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ジョージ・ルーカス遭遇記

 昨日のニュースはびっくりしました。

 ウォルト・ディズニーがルーカス・フィルムを買収して、「スター・ウォーズ」の新作を製作すると発表しました。

 いやもう、ほんとにびっくりですね。

 「スター・ウォーズ」の純粋な新作映画が観られるというのはファンとして嬉しいことなんですが……その新作がディズニーで作られるというのはなんとも複雑な心境です。



 あれは幻じゃなかったと思うんですが…………


 わたし以前、もうすっかり大昔ですが、東京ディズニーランドでジョージ・ルーカスをすぐ数メートルのところで目撃したことがあります。

 その時だって、『ええええ〜〜っっ!!??』と思って、幻ではなかったと思うんですが。

 東京ディズニーランドのアトラクション「スター・ツアーズ」の出来る前で視察に来ていたんだと思います。平日の昼間だったと思いますが、いかにも大物ビジネスマン風の男性数人といっしょに、ボディーガードらしき男性に両脇を守られて、何か話しながら歩いているところを目撃したのですよ!!

 ちょっとサインをおねだりできるような雰囲気じゃなくって、ただ前を歩いていくのを見送るしかできなかったんですが、

『うわーー、ジョージ・ルーカスだあーーーーっ!!』

 と、……寂しく一人で遊びに行っていたんですが、と盛り上がっているのはなんかわたしだけみたいな感じで、

『ええ? ジョージ・ルーカスだよなあ???』

 と周りのお客さんの無反応ぶりに逆に驚いてしまったんですが、確かに本人だったと、幻ではなかったと……思います。段々自信なくなってきますね。

 あの頃は「スター・ウォーズ」シリーズも「インディ・ジョーンズ」シリーズも落ち着いて、地味〜〜な状態だったと思います。「ウィロー」の頃だったかなあ?

 それにしてもなあ、あの、ジョージ・ルーカスだよ?

 ちょっと寂しいなあと思ったものです。(今ディズニーランドにお忍びでも現れたらたいへんな騒ぎになると思いますが。ブログもツイッターもない時代の話です)




 わたしの最も尊敬する人物は、ウォルト・ディズニーとジョージ・ルーカスです。



 ひたすら自分の夢の実現に奔走して、大衆的な支持を得て、大成功した点でこれ以上なく強い憧れを持っています。

 両者ともどこの大手にも属さない独立会社ですからね、最強のインデペンデントですよ。

 キューブリックもキャメロンも徹底的に自分の映画を作るという点ですごいと思うけれど、やっぱり「自分の世界を作り上げた」という点でこの二人が最強です。


 今回の買収のニュース、図らずもわたしの最も尊敬する二者が合体するわけですが、創始者ウォルト・ディズニーはとうに故人ですし、ジョージ・ルーカスも今回の件を「これはわたしの引退を意味する」と語っています。二人の偉大な創始者の遺産が、合体するわけです。

 ディズニーファンは「ふうーん」程度のものだと思いますが、「スター・ウォーズ」ファンの心境は複雑なんじゃないかと思います。年齢的にジョージ・ルーカスが映画制作の一線から引退するにしても、なんで「スター・ウォーズ」の新作が「ルーカス・フィルム」の制作ではなく「ウォルト・ディズニー」なんだろう?と。

 現在「スター・ウォーズ」の新作というと「旧作の3D化」とテレビシリーズ「クローン・ウォーズ」になるでしょうか。「3D版」に関してはあまり興味ないですが……以前の「CG強化版」の時も第1作「エピソード4 新たな希望」は観に行きましたが期待したほど自分自身が盛り上がりませんでした……が、テレビの「クローン・ウォーズ」は第1シリーズ第2シリーズとけっこう面白かったです。画の作り方がなかなかかっこよく、これでキャラクターが「サンダーバード」じゃなく「ファイナル・ファンタジー」だったらなあと思います。なんで人形劇にしちゃったんでしょうね?

