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38歳の若さで社長をしている輝のお父さん---拓さんはとてもかっこいい。
しかし、その息子の輝は男同士がいちゃつくのを見るのが好きな、所謂『腐男子』という残念なやつなのだ。
まあ、俺もその部類に入り、腐男子に誇りを持っているが。
昨日も、いや正しく言えば今日の朝も
一緒に最近はまっているBL小説を読みながら最高のCPについて熱く語り合っていたのだ。
…そのせいで寝坊したわけだが。
俺と輝の出会いは10年前。
母親と、当時12歳の兄、浩太と6歳の俺と5歳の弟の明良が輝の家の隣に引っ越してきたのがきっかけだ。
輝にも4歳の弟がいて、浩太は少し年上だったけど似たような年齢の俺達はすぐに仲良くなった。
そしていつの間にか俺は腐に目覚めそれと同じ時期に輝も腐に目覚め。
そこから俺達はうふふ腐腐なお友達になったのだ。
輝は所謂金持ちなので、それなりの学校(鳴瀬学園)に通っていたけど俺は平凡家庭なので
公立の小学校、中学校、高校に通っていた。
でも、そんな俺は諸々の事情で全寮制である、輝の通う
鳴瀬学園に夏休み前から編入することになったのだ。
そして、そこの生活はまさに天国…!
男子校で、生徒会は人気投票式で、閉鎖空間で、同性愛者が多くて!!
何を取っても"王道学園"なのだ!
そこに、王道転入生が来た!
もちろん、それは俺ではない。
俺の2ヶ月ぐらい前に転入してきた鳴瀬学園の理事長を叔父に持つ
"鳴瀬由宇紀"だ。
入学テストを500点満点中460点という高得点でクリアした頭脳の持ち主で、(俺は480点だったけど)その外見は、黒まりも……いや、オタクだ。
ボサボサな髪に瓶底メガネ。まあ、これも王道要素だ。
きっと、どこかの族に所属していて素顔は天使だから過保護な叔父さん(理事長)が
襲われないように変装しろと命令したに違いない。
さすが王道。といったところか。
そして編入初日から
生徒会会計のチャラ男には可愛いと気に入られ。
書記の双子を見分けては気に入られ。
会計(2)の途切れ途切れの言葉を理解しては気に入られ。
あげくの果てに生徒会長にキスをされ、怒って蹴り飛ばせば気に入られ。
唯一常識人の副会長を除いた生徒会全員に気に入られた挙句、
さらには特進科の爽やか青年にも気に入られ。
同室者の一匹オオカミ的存在の不良には懐かれ。
まさしく王道!
ビバ!王道!!
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