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アニメ「四月は君の嘘」途中の感想

 第9話まで。放送は2クール(26話?)で、来春原作マンガの連載完結に合わせて完結予定。



  母の死をきっかけにピアノが弾けなくなった

  元天才少年・有馬公生。

 

  モノクロームだった彼の日常は、

  一人のヴァイオリニストとの出会いから色付き始める。

  傍若無人、喧嘩上等、でも

  個性あふれる演奏家・宮園かをり。

  少女に魅せられた公生は

  自分の足で14歳の今を走り始める。


  第37回講談社漫画賞を受賞した

 「青春×音楽×ラブストーリー」!


 __以上、TVアニメオフィシャルサイトより。



 というわけで、中学生たちのクラシック音楽を巡る青春ラブストーリーです。

 クラシック音楽を題材にしたマンガと言うと、同じノイタミナ枠でアニメ化もされた「のだめカンタービレ」が思い出されます。

 「のだめ」の原作者はクラシックはまったく門外漢で、取材を徹底して行って描いていったそうで、「自分は素人で、取材をしながら描いていったのがよかった」とインタビューを読んだような気がします。

 「四月は」の原作者は「のだめ」に比べるとなんとなーく音楽当事者のような感触があって、もしかしたらこちらは実際にピアノを習ったりしていたのかなあ……と思ったら、


 _高校時代はヘヴィメタルを聴いていたが、「ヴァイオリンを演奏する少女を描きたい」との思いが作品を始める上での動機となり、(専門家に)取材協力を仰いだ。(wikiより)


 だそうで、やっぱり取材を行って物語を作っていったようですね。コンクールの様子などすごく具体的で、リアルです。

 「のだめ」は音大の生徒たちの物語で、

 「四月は」は(いずれは一流のプロ演奏家を目指している)中学生たちの物語で、

 同じ舞台を目指しながら、ちょっと熱の種類が違うように感じます。

 音大生たちはごく近い将来に差し迫った身の置き所が掛かっていますから、同じプロを目指すにもよりシビアに自分を客観視して考えています。

 中学生たちもプロを目指す熱意は同じですが、その情熱が、目指すところが世界の一流演奏家といういわば夢であるので、より純粋に感じます。表面的な熱量も高いかな。


 物語も「のだめ」があくまで取材に基づくリアリスティックであるのに対し、

「四月は」はよりキャラクターの内面がドラマチック。


 主人公、元天才少年の有馬公生は、母親の死がきっかけでピアノが弾けなくなってしまっているのだが、その少年時代は壮絶。母親の厳しい指導により、出場するコンクールに軒並み優勝するが、楽譜通りの正確無比な演奏は「機械」に例えられ、他の出場者たちから反感を持たれている。母親は病気で入院し、久しぶりに観覧に来たコンクールで公生は見事な演奏で優勝するが、看護人の押す車椅子に乗り、鼻に酸素のチューブを付けた母親は、会場で周りに人がいるのもかまわず演奏を厳しく糾弾し、杖で頭から血を流しメガネが吹き飛ぶほど激しく殴る。

 このシーンを見ながらわたしはもうムカムカしてしまって、それまでも遊びたいの我慢して手が痣だらけになりながらも練習を続け、じいっと我慢している公生少年に、

「言え、言え、言ってしまえ!」

 と心の中で念じ、その思いが通じたのか(そんなわけないけど)とうとうそれまでの不満の凝り固まった言葉を口にしてしまうのです。

 よし、よく言った!……と思ったのですが、

 ほどなく母親は亡くなり、これが母親との最後の言葉になってしまったのでした。(第9話)

 そうかあ、そういうヘヴィーな出来事があったのかあ…………と思いつつ、

 実はわたしもこれ、書いてるんですよねー、わたしはホラー小説ですけど。これが自慢したくてこの記事を書こうと思ったんですけど。


 こうしてピアノが弾けなくなって、すっかり地味〜〜な一般中学生の生活を送っている主人公の前に、まるで空から舞い降りたかのような、実にカラフルなヴァイオリン少女が現れ、強引に主人公を音楽の世界に引き戻していく。

 ここらへんの展開や表現が思いっきりマンガ的で、汚部屋でピアノを弾きふけっていたのだめとは対照的です。

 この


  傍若無人、喧嘩上等、でも

  個性あふれる演奏家・宮園かをり。


 は、「人間メトロノーム」の主人公とは対照的に、思いっきり個性的に飛ばしまくりの演奏をします……ここらへんものだめとかぶりますが。


 「のだめ」も後半ヨーロッパに留学して、一流の演奏家を目指す中で、楽譜をどう読む(解釈する)のか、本当によい演奏とは何か? といった、クラシック音楽特有の問題にぶち当たり、悩み迷い、重〜〜く、暗く、前半の軽やかで、クラシックの権威なんか突き抜けちゃった爽快感がすっかりなくなって、正直、つまんなくなっちゃいましたが。


 「四月は」も今後の展開でどうなるか分かりませんが、今の段階では、コンクールに出場する若き音楽家たちの演奏は、思いっきりドラマチックに、……………ポップっていうか、J-POPっていうか、クロスオーバーっていうか、若者乗り。

 前回後半の演奏を、次回冒頭別バージョンのリプレーなんですが、ピアノ演奏に別の楽器を乗せちゃって、よりドラマチック度をアップしているんですが、ちょっとやり過ぎかなと。イージーリスニングになりかねない。

 登場する同年代の演奏家たちも、「個性あふれる」、なんだけど、感情の持って行き方が同じかなあ……と。

 悪くはないです。すごく盛り上がります。

 そもそもこのアニメ、取りあえず1回見てみるかあ、程度の気持ちで見たんですが、特に演奏シーンがすごくよくて、続けて見ているわけでして。

 アニメ版「のだめ」は残念ながら肝心の演奏シーンがまるで盛り上がらなかったですからね。

 「四月は」も基本的に実際の演奏をトレースしてコンピューターで絵にしてるんですが、ちゃんとアニメーターが描き起こして、アニメの演技を付けています。カメラワークもドラマチック。全体的にアニメのレベルは高いですが、特に演奏シーンは力が入りまくってます。

 2つの作品を「いい・悪い」で比べるのは作風が違うのであまり意味がありませんが、アニメとしては「四月は」の方が圧倒的に魅力があります。


 「のだめ」はプロの演奏家やかなりうるさいクラシック音楽愛好家も大絶賛だったと思います。わたしもドラマ版はすごく面白く、盛り上がって見ていました。

 「四月は」は「のだめ」に比べると青い。圧倒的に青臭い。クラシック音楽の解釈も、アニメの表現も、やっぱりノリがポップすぎて、クラシックのうるさ型は「う〜〜む」と渋面を作りそう。

 わたしは、まあまあ、日常的にクラシック音楽を聴いている方で、もし、FMでこういう演奏が聴こえて来たら、「なんだこれ?」とその思いっきりの「若さ」に笑っちゃうと思う。嫌なうるさ型のクラシックファンです。

 「のだめ」とは別のベクトルで、すごくマンガ的です。

 ドラマチックすぎるほどドラマチックで、クラシック音楽をミュージカルで表現しているみたいな感じもしますが、

 若い演奏家たちの情熱ほとばしる本気の前には、やっぱり黙って、真剣に見入ってしまいます。



 公生は再びピアノを弾けるようになるのか?

 今後もドラマチックな展開が待ち受けている予感がビシビシします。

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