表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落下地点は違う世界。  作者: あせろら
1章:第二の人生
8/15

アメとムチ。

チュンチュンと外で小鳥の鳴き声が聞こえる。

朝がやってきたとみんなに伝えるかのように、鳴き声が聞こえてくる。


「ぅー・・・」


小鳥の声は「起きろコラ」とでも言っているのだろうか。 

でもまだねむぃ...。


ふかふかのベットと、ふわふわのおふとんにサンドイッチにされている幸せな一時。

おふとんがまだ寝てていいよって言うから寝よう.....。


寝息を静かにつきながら、再び深い眠りへと落ちかけた時...リビングへと続く扉がバン!と開く。

そしてこちらへ歩いてくる足音がした後、布団へ何者かが侵入してきた。


「ふへ?」


そして抱きしめられる。


「朝寝坊する子は抱きしめるぞー!」


ナリアさんでした。


「ぅー、まだおふとんが寝てていいって言ったー・・・」


「じゃあ寝てていいけど、いじるわよ?」


「すいませんでした起きます。」


一瞬で眠気を吹き飛ばされた。なんか反則の気がするよ!


その後、強引に起こされた事で不機嫌な俺の手をリビングへ引っ張っていく。

リビングのテーブルには、鶏の卵で作った物の倍はある大きさの目玉焼きと、サラダ、後はポタージュみたいなスープにカリッと焼いたベーコンもある。それとバターロールのようなパンがあった。


ぅー...おいしそうだな。 まぁ食べた後で寝なおそう!


人に起こされるのが嫌いなので、自分で起きようと思うまで起きないのが俺である。

惰眠こそ正義!仕事の時はちゃんと起きるけどね。


「さ、そこに座って!一緒に食べましょう?」

手前に二つ並べられた椅子を指すナリアさん。だがここに座るという事は、ゆっくりと朝食を楽しめないという事と同義だ。...ここは否定させていただこう。俺だって学習するのさ!


「私はむこうの席に座るので、ナリアさんはここにどうぞ。」

「じゃあアキちゃんはサラダだけね?」

「ごめんなさいここでいいですゆるしてください」


・・・・・・・

・・・・

・・


今度は口移しでは無く、『はいっアーン☆』だった。

まだ口移しよりはいいと思っておいた。普通に自分で食べたいんだけどね...。

まぁ余計な事を言うと後が怖い。妥協できる点は妥協するのが得策か。

と言うか、妥協以外の道は残されていなかったけどね。


食後にのんびりと牛乳を飲んで一休み。

朝ごはんは一日の活力だからね、残さずいただきました。


そう言えば...特に気にしないで飲んでたけど、これ牛乳なのか?

目玉焼きがやたらとデカかったり、豚肉のベーコンかと思ったら牛肉の味がしたりするんだけど、やっぱりこれも牛の乳じゃないのかも?


・・・・・・・。


まぁいいか、美味しいし。

ちょっとだけ、日本の食材と見た目が違うけど、味はすっごく美味しいのは間違いない。

これが得体の知れない謎の生物の乳だとしても、見た目も味も一緒なんだから気にするだけ無粋だ。



ちょっとした疑問を自己解決していると、食器を片付け終わったナリアさんが隣に座って擦り寄ってくる。


「ねぇアキちゃん、今日は街に見学がてらお買い物にでも行かない?」


ふむ、買い物かー。そういえばこの世界に来てから、街みたいな人の集まる場所に行ったこと無いな。

このまま家に引きこもってても、そのうち旅へ出るらしいし、今のうちに街とかも慣れておいたほうがいいかもしれない。


「そうですね、行きましょうか。」


「決まりね! それじゃあサイズを測るから、脱いで!」


・・・ハィ?


突然何言ってるのこの人?といった目でナリアさんを見る。


「何を買いに行くと思ったの?アキちゃんの服を買うに決まってるでしょう?」


え?ちょっとまって、なんで決まってるの?

