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真実と想いの業  作者: 神無月凍夜
第二章 執行科編
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28話「推薦経緯と依頼」

 そして、俺は今自分の部屋に居る。夕飯と風呂はもう済ませた。ベッドで寝転がって、神の能力について考えている。オリケルスの言葉で、頭に浮かんでは消えなくなった。言われるまで忘れていた……と言うことでは無い。「気をつけろ」……その言葉にどんな意味が込められているかで、俺の判断は変わる。……何も起きなければいいんだけどな。


 そう考えつつ、俺は目を閉じる。とりあえず……今日はもう寝ようと思う。考えても何も浮かばない。そうして、俺は眠りについた――――。




「――――きて。起きて、お兄ちゃん」

「……ん?」


 琉愛が俺を起こす声が聞こえて、俺は目を開く。今日は月曜日。勿論、学校がある。ので、俺は今から起きて学校へ行かなければならない。特に休む理由も無いからな。それに……休むとなんかありそうだ。


 起きながら考えたことを頭に入れつつ、俺はベッドから降りて琉愛と一緒に一階へと行く。そして、リビングへと入る。


 リビングでは、凜姉が朝食を作って待っていた。どうやら、もう出来上がっていたようで中々起きない俺を琉愛が起こしに来たようだ。そして、朝食を食べ始める。


 その後朝食を食べ終わったので、自分の部屋へ戻って準備をする。今日は、特に何も無い。いつも通りの授業だ。そんなことを考えつつ、俺は家を出て学校へ向かう。凜姉と琉愛は、俺が出た後に学校へ向かった。


 十数分後、学校に着いた。教室には、いつもの如く俺しかいない。俺の来る時間が早すぎるだけなのだが。まぁ、文奈と黎と雫が来るまで待っていよう。することないし、眠くないし一応起きていよう。俺は、机に肘をついて待つ。


「おはようございます、來貴君。相変わらず来るのが早いですね」

「……おはよう、文奈」


 教室のドアから、文奈が入ってくる。そして、俺の隣の席に座り、いつも通り本を読み始めた。


「來貴君は、なんで本を読まないんですか?」


 俺が眺めの良くない窓の外を見ていると、急に文奈がそんなことを聞いてくる。


「……読んでもすぐ読み終わるからな」


 俺の一言を聞いた文奈は、少し考えるような動作をして、何か思い出したように顔を上げ、こちらをジト目で見る。というか、なんでそんな目で俺を見るのだろうか。今読んでいた本は読まないのか?


「……あの時、私が読んでた本を無理矢理取って数秒で読んでいましたね……來貴君、言うこと一つ聞いてください」

「……は?」


 文奈の言ったことが意味不明すぎて、俺は思わずそんな声を出す。というか、言うこと一つ聞いてくれって……なんでだよ。というか、顔が近いんだが。俺と文奈の距離は、ちょっと動かせば唇と唇が当たりそうな距離だ。


 そして、その事に気付いていないのか気にすること無く文奈は言葉を続ける。

 

「ですから、あの時に私の本を取ったお詫びということで……」


 文奈は、俺からちょっと距離を取り、紅潮した顔の前で両手をいじりながら言う。……今は教室に俺と文奈の二人しか居ないから大丈夫だが、他のクラスメイトがいたら多分文奈に視線が集中していることだろうな。それ位、今の文奈は可愛い。


「……まぁ、いいぞ」

「ありがとうございますっ!」


 なんか断りづらかったので、俺はOKする。俺の返事を聞いた文奈は、笑顔で喜んでいる。……なんか可愛いな。まぁ、別に断る理由も無いからな。……何をされるか不安だけど。


「……朝からイチャついてるね、二人とも」

「……ホント、話しかけづらかったわ」


 黎と雫が、タイミングを見計らって話しかけて来た。文奈が黎と雫の言葉を聞いて、なんかアタフタしてるぞ。俺は別に何ともないけど。というか、こいつら一緒に来たのか。お前らもイチャイチャしてるじゃねぇか。


