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落下地点は違う世界。  作者: あせろら
1章:第二の人生
3/15

出発はのんびりと。

主人公は就職先をあみだくじで選んで面接へ向かいました。

基本、お気楽さんです。

突然泣き出すわ、謝り出すわ...ルィさんを見てると、表情がコロコロ変わる。

あまりにも突然に切り替わるので、演技か? とも思えてくるんだけど...今話を聞ける人が暫定的に、この人しか居ないからな。それに美人だし!


そんな彼女は今、満面の笑みをしていた。


「では早速ですが、貴女にはヴァレム連合の一員となり、様々な分野で活躍していただきたいと思います。ですがその前に...」


...なんか怪しいフラグが立っている気配を感じる。


「あ、あのー・・・ここらへんで一つ質問なんですが、いいですか?」


「はい、私で答えられることならば何なりとお答えいたします。」


「俺、元の世界に帰れま「お返しする方法はございません」すか・・・って、え?」

何かあっさりと不安要素を的中されてくれちゃいましたね、このお姉さん。

こっちへ連れてきたって事は、送り返す方法もあるだろうに・・・。

まぁ、こんな姿じゃ帰っても「赤井章」としては生きていけないけどさ!


・・・というか、帰れないのね。


やり残した事、沢山あるんだけどな...。彼女作るとか、結婚するとか、友達作るとか、パソコンで遊ぶとか。今更考えても遅いか....はぁ。


心の中に渦巻く鬱憤を晴らすように、草をプチプチ千切る。

「ちなみに、こちらの世界に呼び出される人は元の世界で天に召されてしまった方なのです。ですから、心機一転で第二の人生を歩むのもまた楽しいですよ!」

この姉さん満面の笑みである。そしてさっきよりもどこか腹黒い笑みだね。


「まぁ、別にいいですよ。 あっちで死んだみたいだし・・・・」

そういえば、親元離れて4年。 親には相当心配掛けただろうに...あっさり死んじゃったな。泣かせちゃったかな?母さんに親父。母さんは年取って涙もろくなってるからなぁ・・・泣いてるかも。 飲んだくれ親父が泣くところは想像できないけど。


今はもう帰ることのできない故郷へと思いを馳せつつ、草いじりをする俺。

猫じゃらしっぽい草の茎を二本使って、絡ませて引っ張る...昔はこれをダチと二人でやって、茎が切れなかったヤツが勝ち! でもって負けたやつは10円ガムを奢るって遊びをやったもんだ・・・懐かしいな。


なんで黄昏てんだっけ?俺。


「そろそろ気持ちの整理はつかれましたか?」

「・・・あ、もしかして俺が何か言うの待ちだったの? ごめんねー。」

「いえいえ。 突然見知らぬ場所へといらしたのですから、気持ちの整理が付かないのは当然の事ですよ。」


やっぱ優しいんじゃないだろうか?この姉ちゃん。

さっきは戦争にぶっぱなすとか言ってたけど、きっと聞き間違いだな。


「では、貴女に宿る才能を見てみましょう。」


才能? 俺に才能・・・ ふむ? あれか!! スーパーの閉店間際に駆け込み、猛然と半額商品をかっさらう技能か!! 違うか。それじゃないとすると...22年生きてきて、5分以上話をした事がある女性は母親だけとか?....涙がこみ上げてくる。そもそもこんなの才能じゃないわ!


「では、行きます。『真実の鏡よ、この者へ宿る力を示せ』」

ルィさんが何やらぶつぶつと唱えると、目の前に白い板みたいな物が出現する。


そこには俺の名前やらがつらつらと書かれていた。


name:aki

Lv:1


job:incompetent...


str:1

int:2

dex:2


HP:27/27

MP:12/12


Special Ability


:incompetent...