「サイズが判らないと選びようがないから、ささっと計って買いにいきましょ!」

「え、いや...今着てるこれと自分の服で十分ですよ?それに私お金無いし!」

この世界の通貨・・・リーブルって言ってたかな? そんなもん持って無いし、日本円すら今は無い。


なんだかんだで、食費などでお世話になってるんだよなぁ、俺。

...後から今までにかかったお金を請求されたらどうしよう? 今まで全く気にしないでご飯もらったり居候したりしてた。


早急に働き口を探したほうがいいのかもしれない・・・。 


「お金なら私が持ってるから、アキちゃんは出す必要なんて無いのよ?それに私も着せ替えして遊びたいし!あと、今着てる服は簡単に私の服を手直した物だから、丈も合ってないでしょ?」


お金の心配は必要無い。必要だったのは身の危険を感じることだったようだ・・・


「い、いえ!これから急成長するのでこの服で間に合ってます!!!」


「そう...じゃあ晩御飯もいらないのね?残念だわ...。今晩は奮発しておいしいお肉とかお魚とか使おうと思ってたのになー?」


うぐっ・・・ひ、卑怯なっ!

俺がぴくりとも動かないでナリアさんを見つめていると、スカートのポケットから巻尺を取り出す。


「じゃ、早速計りましょ?」



今までで最高にダークな笑顔だった。



・・・・・・・

・・・・

・・



「おー・・・・・・」


目の前にはファンタジーな世界でお約束な景色が広がっていた。

洋風な石造りの家や、木造建築ながら立派な家や石畳の道・・・・


そこには、日本しか知らない俺にとって初めての景色。

見ているだけで感動すら覚えるものだった。


「ここは上級区だから、綺麗な街並みでしょ?ここはそれなりに身分がある人の住む地区で、 歩いている人はみんな使用人よ。」

「使用人?」


使用人というと、メイドさんや執事さんかな? あと家政婦さんとか?

...それにしちゃ、あんまり見栄えのよろしくない服装の人ばかりだ。


俺のイメージでは、家に帰ると「お帰りなさいませ、ご主人様」 と迎え入れてくれる綺麗なメイドさんという、間違ったイメージしか無い為か、ここを歩く人を見て『使用人』という感じとギャップを感じてしまう。

みんな簡素な布で作られた服で、お洒落とはほど遠い服ばかりだ。


まぁ、そりゃそうか。俺のイメージなんてアニメや漫画の仮想の物語でしかない。

現実ってのはこんなもんか・・・。


「貴族とか仕官は馬車で移動するから、徒歩で移動するって事はほとんど無いの。ほら、あれが貴族の馬車よ。」


ナリアさんが指差す先には、立派に飾り付けられた車体に、毛並みの綺麗な二頭の馬車が繋がれて走っている馬車が居た。


馬車なんて初めて見た・・・ってか馬でかいな!昔に田舎の馬小屋で見た馬の1.5倍はありそうな体格だ。

貴族様とやらが乗ると言う馬車を見ていると、ふと疑問が過る。

ナリアさんって一応宮廷魔術師とか言ってなかったっけ?偉そうな名前なのに、馬車とか使わないのかな?

それに、家もこの地域に並んでいる豪邸からすれば、随分と小柄な木造一戸建てだ。もしかして宮廷魔術師って儲からないのかな?

ちょっと失礼な事を考えながらナリアさんを見ると、苦笑して話しかけてきた。


「私は使用人とか使うのあんまり好きじゃないのよ。なんでも自分でやりたい性分でね!だから馬車も使わないわ。歩いたほうが健康的だと思わない?」


言ってる事はすっごくいい事なんですが、もしかして読心術でも会得してるんだろうか?

何故か考えたことがすぐにバレる。


「アキちゃんは表情に出やすいから、何を考えてるのかすぐにわかるわ。わかりやすくて助かっちゃうわ。」


そ、そうですか...。

なんだか褒められてるのかバカにされてるのか...いや確実にバカにされてるよね?


