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「世界侵略:ロサンゼルス決戦」…はまだ観てないんですが

 すみません、今回はタイトル詐欺みたいな内容なんですが。

 この連休に「サンクタム」とどっちを観ようかなあと思いながら、輸入CD50パーセントオフバーゲンその他諸々に引っかかって今月の予算がなくなってしまいました。あーあ……

 「サンクタム」共々公開が延期されていたこの映画、前から観たいなと思っていたのですが、実現はちょっと微妙なところです。


 で、観てもいないのに印象だけで申し訳ないのですが、


「ハイパーでバトルのリアリティーをアップした『インデペンデンス・デイ』」


 みたいな映画でしょうか? 間違ってたらごめんなさい。

 なんでまだ観てもいないこの映画について書こうと思ったのかと言いますと、


「 日本と世界の若者のリアリティー感の差 」


 がちょっと気に掛かっていたからなのです。

 なーんか面倒くさそうな事を言ってますが、


「オタクアニメ」や「ライトノベル」が世界の若者に共有されるのか?


 といったところです。

 最近わたしが一番気に掛かっているニュースが、


  −−今月(2011年9月)23日、パレスチナが国連に「国家」として加盟を申請する予定−−


 というもので、


  −−この動きに対しアメリカ、イスラエル双方は「一方的な措置は問題解決を困難にさせる」として反対、アメリカは加盟申請が行われれば(常任理事国として)拒否権を発動すると牽制している−−


 というものです。

 これは歴史的に物凄く大きなニュースだと思うのですが、さて、日本人…日本の若者の関心は……どうなんでしょう?


 パレスチナ/イスラエル問題は、イギリスが種をまいて、アメリカが実らせたようなもので、

 そもそもアメリカが、イスラエルの一方的な独立宣言(1948年)に、直後に外交を結び、独立国家として承認したのが発端(それまでにも色々あってどこを「発端」とするかは難しいと思いますが)であり、以後、これに反発するアラブ世界とイスラエル・アメリカ連合の血で血を洗う戦争状態が現在まで連綿と続いています。

 この問題はわたしも「くるみの国滞在記」というへんてこな社会派SFファンタジー超大作で取り上げましたが、宣伝は置いといて。

 とにかく、今回の動きは物凄く重要な出来事になると思うのです。

 今取り上げたいのは、

「 はたして日本の若者が世界のこうした動きに『リアリティー』を感じるだろうか? 」

 ということです。それがなんで「世界侵略:ロサンゼルス決戦」なんていう「インデペンデンス・デイ」映画なのかと言いますと、映画は


 突如襲来した圧倒的な戦闘力を誇るエイリアンの攻撃から一般市民を守って戦う海兵隊員たちの姿を描く


 一種のリアルヒーロー物であるようです。

 この設定でアメリカの若者たちが日常的な皮膚感覚でリアリティーを感じるかは分かりませんが、

 日本の若者たちは、

「はあ? エイリアンの地球侵略う〜?」

 と、あまりピンと来ないんじゃないでしょうか?

 日本の若者には宇宙から襲来するエイリアン軍団より、

 SF世界やファンタジー世界の異次元から、「前世の神話的因縁」や「召還」によって自分自身の個人的「内面世界」に深く関わる「世界」の方がずっとリアリティーを感じるのではないでしょうか?

 「ロサンゼルス決戦」も「アニメ」も「ラノベ」も、娯楽作品ですので、それ自体批判したいわけではありません。ただ、それに対する若者の心理に興味があるだけです。

 「ハリーポッター」の世界的大ヒットなど、世界的に日本的なオタク化が進んでいるようには思いますが、日本ほどそれが顕著で、深化した国はないでしょう。

 日本のアニメ的SFやファンタジーは、世界の成り立ちや行く末が、主人公たちの個人的精神世界に直結している物が多いような印象があります。(わたしは全然それらのヘビーユーザーではないので、パラパラとネットを表面的に検索したり、本屋でその手のマンガを眺めたり小説を部分的に立ち読みしたりする程度の知識で、あくまで「印象」もしくは「偏見」であり、ヘビーファンは世間一般の理解のない人間はこういう見方をしていると思っていただいてけっこうです。)

 主人公たちはその自分のために用意されたような世界で、個人的に思い悩んだり、自分の世界の異物である他人と衝突して落ち込んだり、それを乗り越えて成長していったりするのでしょう。そして世界の行く末が彼らの「意志」にゆだねられる。……なんだか「エヴァンゲリオン」だけで語ってしまっているみたいですが。