何これ? というのが第一の感想。


日本語で頼むわ。中学校で英語の成績が5段階評価の2だった俺を舐めるなっ!...さっきから自虐しまくりじゃない?俺。


心でサメザメと涙を流していると、表示が日本語に切り替わった。


名前:アキ

レベル:1


職業:無し


筋力:1

賢さ:2

器用さ:2


HP(現在値/最大値):27/27

MP(現在値/最大値):12/12


特殊能力


:無し


名前が違うな...俺アキラだし。・・・これがゲームのステータスみたいな物だとすると、すごく不安をそそる数字だな。


そして、何故かルィさんが驚愕の表情をしてる・・・。


「・・・貴女は本当に次元を超えてきた冒険者ですよね?」

何故このタイミングで疑われるんだっけ...?


「たぶんそうだと思いますよ?」

「では、何故こんなに低い数字で・・・」


やばい、なんか小学生の頃にテストの点数で怒られている子供の気分。 無性に情けなくなる。


でもこれ、俺が決めたもんでは無いと思うのですよ。


「まず職業が無い事が問題ですね。 他の呼び出された冒険者達は皆、なんらかの職業を持っていました。貴女はもしかして...無職だったのですか?」

「いやそれ失礼だからね? 一応言っておくけど・・・ それに俺は通信工、ちゃんと仕事してたし! NEETじゃないもん!」


あんだけブラッキーな会社でせこせこ働いたのに、無職でNEET扱いされるとか、泣いてもいいと思うんです。もう泣きそう。


「そうですか・・・他のステータスも軒並み低いですし、その細身では筋力には期待していませんでしたが、魔法のほうも望めないとなると・・・」


「それに、呼び出された冒険者特有の特殊能力も無いようですね。 これは・・・・」


ぶつぶつとしゃべり続けるルィさん。 俺を見る目が段々と冷たくなっていくのがわかる。


「・・・これではレベルを上げたとしても、この世界の冒険者相手でも並以下でしょう。呼び出されたのは何かの間違いだったのかもしれませんね?アキさん。」

「いや、俺の名前はアキでは無いよ? アキラ、 ア・キ・ラ ね?」


最初の自己紹介を聞いていなかったんだろうかね。 失礼しちゃうなぁもう。...てか本性が現れてきたって感じだな。 実際腹黒そうだしなぁ、雰囲気的に。



「その名前は前世の名。これからの名はステータスで表示されているのが本名です。もう前世の名前は使わないほうがいいですよ。」


「あ、そなの・・・ 俺今日からアキね。 りょうかぃ・・・」


名前まで変わっちゃったよ。見た目だけじゃなく・・・。そういえば、ゲームのアバター名か、「アキ」は。

母さん親父、あなたたちに頂いた名前はもう使えないようです・・・。


「・・・では、私はここで失礼しますね。新たな冒険者を探しに行きます。」


へ?

もしかして、駄作だから用は無いって事?

それに新たなって・・・もしかしてまた死んだ人間でも呼ぶの!?


でも普通に考えて、今回必要だから俺が呼ばれたんだろう。 そして俺が使えないみそっかすだったからもう一度誰かを呼び出すって事?

簡単に言ってくれるなぁ、この人。


...楽観してる場合じゃない、人の事より自分の事だ。 


「もしかして、俺見捨てられちゃう系ですか?」

「別に貴女へ危害は加えません。ですから、ここから立ち去って下さい。」

「え...俺この世界のこと全然わからないんですけど・・・?」



終わったかもしれん。



「では、早々に旅立ってくださいね。 次の冒険者がここに召喚されるまでに立ち去ってください。もしその時になってもこちらへ居られる場合、排除させて頂くかもしれません。では、私はこれで失礼します。」




「・・・・!? え、っちょ、ま!!!」



眩い光がルィさんを包み込み、光と共に消え去ってしまったのだった。


ちょい待て・・・こっから立ち退きしなかったら殺されるのか!?俺...。

怖いな・・・死ぬのは柱から落ちた時で十分だわ。


ま、怖がっても仕方ないか。


・・・・さて、頭を切り替えてっと。 ここからどうする? 呼び出した張本人が踵を返すほど俺は使えないらしい。そして俺はここがこの世界のどのへんなのかさえ判らない。...ここからどの方角へ進めばどこへ辿り着くんだ?街などの文明はあるのか?もしあったとして、そこで雇用に就いて生活できるのか?


そして、そこまで移動する間の食い物は?....寝床は? 



