キムタク版「宇宙戦艦ヤマト」
「SPACE BATTLESHIP ヤマト」
が正式タイトルでしょうか? テレビで見ました。
採点するなら60点。
うーーん……、「ヤマト」を実写で作るって、ま、こんなものかな、と。
改めて某映画サイトの一般の方々のレビューを見てみましたが、まあ、これでもかと悪口に溢れていて、たまに褒める批評があると寄ってたかってその批評をけなすというネット社会の困った部分が露骨に出ていました。
わたしの見たところ、特にヤマトに思い入れのない、特にSF映画に興味がなくてあまり見ていない人なら、「面白かった」と思っても不思議はない作品だと思います。たびたび言ってますけど映画をどう見るかは一人一人自由ですから、「面白かった」と言う人に「面白いわけないだろう!」と叱りつけるような行為は感心しません。
で、わたし個人なんですが、恥ずかしながらわたしは思いっきりヤマト世代で、正直言ってガンダムよりヤマトの方がずっと好きで思い入れがあります。
そういえば青野武さんがお亡くなりになりましたね。あーあ。青野さんというと今は「ちびまる子ちゃん」の友蔵おじいちゃんの声でお馴染みですが、その友蔵おじいちゃんを青野さんの前に担当していたのが富山敬さん。富山敬さんといえば古代進、そして青野武さんが真田志郎ですよ、もう書いてて涙が溢れてきます。
そんな思い入れと思い出がたっぷりの「ヤマト」ですが、
そんなわたしが言うのもなんですが、「SPACE BATTLESHIP ヤマト」をけなして「宇宙戦艦ヤマト」を褒め称えている方々、なんか、幻想見てませんか?
わたしも好きですよ、ヤマト。でも、最初からヤマトって全方位ツッコミどころ満載のSF作品じゃありませんでした? 今見返したらどうなんだろう? けっこう、「あれ〜〜〜〜……………」という感じなんじゃないでしょうか?(現在アニメのシリーズでもリメイクされて、販売先行で、テレビで放送されるのは来年になるのかな? ずいぶんキャラデザインが現代の若者的になってますが、内容的にはどうなってるんでしょうね?)
わたし個人の「SPACE BATTLESHIP ヤマト」の本当のところの感想を言うと、
けっして褒められた物じゃないですね。
確かに、かつて熱中したファンとして言いたいことは山ほどある。
悪口の羅列にはなりたくないのだけれど。
○知っているファンとして一番「あれ〜〜〜〜?」なのは敵・ガミラス星人のSF的キャラクター。
(言いたいけどネタバレになるので言えませんが、某SFシリーズの某人気敵キャラクターか?)
それと連動してなんでしょうけれど、ガミラス側のメカデザインがヤマトのデザインと合わない。
ヤマトのメカデザインとガミラスのメカデザインをまったく別の人がなんの連絡もしないでそれぞれ勝手にやったようなコンビネーションの悪さ。両者が対峙したときに、絵として、ものすご〜〜く違和感があって、「かっこわりいー」です。
VFXに関しては「ワープ!」も物凄く格好悪い。煙と共に、って、「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャ〜〜ン!」か?
もう一つ悪口を言うと、
○俳優の演技が小学生のお楽しみ会レベル。
俳優はそれぞれ上手い人たちなので、監督が「下手っぴ」なんでしょう。
「なんだあ、このはしゃいだ演技〜」とか「なんだあ、このふてくされた演技〜」みたいに、一々幼稚。なんだかなあ、見ていて、キャラクターの味方になってやりたくないような気にさせられちゃうんですよね。これじゃあボロクソに言われてもしょうがないかなあとわたしも思います。
しかし。わたくしの思うところのこの映画の採点を低くせざるを得ない一番の問題点が、
○脚本が駄目。
一つだけ問題点を挙げろと言われればこれを挙げます。
ガミラス星人の設定は誰が考えたんでしょうかねえ? メカの件でVFXも兼任している山崎監督なのかなあ?とも思うんですが、この脚本家、佐藤嗣麻子さんですか、
あなた、ヤマトファンじゃないでしょう?