「さて、それじゃ行きましょう?早く行かないと服を選ぶ時間が無くなっちゃうから!」


「え、いや!ゆっくり行きましょう!街をよく見たいですから!」


そんな事を言われて「うん!早くいこ!」とか言うとでも思ったか?...残念!私はゆっくりと街の景色を

堪能して時間をつぶすのさ!


服屋さん爆発すればいいのに。


「そう。まぁ勉強も大切ですものね...。晩御飯の材料を買う時間が無さそうだから、パンと水だけになるわねぇ....。」


「うっ!?」


現在の俺のただ一つと言っていい楽しみ! ご飯を人質にとるとはっ!

ぅ...おいしい物を食べるため...!でもそんな事で男の尊厳を失ってもいいのか!?



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もう失いまくってるじゃん。



だぁぁぁぁぁ! もういいよ! ドレスとか派手なのでもなけりゃなんでもいいよもう!やってやろうじゃないか!女!!!!



俺の中での葛藤を見越してか、にっこりとほほ笑むナリアさん。


「さ、急ぎましょ?」


「はぃぃ...」



・・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・

 



洋服を選ぶだけで何故こんなに時間がかかるんだろうか。


あの後、迷うことなく俺の手を引っ張って歩き、軒先にマネキンのような物に服が着せられて、展示されているお店へとやってきた。

そのお店で午前中が消費された。 ついでに俺の精神も消費された・・・・。

フリフリのたくさんついた上着やらスカートやら、ゴスロリと称される衣装やら・・・

露出度の異常に高いネグリジェやら、すっごく短いスカートや短パンなど。

考える事を止めて、ただ着るだけに徹していたら...ナリアさんの空間魔法にどんどん服が飲み込まれていく結果となった。


もう十分すぎるほど買った。これだけ買ったら流石のナリアさんでも満足したに違いない。


そこからカフェへ移動してお昼ご飯。メニューを読もうと思ったら、見たことの無い言語で書かれていてさっぱり判らなかったので、ナリアさんにオススメを注文したもらった。

ハムやチーズにトマト、レタスっぽい野菜がふんだんにはさまれたサンドイッチが出てきた。

おいしそう・・・!


「いただきまーす!」


ここで気力を回復して、午後からは楽しく過ごすんだ!

もう服も選び終わっただろうし、きっとこの後は街の散策に違いない!!


「サンドイッチで軽くお昼を済ませて、午後は外出用のローブとかも見ないといけないわね・・・。それに下着もまだ買って無いし、夕方までには選び終わらないと食品街のお店が閉まっちゃうから急がなくちゃね!」


口に運びかけたサンドイッチが、お皿にぽとりと落ちた。


「も、もう十分に買ったじゃないですか。あんなに着れないですし、午後はもう・・・」


「何言ってるの?まだ下着とかの必需品を買ってないのよ?先にお洒落着を買ったほうが、アキちゃんに逃げられなくていいでしょ?それに・・・今履いてるパンツ、私のよ?」


・・・・!? え、いや、え? ボクサーパンツから履き替えた覚えが無いのですが!?


そ、そういえば...朝トイレにいったら、なんかパンツが白かったような気がしたんだよな。寝ぼけてたから全然気にしてなかったけど、そう言う事ですか...。と言うか、いつの間に!?


「昨日アキちゃんが寝てる間に履き替えさせておいたわ。あんな可愛くないのは却下です!。それに何?毎日同じパンツはくの?ブラジャーもつけてないでしょ?揺れて痛くなるし、形も崩れちゃうでしょ?...と言う事で、午後も服を買いにいきましょうね♪」


