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* 十二 *

 正直、頭が痛かった。

 次から次に舞い込む自立型自動人形の事故のニュース。クレームの電話は鳴りやまないし、メールは処理できないほどたまった。反響は悪い意味で広がっている。

「で、これをいかに収拾するつもりで?」

 休暇を取っていた責任者を呼びだし、対策を練っているところである。彼女の首に掛けられた赤いヘッドホンが場に非常に不釣り合いで、ますます感情を逆撫でられる。

「なるようになるしかないと思われます」

 彼女はきっぱりと言い切る。提出された資料には対策の『た』の字も見当たらない。

「君の道楽に付き合うほどの予算はもうこちらにはない。君はこちらに請求された損害賠償の金額をご存じかね?」

 苛立った口調で言うと、彼女はすました顔をしてこう答えた。

「結局『人は全てお金で解決できると信じている』ってことです。高い金を払って得られた我が社の教訓がそれでしょう。でも『幸せはお金では買えない』ことの証明になったのであれば、この企画は成功だとあたしは確信しています」

 彼女が責任をとって辞職したのはその直後のことだった。

これでおしまいです。

拙い物語でしたが、

最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

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