 そう言えば、黎と雫も席が隣同士だったな。イチャイチャしてるのはお前らだろ。だいたいいつも二人でいるし、楽しそうに話しているからな。そっちもイチャイチャしていると言っても過言では無い程だ。


「い、イチャイチャなんて……してませんよ! というか、來貴君も何か言ってくださいよ!」

「ん? そうだな……イチャイチャしているのはお前らだろ」


 文奈に何か言えと言われたので、とりあえずさっき考えていたことを言う。それしか言うことが思いつかなかったからだ。俺の言葉を聞いた黎と雫は同時に顔を赤くした。……自覚はあるようだな。


「ぼ、僕達はイチャイチャなんて……」

「そ、そうよ、何言ってるのよ」


 黎と雫は、そう言いながらお互いに違う方向を向いている。文奈は、そんな様子の二人を見て微笑んでいる。


 その後、黎と雫は自分の席へと行った。チラリとその方を見てみると、二人は何かいろいろ話していた。話の内容は聞こえないが、別にどうでもいい。


 そして、俺は文奈と話していた。やること無いからな、黎と雫に見られている気がするが、気にしないでおこう。


 話している内に、チャイムが鳴りHRが始まった。刀華先生は教卓の前に立ち、話し始める。


「予定の変更は特にありませんが、連絡は一つあります。放課後、皆さんが所属している各学科の科室に集合してください。これだけです」


 それだけ言って、刀華先生は教室を出て行った。HRは相変わらず適当だ。というか、放課後に執行室か……何するんだろう――――。




 ――――そうして授業が終わり、俺は執行室へと行く。途中で白凪と明城に会い、一緒に執行室へと行った。執行室へ入ると、もう全員揃っていた。


「……来たか、三人とも。これで執行科(エンフォースメント)全員が揃ったね」


 瞬華先輩が、怪しい笑みを浮かべながら言う。彩月先輩も、同じように怪しい笑みを浮かべている。そして、俺と白凪と明城を執行室の椅子に座らせる。


 座ったのを確認して、瞬華先輩は口を開く。


「もうすぐ校長先生と仙千先生が来るから、それまで適当に待っていてくれ」


 瞬華先輩がそう言い、彩月先輩と話し始めた。他の先輩達も、それぞれ話し始めた。


 ……俺だけ、話す人が居ないな。白凪も、明城と話してるし。まぁ……普通に待っていよう。することも無いし。

 そう考え、俺は校長が来るのを待つ。すると、白凪と明城が俺に来て話しかけて来た。


「結月君はさ、誰に推薦を貰って執行科(エンフォースメント)に入ったの?」


 明城は、俺にそう聞いてくる。明城の近くに居る白凪も気になっている様子だ。……誰に推薦された……というのは、言うと面倒事になりそうだな。言うけど。


「……校長とと、瞬華先輩と、彩月先輩」


 俺の言葉を聞いた明城と白凪は、瞬華先輩と彩月先輩と俺を交互に見ている。表情からして、驚いているのだろう。そして、明星が口を開く。


「そ、そうなのね……あ、私は水月先輩と光先輩と亜宮先輩よ」


 明城を推薦したのは百々海先輩と日鏡先輩と亜宮先輩か。白凪は知っていたのか、そのことについては無反応だ。そして、俺は白凪を推薦したのは誰なのかも気になった。大体予想はつくけど。とりあえず、白凪に聞いてみる。


「白凪を推薦したのは誰なんだ?」

「俺は、竜二先輩と司先輩と蓮先輩だ」


 白凪を推薦したのは閃先輩と天上先輩と亜宮先輩か。予想通りだな。というか、二人とも亜宮先輩に推薦されているな。どういう経緯で推薦されたんだろう。それはちょっと気になる。白凪と明城に聞くと、話してくれた。俺の事も話せと言われたけどな。


「俺は……竜二先輩とは同中だったから、それでだ。司先輩は、何度か依頼を一緒に受けたことがあるから、その時に俺の実力を見てもらったからだ。蓮先輩は、一目で見て実力も十分だって言ってたからだ」