オリジナルから見て、余計なSF設定やドラマ的キャラ設定を盛り込んで、オリジナルの大切な部分を外してしまった印象が強い。
これ、リメイク版の「隠し砦の三悪人」を見たときにも感じたんですが(ぜんぜん別の脚本家の方ですが)、変にオリジナル版のエピソードやセリフを持ち込んで、その意味性がものすごく軽くなって、まったく別の物に変質してしまっている。こういうことは本当にオリジナルのファンならしないと思うんですね。この作品の何が面白いのか?何が素晴らしいのか?、本質を見極め、それを今のセンスでどう表現したら面白いか?という挑戦をするのが、わたしの考えですが、往年の名作をリメイクしようとする場合の正しいやり方ではないか?と思います。部分的に材料だけいただいて都合のいいようにツギハギする、というのは、まったく、つまらないと思います。
でも、「SPACE BATTLESHIP ヤマト」の脚本の場合、「それは知らない人間の筋違いの批判だ」という反論をされるかも知れません。
原作は「西崎義展プロデューサー」であって、権利問題で裁判した「松本零士監督」ではないんですね。
例によってウィキペディア調べで恐縮ですが、松本零士氏が参加する以前の「宇宙戦艦ヤマト」の企画は出来上がった物よりうんと海外SF小説のようなモダンなテイストの物だったようです。だから松本零士氏は「ヤマトは俺の物だ」という意識が強いのでしょうが、出来上がったアニメは松本色がうんと濃い戦争物になっています。
今回の「SPACE BATTLESHIP ヤマト」は、松本氏が参加する以前の、「SF版ヤマト」を参考にした物…かも、知れません。
でもね、そんな経緯はどうでもいいんですよ。ファンが見たいのは、あの、「松本アニメ版ヤマト」であって、今さら一般人の誰も知らないような「SF企画版ヤマト」なんかじゃないんです。
もしかしたら、今どき古くさい「松本ヤマト」より「あら、今風で新鮮じゃない?」という「SFヤマト」をベースとして選択したのかも知れない。
だから、ファンじゃないだろう?、と言うんです!
自分のストーリーに、オリジナルアニメ版「ヤマト」の都合のいい部分だけ持ってきて、「ほら、ファンサービスよ?」と言っているようで、そういう「ファンじゃねーだろ!?」という態度が物凄くむかつくんだ!
素材に対する本気度がまるで足りない。せいぜい面白がっているレベル。
あくまで1本の映画として作るなら映画として作れ。
アニメの実写版として作るなら実写版アニメ映画として作れ。
どっちつかずの中途半端な物なら、作るなっ!!、
と、ファンとしては思ってしまいます。
なんだかなあ、往年の有名作品のリメイクって、失敗作が多いですね。頭の固い人は「オリジナルにかなう物などない」と言うかも知れないけれど、わたしはそうは思わないんですね。「バットマンシリーズ」のリメイクの「ダークナイト」はとんでもない傑作だし。何十年も前のオリジナルがいいと言うのはたいていただの幻想で、ノスタルジーです。
不思議に思うのは、「なんでその作品のファンの人間に作らせないのかなあ?」ということ。きっと「俺ならこう作るぞ!」という熱いファンのクリエイターも多いと思うんですね。上の人たちはどういうところでスタッフの選定を行っているんでしょうねえ? 謎です。
単純に監督が下手なんでしょうね。身も蓋もないですが、映画って言うのはけっきょくのところそうでしょう。
素材に対する捉え方が浅い。時代に合わせた表現の鋭さがない。その素材ならではのオリジナリティーがない。
ま、詰まるところそういうことでしょう。
根本的な問題で、
今の時代、「宇宙戦艦ヤマト」って、どれほどの現役性があるんでしょうか?
わたしはむしろ、あの「ヤマト」が今さら現役性を持つ時代の方が恐ろしいように思えるのですが。