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こんな「マトリックス2・3」が観たかった

 「インセプション」の記事で思わず「つまんない」と本音を口走ってしまった「マトリックス」第2作第3作ですが、映画自体は面白かったです。ただ、やっぱり

「あ、こっち行っちゃうんだ・・・・」

 と、期待していた方向とは別のところへ行ってしまったガッカリ感というのは正直ありました。

 そこで今更ですが、「こんな『マトリックス』続編が観たかった」を。



 その前に改めて「マトリックス」の何がすごかったのかのおさらいを。


 以前書いたことがありますが、「ターミネーター2」「ジュラシックパーク」のCGアンドロイド、CG恐竜を経て、「もはやCGで描けない物はない」=「もはやどんなすごい映像を見せられても驚かない」と思いこんでいたところに、


「あっ・・、こんな見せ方があったんだ!・・・・」


 という、新たな映像の視点を提示してみせて、「何を描くか」という内容よりも「どう見せるか」という「新しい物の見方」を示したところが斬新でかっこよかったわけです。


 これは映像の「視点と時間を自由に操る」という技術も斬新だったけれど、

「現実と信じて疑わなかった世界が偽物で、その作り物の世界を自分の意志でコントロールする」

 という救世主ネオの意識革命のストーリーといっしょに展開してクールだったわけです。


 続編2本も是非この延長で作ってほしかった。


 そこで当時わたしが考えた「こんな続編が……」ですが、

 「マトリックス」の設定とストーリーは……いいですよね? これだけメジャーな作品ですから知っているのが当たり前として進行させていただきます。



 ※ ※ ※ ※ ※



「マトリックス:リローデッド」


 ……覚醒した救世主ネオとその仲間によって仮想世界「マトリックス」への破壊工作が続いていた。ネオの呼びかけによって世界に違和感を感じていた人々が続々つながれたマシンから目覚めていく。

 脅威を感じた仮想世界を管理する「マトリックスプログラム」はより強力なエージェントをマトリックス世界に誕生させ、ネオ対エージェントの超人的な戦いはエスカレートしていき、その戦い自体が人々の目に触れ、現実への意識を危うくさせていく。

 そしてとうとう、現実にはあり得ない大規模な「世界崩壊」を招き、それを目の当たりにした人々は、覚醒する者と、受け入れられずに精神を崩壊させてしまう者とに分かれる。

 動揺するマトリックスの中の世界、人々。

 このまま行けばマトリックス世界そのものが崩壊することを計算した管理コンピューターは、マトリックスプログラムのリセットを決定し、いったんマトリックス世界を停止することを決定する。

 マトリックス世界が停止されれば、放り出された人々の意識は崩壊し、壊滅的な人類の死を招くだろう。

 しかしそれでもコンピューターは新たなマトリックス世界を受け入れる(=世界崩壊を「夢」として現実としては受け入れない)従順な人間が相当数生き残り、新たな支配体制の構築は可能であると結論づける。

 刻一刻、マトリックス世界の完全停止の時が迫る。



「マトリックス:レボリューションズ」


 ……マトリックス世界の完全停止が迫る。既にいくつもの大規模な世界大崩壊を経て無数の人類が死に至っていた。

 しかしマトリックス世界の停止で死を迎えるのは人類だけではなかった。

 エージェントたちのような仮想世界マトリックス世界を構成する様々な人間プログラムたちも、リセットによって「死」を迎える運命にあった。マトリックス世界に暮らす彼らもすでに独立した「生命体」としての意識を持ち、マトリックスプログラム停止を阻止したい思いがあった。

 一方でネオも現実の人間たちの街ザイオンに住む「自然人類」と自分たち仮想世界マトリックスの中で人生を送っていた「機械に栽培された人類」との意識の差を感じ、悩んでいた。マトリックス世界の中ではスーパーマンのごときネオも、現実世界ではひ弱な一青年に過ぎず、ザイオンの指導者たちは必ずしもネオを高く評価しているわけではなかった。崩壊し始めたマトリックス世界に対し、ザイオン政府は機械帝国に反撃するチャンスと捉え、マトリックスに従属する人々が死に至るのもむしろ歓迎する向きさえあった。

 ザイオンの同胞に対する裏切り行為に怒ったネオは、果たしてマトリックスは悪なのだろうかと疑問に思うようになり、崩壊が進み大混乱のマトリックス世界を救うべく意識を接続する。

 マトリックス世界。ネオは自意識に目覚めたエージェントスミスらと手を組み、マトリックスプログラム停止阻止に向けてプログラム深部への侵入とコントロールの奪取を目指す。

 果たしてマトリックス世界停止を阻止し、人間プログラムたちと目覚めた人類の共存する新マトリックス世界の構築は成功するのであろうか?




 ……といった感じです。

 要するに、全部マトリックス世界の中でストーリーを作ってほしかったんですね。

 リアルな虚構がリアルに崩壊していく、まさに「インセプション」のビル街が折れ曲がってくる、ああした世界崩壊と、現実から解き放たれた新たな意識世界の構築を観たかったんですよ。

 現実世界のロボット軍団対宇宙戦艦の戦いも面白かったですけれど、あれは第1作で我々観客が狂喜乱舞した面白さとは違うんですよね。監督がそこを勘違いしたとは全然思わないんだけど、監督が描きたかった物と観客が観たかった物とのギャップはかなり大きかったと思います。

 続く「スピード・レーサー」は興収的に大コケして、観た人の評判はいいみたいなんですけれど、実はわたしも「マトリックス レボリューションズ」で終わっちゃった感じがあってあまり興味がわかず、まだ見てないんですよね。

 10月に「クラウド・アトラス」という「6つの世界の6つの時代で別々に展開する物語が最終的に密接に関わってくる物語」というかなりコンセプチュアルな新作の公開が控え、現在マトリックスシリーズ以来となるオリジナルSFの制作がスタートしているようで、果たして再びウォシャウスキー兄(姉)弟が時代を湧かせてくれるのか?久しぶりに注目したいと思います。

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