 白凪の推薦された経緯を聞いた俺は、チラリと閃先輩と天上先輩と亜宮先輩を1秒にも満たない時間で見る。……あの赤髪で派手なゴリマッチョな先輩と同じ中学だったのか、白凪は。


 しかも、もう一人のゴリマッチョである天上先輩も推薦している……ということは、こいつもいつかゴリマッチョになるのか?そうなると、ゴリマッチョの割合が高くなるから止めて欲しいんだが。


 そして明城は白凪の推薦の経緯を知っていたのか、無反応だった。こいつら確か同じクラスだったからいろいろ話していたのか。とりあえず、明城の推薦の経緯を聞く。 


「私は……水月先輩と光先輩とは同中で、そのときによく一緒に依頼に行ってたから、それで。亜宮先輩は、なんか面白そうだって言ってたから」


 明城の推薦された経緯を聞いた俺は、一つの感想を抱いた。


(……亜宮先輩、適当すぎる)


 そう、亜宮先輩は白凪、明城共に推薦をしているのだが、適当すぎる。なんか、裏がありそうだ。でも、証拠がなさ過ぎるからわからないな。でも、あの人つかみ所の無い性格しているし、勘か?だったら、結構胡散臭い勘だけど。


 白凪は、明城の話を聞いても反応はしていない。やはり、知っているのだろうか。というか、校長はいつになったら来るのだろうか。


「じゃあ、結月。話してくれ」


 白凪に急かされ、俺は話す。


「俺は……」


 話そうとしたところで、執行室の扉が開かれる。入って来たのは、校長と刀華先生だった。入って来た校長と刀華先生は、人数を確認する。確認し終わった後、校長は瞬華先輩に何か耳打ちをする。耳打ちをした後、校長はこう言った。


「皆さん、第一戦闘場へ行きます。着いてきてください」


 そう言って、校長と刀華先生は執行室から出て行く。百々海先輩と閃先輩も、それに続いて出て行く。他の先輩も出て行き、俺ら一年生と瞬華先輩と彩月先輩だけになった。すると、瞬華先輩がこう言ってきた。


「何ボーッとしてるのさ。速く行くよ」


 そして、瞬華先輩と彩月先輩が執行室から出た。白凪と明城が立ち上がり、執行室から出る。


「……後で教えろよ」


 白凪の言葉に俺は頷き、執行室から出る。俺が出たのを確認した校長は、扉の鍵を閉める。


 そして、執行科(エンフォースメント)の全メンバーは第一戦闘場へ行く。その途中、俺は白凪と明城に、俺の推薦の経緯を話した。まぁ、随分と驚かれたけどな。俺も、自分の推薦経緯が特殊だと思っているからな。