完全に手詰まりか・・・・。



ぽてっ と草に倒れ込む。


これからどうしようかなぁ。俺こんな意味不明な場所にぶっ飛ばされて、見捨てられて。


目の前には青い空、白い雲。 さえずる鳥の声。


真上を飛んでいた小鳥が、力を失ったかのように真っ直ぐ俺の胸に墜落してきた。



ひゅるるる~  どっすん! と効果音が付きそうな勢いで。


「ぐひゅっ!?」


...結構な高度から落っこちて来たらしい。 衝撃がすさまじいかった。

おそらく、この胸にある無駄な脂肪がなければアバラの2,3本は逝っていただろう。


小鳥はどこかにぶつけたのか、羽からうっすらと血をにじませていた。

無理して飛んでいたけど、途中で力尽きたといったところだろうか?


俺は起き上がって小鳥を太ももの上に寝かせる。



・・・高い場所から落っこちて死ぬんじゃないぞ?お前。

もしかすると、ここで死ぬだけじゃなく、変な場所にぶっとばされるかもしれないぞ?



なーんて事を考えつつ、小鳥の頭を人差し指でなでなでする。

この傷、手当てしたげなきゃ・・・。


幸い、脂肪の塊に落ちてきたので落下ダメージはさほどでは無いようだ。

意外と役に立つもんだな!この胸。


胸の設定だけで2時間かけた甲斐があったという物だね!


...まぁ欲を言えば、男でつくっときゃよかったかもだけど・・・でも男の胸板だと死んでたかもだしな、小鳥。


仕方ない、体は女でもいいわ! 心はたくましく生きよう。



ズボンのポケットに入っていたハンドタオルの端を少し千切る。 ここには水が無いので、布を洗う事が

出来ないのが辛いところだが・・・

人間の唾液には消毒効果も若干ながらあるらしい。 ということで、アキちゃん(笑)特製唾液タオルの切れ端で傷口を優しく拭い、もう一度ハンドタオルを千切って作った新しい布を患部に巻きつける。


効果があるか解らないにしても、なんもしないよかマシだろう。


鳥はどうやら気絶してしまっているようなので、また草の上にごろりと寝転がり、

おなかの上に小鳥を乗せる。


これからどーするにしても、ひとまず落ち着かない事にはなんにも出来ないしな。


とりあえず、お昼寝といこうか。




・・・・・

・・・

・・



ピピ!ピィ! キュキュ!


・・・にゅ? なんの音?これ。

お昼寝の真っ最中に、何かの鳴き声が至近距離で聞こえた為、目が覚める。


「んー? あ、お前大丈夫だったのか? よしよし。 骨も大丈夫そうだったし、しばらく安静にしてればすぐに治るからなー。 うりうり。」


胸の上に移動してきていた小鳥ちゃんは、俺の人差し指と格闘していた。

頭をなでなでしようとすると、いやいやっ と逃げる。 

でも、しつこく指で追いかけると、指をくちばしで甘噛みされた。


「のぉ! 命の恩人にそんなことする子はこうじゃー!」

反対側の手でも頭をなでなで。 こいつかわいいな。


さーて。 休憩したことだし、そろそろ移動開始しようかね?


「といってもなぁ...どっちに行けばいいんだか。」

あの姉ちゃん、 俺に見切りをつけたかと思ったら速攻でいなくなったもんな。

どんだけゲンキンなんだ。 ひどいものである。


ま、いいか・・・とりあえず文句を言うのは飯のアテを見つけてからだ。


小鳥を手に持って、立ち上がる。


どっちに向かって歩こうか、あみだクジか草占いか何かで決めようと思っていると、小鳥が

鳴き出す。


「ピィ、ピピ! キュ!」


俺の正面から見て、10時方向に向かって鳴いている。

もしかして、あっちに向かって行くといいのか? いやきっとそうに違いない。

この子なかなか賢いな、うりうり。


小鳥の言うままに、いや、ここは鳴くままにか?


どっちでもいいか。


ここで深く考えても仕方ない、と思考を切り替えて歩き始めるのだった。

ルィさんは隠れ腹黒です。 今後登場する機会は未定。



改稿11/29 

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