日本VSシンガポール ホラー対決
活動報告のつもりで書いていて、やっぱり長くなっちゃったのでこちらに掲載。
土曜深夜(日曜0時)いつもなら「ケータイ大喜利」を見ている時間帯、番組表を見たら「あ、こっちの方が面白そう」と「Asian Ace」を見ました。
毎回日本とアジアの国の様々な分野のエースが対決するこの番組、今回のテーマは
「 日本 VS シンガポール ホラームービー対決 」
でした。
作品は5分間。同じ主演女優で、制作費50万円で制作期間は5日間。という共通条件。
先週は気づかず見逃しちゃったんですが先攻の日本で、日本代表は白石晃士監督。
「ノロイ」の監督で、今や「パラノーマル・アクティビティー」でお馴染み「フェイク・ドキュメンタリー」の手法を得意とする監督です。……と言いつつよく知らないんですよね、「ノロイ」見てないし。
わたしが見たのはこの「ノロイ」公開時に放送した「日本のこわい夜 特別篇」というテレビ特番で、まさに「フェイク・ドキュメンタリー」の作品でした。
「最恐映像ベスト10」というバラエティー番組、という設定の「ドラマ」で、くりぃむしちゅーの司会で、前半はいかにもふざけたお笑い番組のようにくだらないネタを挟んでだらけきった進行をし、ところが後半、友近がリポーターとなって「本当にあった呪怨の家」を生中継でリポートする段になって様相が一転、不気味な出来事が連続し、怪しい影が映り込み、怪奇現象が起き、中継が中断。見守るスタジオはパニックになる……ってどこかの誰かさんの小説とそっくりですね。はい、自虐ネタです。そういえばヒロシが出演していました。
ところが、これはあくまで「ドラマ」であり、最後には「全部ヤラセだよ〜ん」と暴露して終了。出演者もみんな知っていて、一部女性ゲスト(ユンソナ)だけ知らされていなくて、彼女たちへのドッキリも兼ねていたというたちの悪さ。
う〜〜〜〜ん……
これはどうなのかなあ?
そもそも心霊ドキュメント番組が好きな人って、ある程度(ヤラセと)分かっていて、その上で怖がって楽しんでいるというところがある。でもね、それをあからさまに「嘘だよ〜ん」とやられちゃうと、白けるっていうよりも、なんというかな、面白くないんだよね。おまえ、分かってねーなーって感じで。
嘘だ、作り物だと、分かっていて楽しんでいる心霊オカルトでも、その嘘の向こうに真実があるという真剣さがなければ本当には楽しめないと思うのですね。
台無しだよ、まったく。
というわけで、わたしは「フェイク・ドキュメンタリー」及び白石晃士監督にはいい印象を持っていません。
演出技巧としてはアリだと思うし、白石監督も映像のセンスはなかなか怖いと思うんですが、作品の企画テーマのセンスが悪いなあと思います。
遊びにもルールって物がありますよね。
この人はそれを壊して喜んでいるような趣味の悪さを感じます。
5分間作品の内容は、主演女優とその彼氏の二人の設定で、彼氏の撮っていたビデオカメラに写っていた映像という物。
次から次に忙しく怪奇現象が起こって、かなり怖いんですが、ビデオカメラに残っていた映像という設定にしてはいろいろ演出を追加しすぎ。これをサービスと見るか、おふざけと見るかで評価が割れると思いますが、わたしは残念ながら後者かなあ。
で、今週が後攻のシンガポール代表、チャイ・イーウェイ監督。…………まったく知りません。番組中チラッと監督映画の紹介がされたのですが………面白いかも、この監督。ギャグが入ってます。怖くて笑える、サム・ライミ監督の「死霊のはらわた」を思い出します。
チャイ監督の作品はちゃんとしたドラマ物で、タイトル「ベビーシッター」。
シンガポールに留学している日本人女子大生がアルバイトのベビーシッターとして訪れた部屋には…………
5分間ながら起承転結のあるきっちりしたシナリオになっていて、次への展開を計算した演出がもろ分かりでニヤニヤしちゃいましたが、かなりよく出来た作品だと思います。
ただ・・・
対決ですから、条件の制約があります。
ロケ地のマンションはなんと監督の実のおばあちゃんが今現在住んでいる部屋を借りてます。
撮影が夜に及んで、おばあちゃんが寝るために帰ってきちゃいます。一泊くらいホテルを借りてやれよと思いますが、まあこれも制作費の条件のためです。多分。おばあちゃんが寝るので女優には「悲鳴は上げるふりだけで、声は出さなくていいから」とホラー映画にあるまじき指示を出してます。
さらに。お化け役の子供が、眠くなってぐずっちゃって、まだ出番が残ってるのに「ああ、こりゃ駄目だ。帰っていいよ」と帰しちゃって(おいおい)、どうしようかなあと悩みつつ、「ま、なんとかしよう」といういい加減……いや、ポジティブさ。のどかだなあ。で、なんとかしちゃって、無事?作品は完成しました。
うーん、どうでしょうねえ? うまく誤魔化してますが、ラストはちょっとパワフルさに欠けたかなあという感じ。
さて対決の判定は?
わたしは「出るぞ〜出るぞ〜」という大好きなゾクゾク感のあるチャイ監督の作品を推しますが……
専門家のジャッジは3対0で白石監督の勝ち。
白石監督はフェイク・ドキュメンタリーの手法が評価され、チャイ監督は「長編で見たいネタですね」ということで、特に文句もありません。
さて、放送をご覧にならなかった方。
番組ホームページで両方の作品が見られます。
http://asian-ace.com/
どちらも限られた条件の中でかなりよい出来だと思いますので、わたしの余計な情報は忘れて、思い切り怖がって楽しんでください。