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狩人少女冒険旅行記  作者: 無風はじめ
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第四話 ユミルの家

 道すがら話した内容によると、ステラは首都オードレスから西に向かったところにあるウェストレアからきたらしい。

 ウェストレアは海に面した国で漁業と貿易が盛んな国だったはず、昔父上に習った。

 そこに突然海賊が現れたらしく、漁業も貿易もままならなくなってしまい、困った国民の声を聞いて王様が軍隊を動かしたのだそうだ。

 だけど軍隊よりも海賊の方が海戦術に長けていたらしく、返り討ちに会ってしまい国の主な仕事が止まってしまったため、大変なことになってるらしい。

 困った王様がオードレスの国王に相談したところ、王国の7英雄は今北の山に魔物討伐に出掛けていて居ないが、15年程前に引退した英雄バーン様がポムルの村に居るらしいから頼んでみたらどうだ、と言われたらしい。

 ちなみにステラは軍隊の中に騎士団という部隊があって、そこで騎士見習いをしているらしい。

 でも見習いの子に一人でお使いさせるなんてひどい。


「せめて三人位のパーティーで出してくれたらよかったのにね?」


「あはは・・・まあバーン様の話も居るらしいってことで、確実な話じゃ無いですからぁ、あんまり人材を割きたくなかったのかも知れませんね」


「むぅ、それにしても王様も軍の人も何もこんな可愛い女の子に行かせることも無いのに。何かあったらどうするつもりだったんだろう」


「かっ可愛いだなんてそんなそんな・・・ユミルちゃんに比べたら私なんて普通ですよぉ。それに見習いなんて居なくなっても国も軍も大した損失じゃありませんからぁ」


 最後の方は何やら寂しげな表情でステラは呟くように言った。それにしても私がステラより可愛いだなんて、どれだけ自分に自信が無いんだろう。

 ステラの外見は、光を受けてキラキラと煌めくような金髪にエメラルドのような碧眼。装備越しなのでハッキリとはわからないけど、身長だってそこそこあるし、胸なんかの出るとこは出て引っ込むところは引っ込んでる結構いいプロポーションだと思う。

 まあウチの母上には負けるけど。父上と違った意味でまぢバケモノ。

 多分父上と同じくらい歳だし、私を産んでるのだから35才位だと思うのだけど、どうみても20才くらいにしか見えない。

 腰まで届くような銀髪に紅眼で、子供の私の目から見てもえっろいわぁーという感想しか出てこない。

 なにか理由があるのか知らないけど、家の周辺しか出歩かないので、他の人たちに会うことは滅多にないから、悩殺されちゃう人もいないのだけど。

 よく父上は平然と一緒に暮らせるなぁと、尊敬してしまうほどなんだけどね。

 私はと言えば、そんな母上から受け継いだのは銀髪と紅眼だけで、身長もまだ低いし胸だってちょっとしか膨らんでない。身軽だから狩りをするにはいいんだけどね。悔しくなんて無いんだけどね!


「まあでも、確かに人は割かなかったのは正解だったのかも。私生まれたときから住んでるけど、バーン様なんて名前初めて聞いたもん。そんなに有名な人なら絶対聞いたことあるはずだし」