 本人は途中で「いやそんなことは言ってないよ」と否定したりもしていましたが、元々「スター・ウォーズ」シリーズは「現在」「過去」「未来」各3作ずつ、全9作で構想されていました。追求されて「実はそうだった」と本人も認め、「でも自分はもうもう3作作る体力がない」と正直に白状したりしていました。元々「未来編」である新々3部作は作られるはずだった物で、それが制作されるのは本来たいへん喜ばしいことのはずなのですが。

 ルーカス・フィルム内で次世代の「スター・ウォーズ」スタッフは育っていたと思います。自社でこの新しいスタッフを中心に映画新シリーズを制作する選択を何故ジョージ・ルーカスはしなかったのか? 何故自分の宝物である「スター・ウォーズ」をディズニーに預ける選択をしたのか? その心境はちょっと分からないです。新作制作のスタッフがどうなるのか、「顧問」になるルーカス本人がどこまで関わるのか分かりませんけれど。


 ディズニー側の思惑は何でしょう?

 昨日夜のニュースを見ていたら、ディズニーは「マーヴェル・エンターテインメント」も買収していたんですね。今やピクサーも「ディズニー・ピクサー」ですし。ディズニー一人だけ巨大に膨れ上がっている印象があります。

 ディズニーが「スター・ウォーズ」を買収したのは、当然キャラクターが欲しいからでしょう。ディズニーなら新作映画に留まらず、パーク始めさまざまなエンターテイメント展開が可能でしょうから。むしろ映画は宣伝で、その後のビジネスの収益の方が美味しいんでしょう。

 ディズニーは「スター・ウォーズ」の元祖的スペースオペラの古典……現在大流行の異世界転生チート物の元祖とも思えますが、「火星のプリンセス」を「ジョン・カーター」として映画化しましたが、これは大コケしたみたいですね。観てないので無責任な偏見ですがやはり題材が古かったんじゃないかと思います。

 「スター・ウォーズ」にとって「火星のプリンセス」はお手本の1つだったかも知れませんが、「この作品の面白さは何か? その要素は今の観客に受けるか? その要素を具体的にどのような形にプットアウトしたら面白いか?」と、ジョージ・ルーカスはあらゆる冒険活劇の古典を研究して、今の観客に向けて、「スター・ウォーズ」を作り上げたと思うのですね。黒澤の「隠し砦の三悪人」がそのモデルの1つだというのは有名ですよね。わたしも「『スター・ウォーズの』のオリジナル」ということですっごく楽しみに「隠し砦の三悪人」を見ましたが、面白くなかったですねえ、話がうまく行きすぎて、三船演じるヒーローだけかっこよすぎて。

 「ジョン・カーター」の監督は原作のファンで自ら売り込んで監督したようですが、思い通りに作った結果が独りよがりに終わったのか、それとも会社からあれこれ横やりが入って中途半端な物になってしまったのか、どっちなんでしょう?

 ディズニーはこの「ジョン・カーター」にもSFキャラクターのビジネス展開を当然期待していたと思います。それが転けちゃって、これなら確実にキャラクタービジネスが展開できる「スター・ウォーズ」シリーズがどうしても欲しかったのではないだろうかと思います。

 まあ実際そんな昨日今日の話し合いでこの巨大な商談が決まるわけはないんですが、気持ち的には当然あっただろうなと思います。


 で、実際の新作はどうなるのか?

