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(あしたは)「悪夢ちゃん」(スペシャル)

 わたしはここ数年、全然まともに本を読んでなかったんですが、最近続けて数冊小説を読みまして。

 そのきっかけが「悪夢ちゃん」の原案小説、恩田陸の「夢違」。

 書店で「映画化!」の帯を見て、「やったー!」と文庫を購入。映画公開までまだしばらくあったので、この際だと、どれにしようかなーと、同じく恩田陸「三月は深き紅の淵を」も購入。こっちを先に読みました。


「三月は深き紅の淵を」

 というタイトルの幻の本を巡る4つの物語。

 う~~~~む、分からん。

 わたしはてっきり全部つながって1つの大きなストーリーになるのかと思っていたのですが、基本的に全部別々の話で、しかも「三月は深き紅の淵を」という同じ本についての話かと思ったら、これも全部微妙に本の内容も違っていて。

 同じモチーフの変奏曲集という感じ?

 ストーリーがしっかりしていないと気が済まないわたしとしては、どうにも評価の手がかりもつかめない、変な本でした。


 もやもや感がいつまでも晴れないまま「夢違」に突入。

 こちらは12年の直木賞候補になった作品で、あの「悪夢ちゃん」の原案でもあるわけだし、昔読んだ「ドミノ」は怒濤の集団喜劇で面白かったし、間違いなかろうと。

 読みながら、「あれ?」

 恩田陸さん、

 もしかして、わたしの小説、読んでませんか?

 なーんてね。

 よく似たアイデア、よく似たイメージのシーンがあるんですよ。

 はいはい、分かってます、100パーセントないですね。素人作家が陥りがちな幻想です。

 でもなあ、似たアイデアで書いて、片やベストセラーの直木賞候補で、片やほんの少数の人にしか読んでもらえないかわいそうな処遇で。悲しくなっちまいますね。

 ただの勘違いの愚痴ですが、実はこれも、小説の内容とちょっとリンクしてるんですよ。詳しくはネタバレになるので解説しませんが。


 でもどうなのかなあ、この作品。

 読み終わった感じが「三月は」とあんまり変わらないんだけど。

 前半はすごく面白いです。

 次々に魅力的な謎が登場して、予想外の展開を見せて、後半、さて様々な謎の解明は?と期待すると………え?謎解きは?

 文庫で500ページのなかなかの大作なんですが、読み進めて、終盤、ページ数が少なくなっていくことにだんだん焦りが出て来て、で、上の感想です。

 最初の方に登場するいかにもいわくありげな人物のいわくありげな言葉。その正体が、これ? これが素人作家の作品だったら、苦し紛れの安直なつじつま合わせ、とめちゃくちゃにけなされますよ。でも恩田陸だからなあ、大ベストセラー作家だからなあ、直木賞候補だからなあ、何か深遠なテーマ性やら隠されたメタファーがあったりするのかなあ……と考えて、分からん。

 うーむ、さっぱり分からん。

 序盤から中盤にかけて出てくる謎もみんな投げっぱなし。

 ストーリー自体は完結するんだけれど、何故そうなったのか、という解説がほとんどされていない。自分で考えて、ということなのかもしれないけれど、それが知りたくて読んでたんだけどなあ。ちょっと、不親切すぎません?

 とにかく思いついた面白そうな話題を次々に展開して、その場その場で、先のことを全然考えてなくて、そろそろまとめに入らなくちゃなというところで、色々ばらまいた物をどうまとめようか考えたんだけど、答えが見つからないで、ま、いっか、とメインの部分だけ適当につじつま合わせした感じ。

 どうも作者には最初からきちんと筋の通った物語を書こうと言う気がないような気がする。

 それはやる気が無いんじゃなくて、最初からそういう物を書こうと思って、その通りに自分をコントロールして、最後までその姿勢で書いた物のように思う。けど、

 高度に文学的すぎて、エンターテイメント脳のわたしには理解できません。

 高度に文学的であるのは、このとてつもない読後のもやもや感が証明している。作品に力が無かったらただの「駄作」で切り捨てて、こんなに後を引かないものなあ。

「三月は」の文庫帯に「本好きなら恩田陸」と誘い文句が書いてあるけれど、なるほど、その通りかもしれない。よほどの本好きならこの超絶アクロバット的文学作品を心から楽しめるのかもしれない。わたしには無理でした。

 なるほどなあ、「悪夢ちゃん」の「原作」ではなく「原案」にしかできないわけだ。

 テレビスタッフ、偉い!

「夢違」にもやもやしまくって、「悪夢ちゃん」のノベライズである角川つばさ文庫もちらっと覗いてみましたが、こっちは文章が子供向けの生真面目な印象で、テレビドラマの面白さは出ていない感じだなあ。




 12年10月から12月まで、全11話放送された「悪夢ちゃん」。

 わたしこのドラマ大好きで、以前チラッと書いたのと同じこと書きますが、


 第1話、冒頭。いきなり夢のシーンから始まるんですが、いきなりBGMが「インセプション」で、いいなあこのセンス、と大喜びしちゃいました。

 悪夢ちゃんこと古藤結衣子は転校して来た小学5年生。髪の毛の一部が白髪になっていて、おどおどと、見るからに挙動不審。実は彼女は予知夢を見る才能があって、人と目を合わせるとその人の意識とつながってしまって、頭の中がいきなり夢見の状態にトリップしちゃって目玉がグルグル。男の子に「わっ、気持ち悪りい」と言われてしまうキモカワ少女なのです。

 悪夢ちゃんの見る予知夢はたいてい悪夢で、「キャー」と悲鳴を上げて目を覚ますのが常。

 予知された怖い出来事が起こってしまうのを阻止すべく、

 結衣子の科学者である祖父に(孫の面倒ともども)解決を押し付けられたのが、担任になった彩美先生。演じるのは北川景子。

 外面はとてもいい彩美先生。でも実は「腹黒」で、面倒なんてお断り。でもなんだかんだ言ってけっきょく問題解決に奔走してしまう。

 で、

 そういう悪夢(たいてい象徴化されたファンタジー)を分析して事件を未然に防ぐ、ちょっと変わった学園ミステリー物かと思いきや、

 この形は彩美先生自身が悪夢の標的になったような事件に巻き込まれ、早々に崩れていく。

 彩美先生は単なる「裏表のある今時人気のキャラクター」ではなく、自身が抱える根深い悪夢があり、それが悪夢ちゃん、夢に出てくる「夢王子」そっくりの科学者(GACKT)らと関わることで大きく物語をうねらせていくのでありました。


 このたびの映画化に当たり、

「(テレビシリーズは)小中学生とその親世代から熱い支持を受ける作品」

 だったそうで、わたしはもちろん世代的には親側です。

 前述したように演出のセンスに面白いなあと感じ、ファンタジックな悪夢も楽しく、ストーリーは驚きのジェットコースター展開で、悪夢ちゃん、彩美先生を取り巻く数々の謎が、最後はびしっときれいに解決されて、最初から最後まで本当に楽しめるドラマでした。


 明日(5月2日金曜午後9時)映画公開前夜で新作ドラマ


「悪夢ちゃんスペシャル」


 が放送されます。

 悪夢ちゃんに再会できるのが楽しみですし、彩美先生こと北川景子はドラマ本編に出演もするももいろクローバーZと共に「悪夢のヒロイン きもクロZ」ブラックとして頑張ってますし、

 一ファンとして、

 ちょっとでも気になりましたら是非ご覧ください。

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