歌の上手すぎるMay J.に思う
※書き直しました。
また「ネットの記事」ネタで申し訳ないんですが。
<『アナ雪』「なぜエンドソングはMay J.が歌ってるの?」の声に本人ショック|マイナビニュース>
→http://news.mynavi.jp/news/2014/08/11/050/
「アナと雪の女王」主題歌を歌うMay J.が、8月10日TBSのドキュメンタリー番組「情熱大陸」に出演した際、
<<日本語版主題歌としてMay J.が歌うエンドソング版と、エルサ役を務めた松たか子による劇中歌版の2種類ある「Let It Go~ありのままで~」。このことに関してMay J.は、「『なんでエンドソングはMay J.が歌ってるの?』と思っている人が多い」という現状を残念そうに話した。 >>
とのことで、松たか子版に人気が集中していることを気にしているようです。詳しくは元記事読んでください。
主題歌が、松たか子の「劇中歌」バージョンと、May J.の「エンドソング」バージョンの2種類あることについて。
ミュージカルの劇中歌というのはセリフと同じで、歌だけ歌手が吹き替えることもありますが、キャラクターを演じている女優が歌うのが基本で(多分)、それは演技の延長で、その劇中における解釈で歌っているはずです。
一方、エンドロールで流れるエンドソングは、「歌」として、本職の歌手が歌っているものと思います。
そもそも「歌」というのは歌い手、聴き手によって千差万別の解釈の出来るところが素晴らしい芸術だと思いますが、ミュージカルの劇中歌は、極端に言えば、たった一つ、そのキャラクターの感情しか解釈を許されないものだと思います。
「Let It Go」の場合、この「キャラクターの感情」が多くの観客の心情にストレートに受け止められて、大きな感動になり、これだけの大人気になったのだと思います。
一方、エンド版「Let It Go」は、純粋な「歌」としてより幅広い解釈が出来るようにニュートラルなアレンジ、歌唱になっていると思われます。
映画を観て感動した人が松たか子の劇中歌により感動するのは当然だろうと思います。
これはやっぱりMay J.に分が悪いですね。
でも松たか子版はあくまで「アナ雪の歌」ですから、良くも悪くも映画とは切り離せず、
「Let It Go」が純粋に歌として評価される日がくれば、May J.版の評価もまた変わってくるんじゃないでしょうか?
……と、わたしは考えたんですが、
実はこの二つのバージョンは一部歌詞にも違いがあって、そのことについて、
<<May J.は「劇中のエルサは『ありのままの自分で生きていきたい』という"願望"がある。(劇中歌は)その決意を示す時に歌っています」と語り、「エンドの私が歌わせていただいている主題歌の方は、紆余曲折があったエルサが初めて自分の本当のありのままの姿を見つけた"幸せ"を歌っているのがこのエンド」とそれぞれの歌詞に込められた意味を解説した。>>
_<May J.が語る、「Let It Go」の劇中歌と主題歌で歌詞が異なる理由>
→http://news.mynavi.jp/news/2014/07/03/127/
……だそうです。それぞれに違う役割があるんですね。
ところでMay J.と言えば「アナ雪」以前は「カラオケ得点女王」として有名で、
「アナ雪」の松たか子派にMay J.の歌が受けない理由に、
「歌が上手すぎ」て、
「なんか感情がこもってない」
というのがあるようですが。
May J.さんはけっこう苦労人のようで、前述の記事より、
<<2006年にデビューしてからの長い下積み時代の苦労も告白し、深夜のクラブで年100回以上のライブをこなす日々が続いたという。また、過去にオリジナルアルバムを6枚リリースしてきたがどれも売れず、"オリジナル曲が売れない"ということに悩んできたことも明かした。>>
とのことで、
それだけのことをしてくれば、歌に演歌的、またはブルース的な湿った情感、渋みが感じられてもよさそうに思いますが、……ないですよね?そういうの。
あくまでも、綺麗な歌声で。
思うんですが、May J.さんは、根っから、歌を信じ切ってるんじゃないでしょうか?
この人は女優ではなくあくまで歌手で、ひたすら歌に忠実なんじゃないでしょうか?
3歳の時から歌手になりたかったそうで、夢は「ディズニーの主題歌を歌えるようなシンガー」だったそうで。
とにかく歌が大好きで、歌を信じ切っていて、歌に忠実で、だから、
歌に「自分」というものがあまり出ないんじゃないでしょうか?
聴く人がそれを良しとするか駄目と思うか、それぞれだと思いますが、
「歌」自身にとっては、とても信頼できる、心地よい歌い手なんじゃないでしょうか?
オリジナルがなかなか売れない、という悩みも、「アナ雪」のブレイクで良い方向に行くんじゃないかと思いますが、
「歌」そのものをテーマにした歌なんか歌ったら、思いっきり気持ちが入って感動的なんじゃないかなあ?……なんて思います。