担任。
自分の席に座ってさっきの言い訳を振り返る。
冷静に考えれば、一ヶ月と少しの間ものもらいにかかり続けているというのは少しおかしな話かもしれない。
焦ってたとはいえ、もう少しましな言い訳をすればよかったかな・・・。
1人後悔しているときに、誰か近づいてくる気配がして顔をあげると、雨宮がいた。
「は、長谷部君っ」
「ん?」
「あ、あの、さっき、由宇紀君が強引に…、ごめんね」
どうやら、雨宮は鳴瀬が強引に俺に詰め寄ったことを謝っているようだ。
雨宮は無表情な俺が苦手なのだろうか、どもりながら顔をすこし強張らせていた。
王道に振り回される脇役の雨宮は案外好きだ。
なんか、守ってあげたくなる感じだ。笑顔も中々可愛い。
王道と付き合うのも大変だろうに、いつも頑張っている。
……ご愁傷様です。
・・それより、平凡受けも中々いいな。
「あー、うん、大丈夫。・・雨宮も、お疲れ様」
「…?うん」
「・・うん、頑張って」
総受け目指して、頑張って。
俺はそういって間宮の頭を軽く撫でる。
すると一気に顔を赤くして数歩後退り、じゃっじゃあ、とどもりながら去っていった。
そんな初な雨宮を微笑ましく思っていると数学教師が教室に入ってきた。
どうやら次の時間は数学のようだ。
数学教師の田部は
特進科の担任であり、生徒会顧問だ。
王道学園の王道の担任といえば、ホスト教師。
田部も例外ではなく、ホスト顔負けのルックスにスーツを軽く着崩した、所謂大人の色気ってやつが駄々漏れの男だ。
勿論田部も王道に惚れていて、初日から哲也というなんとも男らしい名前を呼ぶことを許した。
何故か、俺も許されたが呼んだことはない。
何はともあれ、さすが王道。
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