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塔の上のラプンツェル

「アナと雪の女王」が超特大ヒットで絶好調のディズニーアニメ。

 この映画について書ければいいんですが、残念ながら観てませんので、その前作(正確にはプリンセス物の)の


「塔の上のラプンツェル」について。


 これも楽しく、キュートで、ラブリーな傑作だと思います。



 ラプンツェルはすごーく長ーーーーーい、黄金に輝く髪の毛の女の子。

 森の中に隠れるように建った、階段もない塔の上で母親と二人で住んでいる。

 なんで彼女がこんな所に住んでいるのかと言うと、

 実は彼女の黄金の髪の毛には不思議な力があって…………



 というお話。


 この映画で面白いなと思ったのが、ギャグのお芝居で笑えるんです。

 主人公ラプンツェルは母親(を演じている悪い女)の策略でほぼ生まれてからずーっと塔の上の部屋に軟禁状態で、母親の他には誰にも会わないまま恋愛適齢期を迎えてしまった、結果的に引きこもりになってしまっている少女。

 この絵を描くのが得意な引きこもり少女を日本版ではしょこたんこと中川翔子が演じているというのが「ナイスキャスティング!」と笑えますが、しっかりしたいい演技をしてくれています。


 このラプンツェルの「一人乗り突っ込み」(?)が笑えます。


 外に出たい!と強く願っていて、たまたま忍び込んで来た盗賊の手引きで外に出ることが出来たのですが、なにせずーっと引きこもり生活だったので、

 ああ、とうとう外に出られたわ!

 と喜びつつ、

 でもどうせわたしみたいな引きこもり女……

 と落ち込んで、また、

 自由だわ!

 とはしゃぎつつ、

 でもどーせ……

 みたいに勝手に自己完結して落ち込んで、で、また……という具合に忙しい。

 日本人のセンスが独特なのか、海外のコメディーって何が面白いのか、全然面白くないぞー!という場合が多いですが、

「ラプンツェル」はキャラクターのこうしたコメディー演技が、「あはははは」と、普通に笑えるんですよ。

 このギャグのパターンはあちらのシットコム(=シチュエーションコメディー。スタジオ観覧形式でお客さんの笑い声が入っているタイプ)にありそうな感じですが、実写や舞台で俳優が演じる場合でも、その演技がへたくそだと笑えないで白けちゃいますよね。

「ラプンツェル」はキャラクターの演技がいいんですよ。

 CGも本当に良く出来てます。

 主人公ラプンツェルはキュートな女の子で、あんまり美人すぎず、微妙に挙動不審なところが残っているのがチャーミング。目がこぼれ落ちそうに大きいんですが、その瞳が、クライマックスでものすごい威力を発揮するんですよ。光線が出るわけじゃないんですが、瞳の変化が素晴らしい演出になっています。まだ見てない方は是非ご自分の目でご確認ください。


 もう一つ、面白いなあと感心したのが、


 悪役のキャラクター。


「魔女」なんですが、彼女自身は普通の人間なんですよね。

 過去のディズニー映画でも普通の人間が悪役であるのはあるけれど、

「シンデレラ」だって継母が悪役で、すごく冷徹で嫌な顔をしてますが、これはあくまで単に意地悪な女。魔女ではないです。

 ラプンツェルの母親は魔女なんだけれど、実は普通の女、という点がユニーク。

 普通の人間なので、当然普通の人間として描かれているんですが、

 普通の人間の彼女が何故「魔女」になって悪役になっているのか?

 その人間の欲望、と言いますか、女の欲望、がリアルに人間臭く描かれていて、キャラクターが深いんですよ。

 彼女は偽の母親であって、まったく血はつながっていないんですが、

 彼女も「一人乗り突っ込み」(?)が得意で、ラプンツェルはその影響を受けているんじゃないかと思います。

 この精神的な関係が、

 終盤、ずっと実の母親と信じて疑っていなかったのが実は………となった時に、二人の間にどういう感情が噴き出すのか?

 ドラマとして見所です。


 この母親が悪役というのは、子供にとっては分かりづらいんじゃないかなあ?と思うんですが、どうでしょう?

 超特大ヒットばく進中の「アナ雪」も、見てないんですが、テーマ的には子供には難しいんじゃないかと思います。

 例の大ヒットソングのシーンをまるまる公開しちゃった日本版の予告編、

 全ての物を凍らせてしまうという封印しなくてはならない能力を、「ありのーままでー」と思いっきり解放して楽しんじゃう、っていうシーンですよね?

 やっぱりテーマとしては難しいと思うなあ。

 子どもも、難しいテーマは難しいとして、映像とストーリーの面白さで大喜びで観てるのかな?

 なんとなくの観察なんですが、「アナ雪」の大ヒットの要因は、若い女性のお客さんが大挙して観に行ってるからなんじゃないでしょうか?

 だいたい大ヒットする映画は若い女性の観客層にアピールする物というイメージがあります。

 女性のお客さんが多いのはやっぱりテーマ的にアピールするものがあるというのと、単純に映画として出来がすごくいいということなんじゃないでしょうか?

 きらびやかな氷の映像表現も素晴らしいけれど、特に女性にアピールするのはドラマとしての出来の良さなんじゃないでしょうか?


 何故ディズニー映画がこうしたドラマチックな魅力を獲得することが出来たのか?

 という考察は次のテキストで。

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