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* 七 *
音に吃驚してバルコニーに出ると音源を捜す。見ればなにやらこのマンションに面した道路で事故が起きたらしい。正面に男女らしい二人組がぐったりとした様子で横たわり、そこからやや離れた位置にタクシーが停車している。
あのタクシーが目の前の二人を轢いたのか。
それだけ分かれば興味はない。きっと知らない誰かが通報してくれていることだろう。アタシはアタシの生活に戻るだけだ。あんなセンセーショナルな事故も何とも感じないなんて、結構マジで疲れているのかも。
支度の終わったブランチを並べるとテレビを点ける。
『あなたの生活にささやかな幸せを! 使い方はとっても簡単。箱から取り出してスイッチを入れるだけ! これであなたの言うことをなんでも聞いてくれる! 今や一家に一台は欲しい次世代ロボ! 今なら……』
どこにあんなケバい人形を欲しがる人間がいるのかしら。あんなので幸せが手に入るなんてね。自立型自動人形、もう少しネーミングを考えろよなぁ。
アタシが考えた商品名だけどさ。
CMを見て小さく笑うと、トーストを口に含んだ。