 くどいですが、それは娯楽作品なので、それ自体は別に良いとか悪いとかいうことではないです。ああそうか、こういうのがヒットするのか、うらやましいなあー…、と、まったく人気のないホラー作家として思うだけで。

 日本の多くの若者が抱える「現実的な問題」がすべて、日本の社会の内にある、内向きの問題だと思うのです。

 だから「敵と戦う」バトル物も、「自分の心の問題」に関わる物語の方がリアリティーがあって、面白いのだろうと思います。

 しかしパレスチナがらみでアラブ・イスラム世界と長らく戦争状態にあり、特に「9・11」後テロの脅威にさらされ続けるアメリカの若者にとって「敵」とは未だに「外から攻めてくる」物の方が圧倒的に現実的なリアリティーがあるのでしょう。その敵が「自分たちの内部に侵入してくる」というホラー的な恐怖も、本来はやっぱり外の異物という認識が根強いのではないでしょうか。

 昨今日本のオタク文化が西洋社会に受け入れられているのは、「内部に侵入してくるリアルさ」を描いた物が多いのと、シビアな現実に嫌気がさした現実逃避の二つの意味合いも大きいのかな?と思います。


 ところで、

「外から攻めてくる現実的な敵」

 は、我々日本人にとって、本当に「ピンと来ない」設定なのでしょうか?

 日本の若者向け娯楽作品もこの点、かなり二極化しているように思います。

 この視点で代表的なのが「ガンダムUC」の福井晴敏さんでしょうか?

 現在日本では震災における活躍で自衛隊に対する評価がすごく高まっていますが、それ以前から「国土防衛」の意識で自衛隊を主人公にしたタカ派的な作品が増えてきていたように思います。

 それも年輩の以前からのタカ派の人たちの第2次世界大戦における歴史の再認識運動の成果と、近年増大している周辺国からの軍事的圧力への警戒と、両方の影響があると思います。

 福井晴敏さんのように作品丸ごと「現実的脅威への対抗」という作品もありますし、「わたしの世界」的SFやファンタジーも、肉付けの部分はやたらリアルだったりします。みんな知識はあるので、そういう部分で「ウソ」があると白けちゃうんでしょうね。

 ですからそうした「外部の世界」への恐怖を伴った認識は、実は最近の若者の間にもリアルにあるのでしょう。

 でも、物語としてはやっぱり「自分の内なる世界」に回帰しちゃうんですね。

 それは平和な状態が長く続いた社会の文化的成熟でもあるでしょうし、熟れすぎて外の形が崩れたイビツな状態でもあるでしょうし、頭の中のバーチャルな世界観が過ぎて外の世界に対して肉体的リアリティーを失った動物として退化の状態でもあるでしょう。

 気になるのは、やはり外から見た場合に、「ガラパゴス」日本人が、すっかり異質な「奇妙な物」として理解しようという関心や興味、忍耐から、すっかり見放されつつあるのではないか?ということです。

 多分それでも多くの日本人の若者は、外の世界の人たちの関心になんか関心を持たず、自分には関係ない、と、心地よいバーチャルな「リアル世界」に浸り続けるのでしょうが、成熟しすぎた文化世界の末期的症状という危惧も抱きます。……そう言うわたしも思いっきり内弁慶で「外国なんて行きたくなーい。日本が快適だもーん」という内向き島国人間なのですが。


 今の国際ネットワーク情報世界で、

 もし仮に日本という国や日本人という人種が滅んでも、

 思いっきり独自の進化を果たした日本文化は、

 毒々しいまでに他に類のない魅力を放ちながら、

 純粋に文化だけが、一種の郷愁と滅びの哀れを伴って外のリアルな人々に慈しまれ、

 生き残っていくのじゃないか?


 なんて、内向きなSF的夢想をしてしまいました。

 それも成熟した文化の一つの到達点であり、そうした物を生み出した種族というのもすごいのかな?なんて、後ろ向きに考えてしまいます。



 あ、なんだかすっかり今さらですが、ここまであたかも若い人がみんな「オタク」みたいな書き方をしてしまいましたが、これは明らかに誤った認識ですね。この誤った認識は明らかにわたし自身のオタク度によるものです。申し訳ございませんでした。



 わたしはパレスチナの国連加盟問題がすごーく気になって、注目していますが、

 皆さんは、いかがですか?

 もしかしたら、ここでまた一つ、世界が大きく変わるかも知れませんよ?

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