お皿の上に立っているサンドイッチがぺたっと倒れる。

ついでに俺の心もぽきっと折れた。



・・・・・・・・

・・・・・

・・



街は夕日の赤い光に染められていた。


そして俺の心は血の涙で赤く染められていた。

呆然としている俺の口にサンドイッチを突っ込んだナリアさんは、食休みもそこそこに、午前中に行ったお店とは違う、女性下着の専門店っぽい所へ俺を引っ張っていった。

そこへ着くなり早速すっぽんぽんにされて、試着をかたっぱしからさせられた。

今までそんなのつけたこと無いからいらない!っと言うと、何故かお説教を食らった後に着け方を教えられた。店員さんも悪乗りして、次から次へと同じサイズの物を運んでくるものだから、ナリアさんが暴走してしまった。

夕方になるまで着せ替え人形をさせられて、もう思考停止状態に陥っている俺だった...。

もうお嫁にいけない。行く気ないけど。


そしてその後、お風呂へ連れて行かれた。

大衆浴場のような感じの場所だったけど、ナリアさんがここまで来たから、ひと風呂浴びていきましょう!とか言って引っ張っていったのだ。

もちろん・・・女湯。元男なのでいやです!とは言えないよね。


男の頃に一度は想像した女湯。確かに裸の女の人だらけだったけど、全く興奮しなかった。

そりゃそうだ。 自分も女だしな・・・。



それよりも、こんな昔の西洋文化な街に大衆浴場があるのはすっごく意外だった。

なんでも、ニホンという異世界から来た冒険者が、このお風呂を作り、それがこの国で大好評だった為に大衆浴場が各地に乱立した、との事だそうだ。

あのルィさんの言い方から、俺が始めてこっちに来た冒険者じゃないとは思ってたけど、こんなところで他の日本人の残した物を見れるとは思わなかった。


お湯はぬるくも無く熱くも無く、ちょうどいい感じだった。この世界に来てから3日ほどになるけど、お風呂に入らなかったせいか少し頭がかゆかったので丁度よかったかもしれない。

ちなみにナリアさんの家にはお風呂があるらしい。俺がお風呂好きと言う事が判明したので、帰ったら入りなおすそうだ。...今日はもういいです。


脱衣所で散々練習させられたブラジャーを装着して、パンツをはき、服を着る。

うん・・・なんか慣れて来てる自分に絶望しそうだけど、女なんだから仕方ない・・・よね。

諦めよう、そうしよう。もう修復不可能なほどに折られた男の自尊心は捨てよう。

女だっていいじゃないか、とりあえず生きてるし...。

そう言い聞かせて自分を慰める22才がそこに居た。



大衆浴場から出て食品街へと繰り出したナリアさんと俺。

ナリアさんの言うことをちゃんと聞いたので(聞かされたので)、なんでも食べたい物を買ってくれるらしい。何でもって言われると迷っちゃうのは俺だけじゃないはず! 今日失った気力を一刻も早く回復するために、何か精がつくうまいものが食いたいんだけど...。

あんまり沢山買っても、男だった頃の半分も食べれないからなぁ。あれもこれも、と選びすぎると食べきれないだろうし、本当に食べたい物を見つけないと。

それにしても、初めて見る食材が沢山あるなー...赤いレタスや黄色いダイコンのような、ちょっと日本とは違う物が沢山ある。

肉は切り身になっている物もあれば、鳥や牛のような生き物を丸々捌いたような物まで様々だ。

魚も同じで、やけに口先がどんがったアジのような魚や、金色の鯛などなど。

まさに異世界の台所!といった風景だが、その中にはおなじみの食材もちらほらと見て受けられる。

たとえば、カラフルな野菜が並ぶ中にひっそりと存在する、日本で見慣れたニンジンやタマネギなどがあるし、魚はサバやメバルが沢山ある。肉は...バラ肉の細切れなんかは見た目が似てるけど、牛なのか豚なのかはわからない。


異世界の要素を交えつつ、日本...もとい、地球の物がブレンドされている感じだ。

見たことの無い食材もどんな味がするのか興味心身だけど、今日は冒険するほど体力も残って居ない

ので無難な食材を選ぶことにした。


お肉は牛肉っぽいやつ(ステーキ肉)と、魚はアジの30cmほどのを2匹。


ナリアさんにステーキとアジフライを要求すると、OKが出たのでガッツポーズ。

アジフライって言って判るかな?と一瞬不安になったけど、普通に揚げ物もあるらしいので要らない心配だった。

ちなみに、何故アジフライかというと...エビフライが食べたかったけど、エビが見つからなかったからだ。これだけ品揃えが豊富ならエビぐらいあるだろ!とか思ってた俺を殴りたい!!

