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グルグルする気持ち

第2話です。1話目も読んで頂いた方有難うございます。初めて読んで頂く方も有難うございます。

やや、ゆっくりのんびりと気持ちを書いていきたいと思っています。

1話ずつは短めにしています。前回は仕事上のメールのやり取りをしていただけの相手に突然対面してしまう事になったところまでになっています。


「あ~あ…」


驚きのあまり手がコーヒーにぶつかってこぼしてしまった…


「白衣の替えあったっけ?

パソコンにかからなくて良かった…」


とりあえずロッカーに取りに行こう。

・・・・・そんなに驚く事もない・・・よな。考えたら。

棚澤さんとメールをするようになって半年ぐらい…プライベートの会話をメールでするようになってからは3ヶ月くらいか…


向こうは仕事で来るわけだし、僕が動揺する要素はなにもない。

ただ、ずっと顔を見ることもないと思っていた相手に突如会うことになったから

驚いただけだ。

僕はゲイだけど、男なら誰でも恋愛対象なわけじゃない。好みの男が恋愛対象なわけだから

まず、第一に棚澤さんがタイプかどうかもわからないし…



・・・・・・・はい??なんか・・・まず恋愛対象どうのって考える事じゃないだろ



単に棚澤さんが仕事でこっちの支店に顔を出すってだけの話だ。


仕事場からロッカーまでは少しある。歩きながらなんかグルグル考えてしまった。


よかった…白衣の替え持ってて。

コーヒーのシミって簡単に落ちるのかな…


ガッチャ…


「おっ。野田君おはよ。珍しいね、1番乗りじゃないなんて」

「おはようございます。ちょっと白衣にコーヒーこぼしちゃって」

「なんだ、ちょうど今日俺2枚持って来てたから貸したのに」

「いえ、大丈夫ですよ。大木さんのじゃ、僕には大きいし」


自分で言うのもなんだけど…少し男としては、ほんの少し華奢かもしれない。

まあ…恋愛対象が女じゃないから、あんまり気にしてないけど。

ちなみに顔は普通だ。女顔ってわけでもないし、女の子に告られたこともないわけではない。

もちろん断るわけだけど…


「野田君。メール見た?今日、本社の人が昨日の測定値オーバー品の再作持って

 こっちに来るって」

「あっ。はい。知ってます。横浜からこっちには4時間くらいですかね」

「混んでればそのくらいだろうな。再測定とかっぽいなぁ…」

「?なんか今日用事あるんすか?大木さん。」

「いやっ!今夜、コンパなんだよ~。」

「じゃあ、再測定とかだったら大木さんの担当は僕がやっておきますよ。」

「まじでっ??サンキュー!!今度お礼すっからさ」


そんなよくぞ聞いてくれました的な顔されたら、こう言うしかないでしょ…



お昼くらいか…棚澤さん来るの…


・・・・・・・・いやいや。楽しみとかじゃないから。



                    *



そろそろ11時か…もうすぐかな…

なんかずっとその事を考えてる気がする


「なあ…野田君って好みタイプってどんなの?」

「えっ?」


面倒な質問がきてしまった。


「いや。今日仕事やってもらうお礼にコンパと思ってさ」


お礼のコンパっておかしくない?でもノーマルなら喜ぶか…


「大丈夫っすよ。気にしないで下さい。逆に僕が大木さんに頼むこともあるかもしれないし。

それに今夜は予定がないからなだけなんで

それより再測定品の仕様ってこれでいいか確認してもらっていいですか」

「あっうん。大丈夫、それで」


好みのタイプ…ね。まず会社で僕のタイプ知ってる人なんていないけど。

タイプとしては、体格はやりすぎでないくらいにガッシリしてて

髪は短髪じゃないとベストだな…

あと顔は…


コンコン!


「失礼します」


急にノックをされてびっくりしてしまった。


測定室にカジュアルすぎない感じの服装で印象の良さそうな男性が入ってきた。

背もすんなり高くてややたくましい感じで、顔と首のラインがしっかりしてるけど

きれいで、少し大きめの口が明るい印象を与える。


絶っっっ対に棚澤さんだと思った。容姿に関してメールで話した事はないけど

勘だけど、棚澤さんだと思った。


「本社から来た棚澤です。お忙しい中すみません。」


当たった!!


「はじめまして。大木です。」

「はじめまして。」


声も低くて良いな…


「はじめまして。野田さんですよね?」


声を聞きいっていたら突然自分の名前が出てきて、またびっくりしてしまった。


「はじめまして。野田です。宜しくお願いします。」


ニコっと笑った顔をじっとみてしまった。


「すみません。昨日の試作品なんですが、再測定してもらえますか?

 今日、再作で持ってきたんです。ちょうど材料が在庫にあったので」

「あっはい。大丈夫ですよ。そうなるかもと思って準備はしてあります」

「よかった。お願いします。

 明日の朝一で納入したいので、助かります。」


棚澤さんに会ってしまった…しかも、まずい事にどストライクではないけどけっこう好みのタイプだ。


まぁ…今回はたまたま会ったけど、普段は会うこともないんだし…


好みのタイプだろうが関係ないか…ていうよりまず恋愛対象から外さないと…



                    *


試験もすべて終わった頃には僕と棚澤さんしか測定室には残っていなかった。

でも予想していたよりもかなり早く終わった。棚澤さんのおかげだ。

棚澤さんは本社勤務なだけあって頭が良い。やってもらいたい事を自分で気づいてくれる。

気が利くし、勘が良い。もてるだろうな…



「野田さん。これ纏め終わりましたよ。」

「あっありがとうございます。そしたらあとはこのデータで終わりです」

「助かりました。ほんとに。…皆さん帰ったのに、残ってやってもらって」

「いえ、棚澤さんこそ色々手伝ってくれてありがとうございます」



ふと時計に目をやった。棚澤さんの勤めている本社は横浜だ、自宅もその辺りだろう

今から帰って夕飯じゃかなり遅くなるだろうな。



「もう9時近いですけど、棚澤さん夕飯とかどうします?」

「いや、この辺りの土地勘ないんで、帰ってからにしようかと思ってます。

 昨日野田さんに教わった料理また作ろうかと、早くて美味いし。」



ニコっとこっちを見て笑った。またその笑顔をじっと見すぎて慌ててしまう。



「もしよければ一緒にどうですか?

 近くに美味くてけっこう安いとこ知ってるんです」



自分で言いながら驚いてしまった。会社の人間を夕飯に誘うとか普段なら有り得ない。



「えっいいんですか?是非お願いします。」



さっきの倍くらいの笑顔で快諾されてしまった…なんか普通に嬉しい…



「じゃ、早くこのデータ纏めちゃいましょう」



あまりの笑顔に目を逸らしてしまった。

なんだろ…眩暈がしてきそう…


次回更新は4日の10時を予定しています。

宜しくお願いします。

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