 ディズニーはマーケティングを徹底して映画制作をする会社ですから、「ジョン・カーター」は大コケしましたが、やはり最大公約数の観客の期待に応える新作を作ってくると思います。

 が、忘れてならないのは、「スター・ウォーズ」シリーズは、とてつもなく巨大な映画シリーズですが、その本質は、ジョージ・ルーカスの個人的な、インデペンデント=独立系プロダクション映画であるということです。

 違うじゃないかと細かいことを言えば違うかも知れませんが、実質的にそうだと言い切ります。

 「スター・ウォーズ」はジョージ・ルーカスのプライベート映画です。

 我々が見せられているのは、ジョージ・ルーカスの個人的な夢です。

 壮大なプライベート映画という点ではキューブリックともキャメロンとも共通しています。

 これだけ巨大なSFXムービーを、大がかりなチームの結束なくしては作りえないんですが、そのイニシアティブを取っているのはルーカス一人なんです。

 そのルーカスが指揮を降りちゃって、最大公約数のチームプレーだけで作られる「スター・ウォーズ」がどうなるのか? 宮崎駿が監督しないジブリ映画がどうであるかを考えると、かなり不安を感じてしまいます。オリジネーターはいくらでも自分の作った物を壊して新しい物を作れます。でも偉大なブランドを背負わされた後継者は、ブランドイメージを壊さないように、ブランドの品質を保つのにいっぱいいっぱいで、おおむねブランド臭プンプンの面白くも何ともないお利口な作品になってしまうような気がします。

 ルーカスの指揮に代わるそれだけの才能が……いっそキャメロンでいいんじゃないか?と思ったりしますが……「アバター」があるからないでしょうね、新たな天才が登壇してくれるのかどうか、期待したいと思います。


 そういえばディズニーはジブリにも手を出してましたね。ジブリは宮崎駿が頑固親父でさすがのディズニーも手を焼いたと思いますが、けっきょく宮崎駿が我を通して、アメリカ興行ではディズニーの期待する結果は出せなかったようですが、スタジオジブリ及び日本のファンにはよかったと思います。

 観客として見込める最大公約数の要求を満たす映画というのは、確かに面白いし、ハリウッド映画はアクションもSFXも全力でこれでもか!という物を作ってきてくれますからそれはもう見事なんですが……すごいすごいと観ていて、ふと、なーんか……この感触って何度も味わっているような……と途中で冷めてしまうことが多いです。題材もストーリーも違う、全然別の映画なのに、見終わってからの印象が驚くほどどの映画も似ている。最大公約数を求めるあまり、既に公式が出来上がっていて、どの映画もみんなその公式通りに作られている印象がある……と、日本の映画ファンの多くが感じるようになったのが、このところの洋画=ハリウッド映画不振の大きな要因の一つのように思います。

 あくまで自分たちの我を通すジブリの行き方は、作品一つ見ればあまり成功していないかも知れないけれど、結果的に全体の成功に貢献していると思います。

 この場合の「全体」はスタジオジブリの一群の作品も指しますし、日本のアニメ映画全体も指すのですが、そういう全体的な見方をせず、一つの結果だけ指して「失敗だ」と決めつけて批判するのは結果的に賢いやり方ではない。しかし、1つ1つの作品に巨額の制作費宣伝費の掛かるハリウッド映画でそれは認められず、やはり公式に乗っ取ったやり方で、パワーアップだけ図った上手な大作映画が作られる傾向にあるのでしょう。

 でもそのやり方を続けていたら映画という文化そのものが見放され、死んでしまう。

 一つの作品がヒットすると同じような作品ばかりが量産される日本のアニメ、マンガも同じ構造に陥っているのかも知れない。

 正直言うとわたしは最近のジブリ映画にはすっかり興味なくなっちゃっていて、もっと娯楽としてやんちゃな映画を作ってくれないかなあと思っているのですが。

 大衆的な娯楽として抜群に面白く、かつ個性的である映画って、実は難しいんだろうなと思います。



 ジョージ・ルーカスという一人の我が儘な夢見る映画人が制作の第一線から引退してしまったのは、映画全体にとっても大きな損失で、たいへん残念なことだと思います。

 また気が変わって、「やっぱりわしがエグゼクティブ・プロデューサーをやってやる!」とか言い出さないかなあと期待します。

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