で、目の前にアジがあったからアジフライと相成ったわけだ。


アジを眺めながらぼーっとしていると、ナリアさんから何かの模様が入った銀色のコインを5枚渡される。


「これだけあれば好きなだけ買えると思うから、試しに買ってらっしゃい!ちなみに銀貨1枚で100リーブルよ。他にも銅貨と金貨があるけど、まぁ追々説明してあげる!」

「ふ~ん...ひとまず了解です。 それじゃいってきます!」


これから買う食材が料理になった時の事を考えると、笑みがこぼれる。


俺は一人暮らしのくせに料理が出来ない。せいぜいカップラーメンにお湯を入れるのと、パスタを茹でてソースをかけるぐらいしかできない。


だから社会人生活を始めて4年、ステーキも食べてないし揚げたてのフライも食べてない。

じゅるっとよだれが滲み出すのをおさえられない・・・。だって俺にとって食べることが一番の楽しみなんだもの。


そのために身体を差し出したのだ。 きっとこのぐらいは神様も許してくれるよね!


ニコニコしてお肉を売っている店のおじさんに「お肉二人分ください!」と言うと、なんだか暖かい目で見られて、オマケに他のお肉もつけてくれた。

魚屋さんのおいちゃんも、アジのほかに見たことのない鼻先の尖った魚を二尾くれた。


なんか優しい人たちだなー・・・やっと俺にも運がめぐってきた!と一人ではしゃいでナリアさんの元へトコトコ戻る。

ナリアさんは調理に使う小麦粉やパン粉などを買うために別行動をしていたのだ。


「ナリアさーん、買ってきたよ!はい、余ったお金ー。」


ニコニコしながらナリアさんにお金を渡すと、頭をなでなでされた。


「よくできたねー!えらいぞ、アキちゃん! こっちも買い終わったところだから、帰ろうか!」


「はーい!」


なんか子ども扱いされた様な気がするけど、美味しいものを食べる前に変な事を考えるのは無粋というもの。


ナリアさんに粗い紙に包まれたお肉とお魚を渡すと、空間に生じた裂け目に放り込んでしまった。

ナリアさん、今日は相当な量をあの魔法で仕舞ってるけど、一体どれだけの量があれに入るんだろう?


というか、MPが530で手提げ袋一つ分ぐらいの空間って言ってたよね? ナリアさんって一体

いくつMPがあるんだろう・・・


「私は8700よ?MP。」

また思考を読まれた。説明する手間が省けるからいいけどさ...。

というか、何その量!?


「私の17倍以上・・・さすがきゅうてーまじゅつし!」

「アキちゃんもそのうちMPをはじめ、ステータスは増えるわよ。...それに私は52Lvよ?Lvが1のアキちゃんと比べれば、そりゃ多いわよ。」


な、なるほどそ...りゃそうか。そーいえば1Lvだった。


「むしろ、1Lvの平均は50で、アキちゃんはその10倍よ?小鳥ちゃんに今度あったらちゃんと御礼しなきゃね?」


そうだ、小鳥ちゃんのおかげで魔法が使えそうな状態になれたんだ。

今度会ったら、またご飯でも食べながら頭なでなでしてあげよう。きっとあの出会いがなければ未だに悲しいステータスだったんだから。


てか思い出したら会いたくなってきちゃうじゃん!

でも、心のどこかでいつか絶対に会えるような気がするんだ。不思議だけどね。


「さ、早く帰って晩御飯にしましょ!」


「はーい!」



街に出る時とは対照的に、軽やかな足取りで石畳の街道を掛けていくアキだった。

改稿12/7

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