど。怜次なら、その辺はわかると思うし。


バリィン!!


 俺は、最上階の窓を蹴破り侵入する。その時、周りに人はいない。ラッキーだ。だが、音でバレていそうだ。さっさとボスを殺して下へ向かおう。俺は、ボスの部屋を能力で特定して向かう。さっさと帰りたいからな。


 そして、俺はボスの部屋へ向かって走り出す。その途中、足音が聞こえたので銃剣を構えた。


「誰だ!?」


 音を聞きつけてやって来たであろう幹部は、俺に向かってそう叫ぶ。


「がッ……!?」


 面倒だったので、サクッと首を斬って殺した。


 そして、数分の間に約十人くらいの幹部らしき奴と遭遇し、全員を殺した。その後、社長の部屋に着いた。よし、さっさと殺しに行くか。


 俺は、社長の部屋のドアを蹴り飛ばした。


「ゴフッ!?」

「……あ」


 俺が蹴り飛ばしたドアは、ちょうど目の前にいた社長に当たり壁とサンドイッチにされた。どうなったか確認すると、もう死んでいた。


「……ご愁傷様」


 俺は、あっけなく死んだボスにそう呟く。まぁ、社長も途中にあった資料通り屑だから殺してもどうでもいいけど。とりあえず、ボスは殺したし、なんか側近らしき奴はいなかったから下行くか。


 そして、俺は一階へ行った。途中、結構な数のルイジェンドの人間に会ったが、全員殺した。


 そうして十数分、三階で怜次と合流した。怜次の手は一切汚れていない。魔力を使って血がつくのを回避しただろうか。


「怜次、そっちは終わったか?」

「ああ、お前の方も終わってるか」


 どうやら、お互いこの会社の中にいる組織の人間の殺害が終わったようだ。


「なら、校長に電話で報告するか」


 俺はスマホを取り出し、校長に電話をする。


『はい、もしもし。來貴君、終わりましたか?』


 校長が終わったかの確認をしてきたので、終わったと返事をする。


「はい、終わりました。これから、車の近くに飛び降りるので待っておいてください」


 俺がそう言うと、電話先の校長からは戸惑いの声が帰ってきた。


『え? 來貴君、ちょっとそれは……』


 校長が何かいろいろ言っていたが、俺は強引に電話を切る。また電話が掛かってきたが、電話を拒否する。スマホをマナーモードにし、怜次を抱える。


「怜次、行くぞ」

「……あのさ、ここ、7階だぞ?死ぬんじゃないか?」


 怜次はそう言い、降りるのを躊躇っている。というか、俺から降りようとしている。


「何を言っているんだ、俺がいるから大丈夫だ」

「ちょっと不安なんdうわぁぁぁああああ!!」


 俺は、降りることをためらっている怜次を抱えて、校長の車に向かって飛ぶ。怜次が、絶叫していたが、気にせずに空中に魔力の足場を形成し、減速しながら校長の車の横めがけて跳躍する。そして、俺は無事に校長の車の横に着地した。着地の衝撃は、法則支配の能力で消した。


 その後怜次を降ろしたら、怜次から軽く睨まれた。高いところ、苦手なのだろうか。唯に聞いてみよう。


 そして、車の中に入ると校長からジト目で見られた。


「來貴君……まぁ良いです。次は、銃の密輸ですね」


 そして、俺達は銃の密輸がされてある場所へ行った。


 その場所は、港近くのビルだ。……ルイジェンドに関わる所って、大体ビルだな。ここは、港に密輸された銃を一旦管理する場所だ。必要次第で、本部へと持って行くらしい。怜次から聞いた。


「ここですね、銃の密輸がされてある場所は」


 校長は、目の前のビルを指差す。……さっきまでとは打って変わって、随分と小さめのビルだ。三階建てで、地下がありそうな雰囲気を醸し出している。


「よし、怜次、さっさと潰しに行くぞ」


 俺は、怜次にそう声を掛ける。


「ああ、唯はここで待ってろ」

「わかったよ」


 唯は椅子にもたれかかりながら、ふてくされそうに言う。怜次曰く、唯はルイジェンドに能力の使い方を学校も行かず訓練されていたそうだから、結構強いそう。だが、怜次と唯が戦えば魔力の使い方が上手い怜次が勝つらしい。まぁそれは置いておこう。


 そして、俺と怜次は車を出てビルに突撃する。ビルの中には、銃が普通の人にはバレないような場所に沢山あった。その中にいた、このビルの中の銃の管理者らしき人は殺した。


 そうして、数分後、その中にいた全ての人を殺した。


 終えた後、怜次と一緒に校長のところへ戻ると、開口一番こう言われた。


「來貴君、ずいぶんと早かったですね」


 速かった……というのは、ビルの中に居た人の数が少なかったのと、全員弱かったからだ。これ位なら、白凪でも行けたかもしれない。いや……断言する。白凪でも行ける。一度戦ったため、白凪の強さはわかっている。白凪はそれなりには強いため、雑魚が集まろうと蹴散らせる。それに、能力が強いため最悪それでなんとかなる。……これ位なら、白凪に任せても良かったんじゃ無いか?とも思ったが、それは言わない。言ったら何かありそうだ。


 そんな事を考えながら、校長の車に乗り込む。もう全部終わったので、帰ってもいい。というか……腹減ったんだけど。


「お疲れ様でした。帰りますよ」


 こうして、俺の依頼は終わった――――。





「――――來貴君、遅かったですね」


 依頼から帰ってきて教室に来た後、文奈にそう言われた。確かに、俺以外は全員いる。それに……今の時間は、午後2時だ。他のクラスの生徒も、全員帰ってきている。帰ってきていないのは、俺だけだった。


「來貴が一番遅く帰ってきたからね」


 黎が茶化すように言う。こいつらも無事依頼を達成したか。というか……俺以外の奴の依頼、絶対俺より死の危険性がほぼ無いやつだろ。俺だけ、ハイリスクだったんだが。特に、ルイジェンド本部で幹部三人を相手にしたとき。あのとき、正直死ぬかと思ったからな、一割くらい。


「ホント、死んだかと思ったわ」


 雫がこっちへ来て、肩を竦めながら言う。ていうか、俺があの程度で死ぬわけないだろ。ルイジェンドの組織潰したけど……全員、屑で弱かったし。怜次以外。


「さて、全員来たね。お疲れ様っ。二週間後テストだし、その二ヶ月後には学科対抗戦があるし、頑張ってね」


 久しぶりに、敬語じゃない刀華先生見た気がする。相変わらず、敬語の時と敬語じゃ無いときのギャップが凄い。……二週間後テストかよ。面倒だな……というか、学科対抗戦ってなんだ……?

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