決意
僕は、人と喋っていた。
ここに来てからは、しっかりと会話をすることもなかった。
日常が壊れるのはいつも唐突なんだの改めて思った。
「なぁ。お前、何でここにいるんだ?」
「それは…」僕は言いかけて口を閉ざした。
あれ?僕は何でここにいるのか。当たり前になりすぎて考えなかった。
ここに来たばかりの時、僕だけ何で。とか、逃げなければ。とか、家族や友達に会いたい。とかは考えたけど、そういえば僕は何でここにいるんだっけ?
再生という能力を持つだけ。痛みは感じるし、死ぬこともやろうと思えばできる。
僕はバケモノなのか?僕を実験動物の様に扱う研究員達の方が僕にはバケモノに思える。
「なぁ!俺たちでここを抜け出さないか?」
「俺さ、外に彼女おいて来たんだよ。心配してると思うからさ、ここを早くでたいわけ」
032番よ。僕はそれを一度、実行に移したことがあるぞ。
ものの見事に、失敗したのだ。つまり、僕にはもう後がない。
次に失敗したときは、僕はこの世にいないであろう。
だから、僕の結論はこうだ、
「必ず、成功させる方法を考えろ。僕にはまだやらないといけないことがある。」
と言うと、032番はニヤッと笑って
「当たり前。俺は必ずここを出る。」
そういうと、自分に部屋に戻っていった。
032番が帰ったのを見て、僕はとんでもないことを言ってしまったと心の底から思った。と同時に
僕も日常というのを壊してやると思った。