宇宙戦艦ヤマト2199 (スタート)
若者よ! 伝説を目撃せよ!
というわけで、
「宇宙戦艦ヤマト2199」
テレビ放送が始まりました。現在第2話まで視聴。
いやあー………… すごい!
よかった。
以前イベントで見た資料でかなり良さそうだと思っていたのですが、予想以上によかったです。
キャラ以上にメカの質感にオリジナルのテイストが再現されていてアニメにおけるCGも進歩してるんだなあと感心しました。
キャラはけっこうびっくり。松本零士さんの名前はやっぱりクレジットに全くないみたいですね。キャラクターデザイン結城信輝(「エスカフローネ」)さんの線は松本さんとは全く違うので、違って当たり前ですが、佐渡酒造先生の助手の看護婦さんの胸と頭のアンテナにはさすがにびっくりしました。これは旧作ファンに対して挑発的だなと。
でも主要キャラはメカ同様松本キャラの良さを上手に再現していると思います。サーシャが超美人でよかったです。故人であるのがもったいない。森雪は第1話ではかなり尖ったキャリアウーマンと言う感じでしたが第2話で既に丸くなっちゃってちょっと残念。
旧作ではヤマトの女性乗組員は森雪一人だけでしたが今回は何人いるのかな?
旧作当時は「戦場で戦うのは男の仕事だ!」というのが常識でしたが、今や女性自衛官も当たり前で、複数女性乗組員がいるのが自然です。
今回のリメイクは、歴史大河ドラマと同じように考えればいいんじゃないでしょうか?
ヤマトは当然未来の話であるわけですが、それを確定した「歴史」と捉え、
38年前(!)当時の科学的知識や歴史文化的な知見で「歴史」をドラマ化したのが旧オリジナルシリーズ。
今回、今現在の科学的知識、最新の歴史文化的研究を盛り込んで新たに「歴史」をドラマ化したのが今回の「2199」シリーズ、と。
NHKの歴史大河ドラマでも何度も描かれた時代や人物がいますよね? 戦国時代なんて何度も取り上げられているし、何人もの信長、秀吉、家康が歴代ドラマの中で登場しているわけです。
今回のリメイクもそういう感じで、歴史的事実としてポイントポイントで確定していることがある。でもそれは最大限客観的な部分的な事実のみで、細かな軍事行動や、人物たちの言動までは伝わっていない。そこを「こうだったんじゃないかな?」とドラマとして肉付けするわけです。
遠い過去(未来)の歴史は資料が少なく分からないことが多くて、しかし研究によって徐々にその具体的な様子が分かってきて、40年前、30年前の常識とは大きく違った点も出てきている。
「2199」が旧作と一番大きく違う点は敵「ガミラス」の国内事情なのではないか?と今の時点では思っています。
旧作ではほとんど軍人しか出てこなくて、単純な「軍事独裁国家」と表面的なところしか描かれていなかったわけですが、今回、エンディングにガミラス人らしい女の子が登場しています。美少女キャラって、ますます松本キャラ観からずれていくようですが、社会の中に本来いて当然の人物で、旧作で描かれなかった事の方が不自然でしょう。
この38年の間に、謎だったガミラスの内部事情が歴史社会学者たちの研究によって明らかとなったわけですよ。
このように「2199」は「歴史」をより詳細に正確に再現したドラマになっているわけです。
なんだか自分で書きながら笑っちゃいますが、要するに、「宇宙戦艦ヤマト」は当時画期的なリアルSF戦記アニメであったわけですが、当時においても「え〜、それはちょっとご都合主義な」という部分が目立って、そうしたいい加減なSF戦争物に対するアンチテーゼとして「機動戦士ガンダム」が誕生したりしたわけです。
その「ご都合主義(男のロマン)」を極力排し、かつオリジナルの「魂」を現代の感覚でリアルに再現しようと言うのが「2199」であると思うわけです。
第1話で死地に赴く戦艦内でクルーが軍歌(監督作詞のオリジナル)を歌うシーンがありまして、「分かってるなあ………」と、感動した次第であります。
今回のリメイクを成功だろうと感じるのは、あくまでも「再現」にこだわっているのが感じられるからですね。自分勝手に作り替えちゃった「SPACEBATTLESHIPヤマト」とは雲泥の差です。
以上、わたしはかなり盛り上がっているんですが、ネットを見てみますとやっぱり「駄目じゃ!」とケチを付けているオリジナルファンの方がいらっしゃいました。しかしねえ。
今の若者が
「あの、大和が、宇宙戦艦として甦って、地球の危機を救うために宇宙に飛び立つ!」
と言う設定で、
「おおおーーーっ!!!」
と、盛り上がるとはとうてい思えません。わたしたち(年はちょっと……)の年代でぎりぎりプラモデルなんかで「戦艦大和」に対する特別な思いがあるかないか……ほとんどないぞ、という感じで、
確か旧作には「戦艦大和」が米戦闘機群にやられて沈没する描写があったと思うんですが、今の若者にそれを見せても、「だから何?」としか思われないと思うのですね。かえって今の方が映画「男たちの大和」や自衛隊の活動からその搭乗員に対するリアルな思いはあるかも知れないけれど、かといって「大和が飛び立つ!」という設定に「感動しろ!」と言っても失笑だろう。
今の若者にとって戦争は過去の歴史に対する感慨ではなく、リアルに社会的な脅威なんじゃないだろうか?
敵味方両国の国内事情を描くことに力を入れるのは、今、あの「ヤマト」をリメイクする意味としてもすごく正しいように思います。
そういえばわたし、「キムタク版「宇宙戦艦ヤマト」」の章で
≫
根本的な問題で、
今の時代、「宇宙戦艦ヤマト」って、どれほどの現役性があるんでしょうか?
わたしはむしろ、あの「ヤマト」が今さら現役性を持つ時代の方が恐ろしいように思えるのですが。
と書いてました。
うーーん、恐ろしいですね、まじめなところ。
もしかしたら38年前より今の方がよっぽどリアルかも知れない。
というわけで、
若者よ! 甦った伝説を、今、その目で目撃せよ!!
です。
昔のオリジナルは、まあ気が向いたら見てみてください。傑作であることには間違いないです。(声優は断然オリジナルの方が好き! あーあ、みんな死んじゃった……)
最終回を見たらまた書こうかな。