 まぁ、それは置いておく。というか、よく見たら全員武器を持ってるな……俺も持っているけど。戦闘でもするのだろうか。それは、着いてみたいとわからないけど。


 そんなことを考えていると、第一戦闘場へと着いた。


 そこで、校長と桐生先生は少し話し合った後、こちらの方を向く。そして、瞬華先輩が高らかに宣言する。


「今から、一年生の特訓をします」


 ……どういうことだろうか。白凪と明城もわかっていないようだし、話を聞こう。そして、その考えをわかっているかのように校長は説明をする。


「どういうことかというと、四月の終わりに一年生の初依頼があるのは知っていますよね?」


 校長の言葉に、俺、白凪、明城は頷く。そのことは、刀華先生から授業で聞いている。


「それに向けて、死なないように特訓をします。強さの具合によって、依頼の難易度も変わりますからね」


 校長は、笑顔で言う。……なんか、嫌な予感がしてきたぞ。俺の額に、冷や汗が一つ流れる。


 そして、校長は俺のそんな考えを知っているかのように言う。


「そのため、執行科(エンフォースメント)はメンバー全員で一年生を鍛え上げます」


 ……やっぱり、そうなるのか。二年生と三年生は知っていたようだったけど。


「まず、來貴君、鉤人君、楓さんを誰が特訓するかでわけます。そのために、三人の分析データや苦手分野を言います」


 そして、校長は一枚の紙を取り出しながら言う。……あの紙に纏めてあるのか。


「……まず、楓さんの苦手分野から。楓さんは、魔力量が少ないので、能力を多用できません。能力の魔力消費量が多いというのもありますが」

「…………」


 その言葉に、明城は下を見てうつむいていた。どうやら、これは本当らしいな。一週間前のアレはそれを見極めるためか。


「それに、同時に2つ以上の物を創成出来ません。後、近距離に弱いです。魔力の使い方も、能力に使うの一択だけでは無く、身体強化にも使えるようにします。なので、楓さんには近距離戦闘に彩月さんと、魔力の使い方に蓮君と、魔力量の増量と能力の使い方に私がつきます。いいですね?」


 校長が話している間、明城は頷きながら話を聞いていた。一部、自覚していないところがあったのかハッとした表情をしていた。そして、校長が直々に鍛えると言った瞬間、一年生以外の科員が「ご愁傷様……」と言っているような表情をしていた。


 そんなに、校長の特訓はキツいのだろうか。俺は依頼の時に一緒にいたことがあっただけで、特訓とかは受けたことが無いからわからない。


「はい」


「「わかりました」」


 明城と彩月先輩と亜宮先輩は、納得したように頷いた。次は、白凪か。一回戦った俺が言うと、結構あるとは思う。俺もあまり人のことは言えないと思うけど。


「次は、鉤人君。鉤人君の苦手分野は、遠距離と、能力の使い方ですね。遠距離は、能力が能力なので、遠距離があまり対応できません。ですが、使い方次第では出来ます。そして、能力の使い方がちょっと荒いです。どうでも良いことに能力を使ったりしているので、無駄に魔力を消費しています。なので、鉤人君には遠距離への対応に水月さんと、能力の使い方に司君と、能力の無駄を削ぐために光さんがつきます。いいですね?」


 話を聞いている間、白凪は自覚しているところがあったのか苦虫を噛み潰したかのような表情をしていた。それと、天上先輩の名前を聞いたとき少し冷や汗が流れていた。百々海先輩の名前が出たときは、明城が「ご愁傷様……」と言いたげな表情をして白凪を見ていた。


 百々海先輩の特訓もキツいのだろうか。確か、明城と百々海先輩は同じ中学出身だから、明城は鍛えて貰ったことがあるのだろう。逆に、日鏡先輩の名前が出てもそんなに反応を見せていなかったな。日鏡先輩の見た目からして、甘そうな感じはするけど。


「はい」


「「「わかりました」」」


 四人とも納得して頷いた。……さて、最後は俺か。俺の分析結果はどうなんだろう。自分でも苦手分野とか弱点は結構克服してきたとは思うけど。


「……最後に、來貴君。はっきり言って、これという苦手分野や()()はありません。強いて言うとするならば、能力が能力なので技のレパートリーが乏しいことと、最初から本気を出さないことです。魔力量、能力の使い方、魔力の使い方、近距離、遠距離の全てがトップクラスです。……人間か疑いたくなります。なので、來貴君には技のレパートリーを増やすために瞬華さん、竜二君、仙千先生で一対三してください。本気で」


 技のレパートリーの無さ……か。それは、覇壊の轟き(オーバー・ドライブ)しか使っていないとき限定だな。死黒暴滅(ブラック・デストロイ)や、万物具現化の眼(リプロデュース・アイ)で再現した能力を使っているときは途轍もなく技が多くなる。


 ……まぁ、その代わりに魔力消費がバカにならないくらい多くなるんだけど。瞬華先輩の能力や白凪の能力も使えるから、技の引き出しがいろいろできるからな。本人よりかは魔力消費が多くなるし、練度などは俺の力量によるからな。


「……はい」


「「「わかりました」」」


 ……ていうか、一対三?面倒なことになったな。勝つこと自体は出来なくも無いが、疑われかねない。ただでさえ、校長に半人半魔になったことがバレた?って言うのに。……まぁいい。とりあえず、俺はこの特訓をどうするか考えよう。

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