「はぁ、やっぱり居ないんですかねぇ、バーン様」


「でもひょっとしたら、私が生まれる前に他所に引っ越しちゃったかも知れないし、父上ならきっと知ってるよ」


「そうだといいですねぇ」


「あ、ほら私の家見えてきたよ」


 家の煙突からは煙が立ち上っていて、馬と荷馬車が家の脇にある。父上も母上も家にいるということだ。もっとも母上は出掛けることの方が稀なんだけどね。


「たっだいまぁー」


「あら、おかえりなさい。今日もいっぱい獲ってきたわねぇ、ユミルすごいすごい」


 母上はそう言うと獲物を降ろした私をぎゅっと抱き締めて、頭を撫でてくれる。嬉しいのだけど胸で窒息しそうになる。


「むむーぷはぁ!母上、父上はどこ?お客さんなの、聞きたいことがあるの」


 そう言うと母上は私のまだドアの外にいるステラに目を向ける。


「あらー可愛い子ねぇ、どうしたの?」


「ステラちゃんっていうんだけど、西のウェストレアから来たんだって。海に海賊が出ちゃって困ってるから、バーン様って引退した英雄様の力を借りに来たんだって」


 説明を聞いた母上はちょっとだけ微笑んでいた目元がピクリとしたような気がする。でもほんとに一瞬の事ですぐにいつもの微笑みに戻り、ステラに向き直る。


「それは遠いところから大変だったわねぇ。私はユミルの母でフィリアンといいます。よかったら今日はウチに泊まっていくといいわ。お父さんなら裏に居るから行ってみたら?」


「あ、ありがとうございますぅ、助けてもらった上に泊めていただくなんてスミマセン」


「あら?助けてあげたのユミル」


「うん、鋼熊に襲われてたんだよ。だから追い払ってあげただけ」


「そう、良いことしたのね」


 そういうと嬉しそうに笑ってまた私を今度は軽めに抱き締めた。


「えへへ、じゃあステラちゃん父上のとこ行ってみよ」


「はいっ、お願いしますぅ」


 一旦外に出て、家の裏に回ると薪を割る音が聞こえる。


「父上ーいますかー?」


 パッと見でも服のしたにはまんべんなく筋肉が盛り上がっているのがわかる背中が、私の声に反応してかピクリとする。


「おう、ユミルか。お帰り、今日はどうだった?」


「えっとね、走り鳥5羽に跳び兎が一匹だよ」


「おー大猟だな。今夜は母さんがご馳走作ってくれそうだな」


 そう言ってその大きな手で私の頭をグリグリと少し乱暴に撫でてくれる。髪が少しぐちゃぐちゃになっちゃうけど、父上の撫でかたは嫌いじゃない。


「ところで、後ろに立ってる美人さんは誰なんだ?」


「あ、そうだった。ステラちゃんっていうんだけど、西のウェストレアからはるばるやって来たんだって。森で鋼熊に襲われてたんだけど、私がちょうど通りかかったから追い払ったの」


「ほんとに、ユミルちゃんには助けられっぱなしで申し訳なくってぇ。あ、ステラ=マイヨールと申します。ヨロシクお願いしますぅ」


「そりゃあ大変だったなぁ、ユミルの父でガゼルだ。まあ自然ばっかりでなんにも無いが、あったかくていいところだからゆっくりしてくといい」


「あ、ありがとうございますぅ。でもあんまりゆっくりもしていられないんですぅ」


「ん?なんか急ぎの旅なのか?」


「ええ、私の国の海で海賊が暴れてて、引退されてる英雄のバーン様にご助力いただきたくて、この村まできたんですぅ。なので早くお会いして国までお連れしないと・・・」


「・・・・・・」


 何故かステラの言葉を聞いた父上は、黙って何かを考えてるみたいだけど・・・。


「父上、その英雄様の事何か知ってたら、ステラちゃんに教えてあげてください」


「ん・・・ああ、ちょっと考え事をしてたんだ。それでステラちゃん、そのバーンに会ってどうしてほしいんだい?」


「・・・できれば、私たちの国に来ていただいて海賊をやっつけて欲しいです。じゃないと国のみんなが仕事が出来なくなってしまって、路頭に迷ってしまいます・・・。だからまだみんなの蓄えがあるうちにどうにかしないと」


「父上はバーン様のこと知ってるんですか?私は生まれたときから一度もそんな英雄様のお話しを聞いたことがないです」


「んーまあ引退した英雄なんてそんなもんだろうなぁ」


「なんでもいいんですぅ、何処かに引っ越してしまったなら大体どの辺かだけでも・・・」


「そうだなぁ、まあ知ってるっていうかなぁ・・・」


 私とステラは父上に詰め寄っていく。


「「知ってるというか?」」




「引退した英雄バーンっていうのは俺の事だ」


 初耳なんですけど?父上。



読んでくださってありがとうございます。

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