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* 二 *

 死んだとばかり思った。あの高層ビルから落とされたときにはそう思っていた。走馬燈を見なかったから死ねなかったのかしら。

 頭の奥で何かの駆動音が聞こえている。

 キーカタカタ……キュイーンカタカタ。

 私自身は何かに支えられて直立しているようだ。目の前の青年が青い顔をして不安げにこちらを見ている。私はにこりと微笑んで、怯える彼を落ち着かせようと試みた。

 この状況はよく分からない。目の前の青年も同じなのかも知れない。

 この場所はおそらく彼の部屋なのだろう。ほぼ黒で統一された部屋の中は物が溢れていたが片付いている。

 私は何故この部屋にいるのだろう。

 じんわりと温まってきた腕をそっと前に伸ばしてみて、はたと気付く。この身体は私のものではない。私のものではないどころか、それはまるで人形。


 ドウイウコト?


「……君」

 青年が戸惑った声をあげた。そして恐る恐る私の頬を撫でた。

「泣くなよ。どうにかしてやるから」

 こんな身体でも、泣くことが出来るなんて。

「うっ……」

 それが、私の覚醒だった。

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