レミーのおいしいレストラン
テレビ放送で見ました。
「カールじいさんの空飛ぶ家」の「風船で家が飛ぶ」という設定同様、
「ネズミが料理する」
という設定に「そんなことあるわけないだろう」と考える人には向かない映画。
ただ、
レストランの厨房にドブネズミがうじゃうじゃあ~~っという映像はネズミの毛並みがリアルに描かれているだけに生理的に受け付けないという人もいるのでは?
わたしもけっこう
気持ち悪る
と思っちゃいました。
面白いシーンも多かったですが、全体としては盛り上がりどころを外しちゃった感じがしました。
ストーリーの構成がイマイチ整理されていない感じがしたんですが、意図的かな?
舞台がパリで、フランス映画のおしゃれな感じを意識したのかな?
フランス映画って変なもので、100分の映画があったとして、90分間退屈で退屈で、何度もビデオを止めるのを我慢して見ていると、突然、あれ? とやたらと面白くなって、目をぱっちり開けて見入っていると、すぐに終わっちゃうんですよね。半分くらいからこうなってくれないかと思うんですが、最後の盛り上がりに映画の全てを捧げるのがフランス流なんでしょうか?(わたしが見たのがたまたまそうだったのか、たいした本数見てないので確信を持っては言えませんが)
「レミーの」は途中で大きく盛り上がって、このまま加速してクライマックスへなだれ込んで……と期待したんですが、あえてそれを外した感じがしました。
しっとりと心情を描きたかったのかも知れませんが、それはそこまでにどれだけその人物が深く描かれているかに成否がかかっていると思うのですが、今一つ人物描写が不足のように思いました。
見終わって、あんまり面白く感じなかったんですが、その一番の原因が、
ネズミの天才シェフ=レミーと組む人間の駄目シェフの若者=リングイニにまったく魅力を感じなかったから。
ほんと、こいつ、最初から最後までただの駄目な奴なんだもん。
必死に努力して、駄目で、その上でレミーに、助けてくれよ、と頼むならまだしも、ほとんどなんの努力もしないで周りの助力(と思いがけない幸運)にべったり甘えているんだもの、はっきり言って不愉快だ。
代わって劇中で最も魅力的なのが悪役の、超辛口、毒舌評論家のイーゴ。デザインは吸血鬼。
グルメで、いっぱい美味しい物を食べているはずなのに、痩せて血色不良の風貌をしている理由が彼の美学を現していていかします。
悪役である彼が、最後にすごく勇気ある、自分の美学を貫く行動をとる。
すごーくいいことを言ってくれるんですよ。1回見ただけなのでうろ覚えですが、
「世間は新しい才能に冷たい。
誰かが味方になって応援してあげなければ駄目なのだ」
といったことを言ってくれてます。
もうお亡くなりになりましたが、クラシック音楽評論家の吉田秀和さんが特集番組の中で(これもうろ覚えですが)
「芸術っていうのは誰かが言ってやらないと、消えちゃうからね」
と言ってまして、
人というのは他人の評価をすごく気にするもので、なかなか自分自身で評価するということをしない。他人の評価に「うん、そんだよね。自分もそう思う」と乗っかるだけで。そこで、
誰かが言わないと、
その芸術は人に顧みられことなく、ひっそりと消えていってしまう、
ということだと思います。
(皆さん。新人の作品は積極的に評価してあげてくださいね?)
イーゴの評論も、ここでグーッと盛り上が……れるとよかったんですが、わたしは自分自身期待したほど盛り上がらなかったんですよねえ……
その前がちょっとドタバタし過ぎちゃってるのかな?
でもこの映画、ネットではすっごく褒めている人が多いみたいだから、わたしの感覚が変なのかも。
監督は「Mr.インクレディブル」のブラッド・バードなんですね。こっちは大好きです。