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本日二回目の転移魔法で、再び眩暈に襲われる。
周囲の景色がぐるぐると回る中、眼前に銀色の「何か」を突きつけられる。
「・・・あれ?君はこの前のアキちゃんじゃないか。」
「ふぇ?」
ようやっと眩暈が落ち着いてくると、白銀に輝く剣を下げていくフロルさんが居た。
「なんでこんな所に転移魔法で来るんだ? 魔法が使えるのならどこか遠いところに避難するんだ!」
「で、でも...」
確かに、俺みたいな小市民が一人来ても...何の役にも立たない事はわかる。
でも...
「私は宮廷魔術師第3位 ナリア・オルビスよ。住民の避難を手伝いに来ました。」
「宮廷魔術師さんか?」
そう、俺は役立たずでも、ナリアさんなら力になるはずだ。
俺を逃がすのなんて...正直どうでもいいんだ。
いままで数日間だけど、一緒に暮らしたからわかる...ナリアさんはすごい魔法使いだ。




