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だが、王道は王道でも、やつは[うざいほう]の王道だ。
俺が思う[いいほう]の王道は、常識があるというかなんというか。
ここの王道転入生は、わが道を突き進む!タイプのやつで、まあ自分の世界に生きてる感じ。
人の話は聞かないし、自己紹介しあえば即親友。
思い通りにならないと暴れる、幼稚園から出直して来い。な奴だ。
実際、王道転入生でなければ、絶対に関わりたくないタイプの人間だ。
だが!ここは王道転入生。俺は温かい目で…いや、腐った目で見守っている。
あくまで、見守るだけで、関わるつもりはまったくない。
でも、王道転入生…面倒だから王道と呼ぼう。
王道は特進科で、俺も特進科で、嫌でも関わってしまうのだ。
それに、なぜか俺は王道に懐かれてしまっている。
いや、理由は分かりきっているのだが、懐かれているという事を認めたくない。
教室で会うたび会うたび付きまとってくるのはやめて欲しい。
もともと人と関わるのが苦手な俺としては、毎日迷惑している。
それよりも、王道の後ろに居る元一匹狼の不良、山崎殻がすごく睨んでくるんだ。怖いからやめて。
・・・しかし、生徒会に気に入られている王道。
王道を邪険に扱うと、生徒会が黙っていないだろう。
しかし、仲良くしていても所謂焼き餅というやつで目を付けられる場合、どうすればいいのだろう。
とりあえず俺は、毎日王道にくっつかれるせいで、ストレスでどうにかなりそうだ。どうしてくれる、王道よ。
などと考えていると、いつのまにか体育館についていた。
携帯を開いて時間を確認すると、8時25分。ギリギリセーフだ。
体育館に入る前に輝にメールを送り、目の前に聳え立つ大きな扉を開く。
もう殆んどの生徒が整列していて、俺も急いで特進科の列を目指す。
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