TV「ほん怖夏スペ」と「恐怖映像ベスト」
9月3日(土)フジテレビ「ほんとにあった怖い話夏の特別編2011」
9月6日(火)TBS「世界の恐怖映像最強版 絶叫度100%!ベストオブベスト」
と、二つ続けてわたしの大好物の怖い系番組が放送されました。
「ほんとにあった怖い話」はわたしが自作小説で「本当にあった恐怖心霊事件ファイル」という心霊オカルト番組をたびたび舞台にしていましたが、モデルにした番組の一つで、毎年楽しみにしている現在のマイベスト怖い番組です。すっかり1年1作が固定化されちゃったみたいで寂しいですが。
スタッフが「もっと撮りたいぞー!」と思っているのかどうか分かりませんが、今回も気合いの入った恐怖演出の怖くも面白い作品ばかりで大満足させていただきました。
特に今回の目玉、芦田愛菜ちゃん主演の病院物! 和み系の感動物かと思いきや、本格的な恐怖物で、さっすが人気なだけに怖がる演技も上手いですね、おじさんはすっかり愛菜ちゃんのとりこになってしまいました。車椅子のお姉ちゃんも薄幸の美少女ぶりで良かったです。
この恐怖演出はワンパターンと言えばワンパターンで、そりゃそうですね、元々の番組が1998年スタートなんですか? 再現ビデオの鶴田法男監督は更にさかのぼって1991年にオリジナルビデオ版を作ってるんですね。
そもそも今現在のいわゆる「ジャパニーズ・ホラー」の演出はこの鶴田法男監督が創造したと言っていいんではないでしょうか? 日本ホラー界の偉大な功労者であらせられますね。「神wwwwwwww」とあがめたつまつっても罰は当たらないと思いますが、今回も芦田愛菜ちゃん主演作他、5本中4本を、「まだまだ若いもんに負けるかい!」とご本人が思ってかどうかは知りませんがツボを押さえまくりの絶妙なホラー演出で震え上がらせていただきました。
そうです、ワンパターンではなく、ツボ、なのです。これが気持ちよくてたまらないのです。
というわけで、定番の安定したクオリティーで大満足の「ほん怖」に続いて
「世界の恐怖映像最強版 絶叫度100%!ベストオブベスト」です。
今回は過去4年間からの選りすぐりと言うことで、半分以上見た覚えのある物でしたが、こちらもドキドキしながら楽しませていただきました。
しかしこちらは、
そうそう、「ほん怖」で芦田愛菜ちゃんが本格恐怖ドラマに主演したり、スタジオでゴローさんといっしょにチビッコたちがドラマを観賞していますが、こんな小さな子たちにこんな恐ろしい物を見せていいんかい?と心配してしまいましたが、
「恐怖映像」でもスタジオで元アイドルのおばさんたちがギャーギャー悲鳴を上げておりましたが、こっちは……うざい。どうせなら現役の若い女の子たちの悲鳴の方が心地いいです。
それでですね、スタジオではギャーギャー怖がってるんですが、このスタジオのテンションが高い物ほどわたしはあんまり……と言うか、全然怖くない物が多かったですね。明らかにシナリオがあってのドラマという物が大半で。
おそらく、この「世界の恐怖映像」、9割方作ったビデオ映画だと思います。
ま、それはかまわないんです、タイトルも「恐怖映像」と言っているだけで「本物」とは言ってませんから。こっちは怖ければいいんです。「ドラマだろうなあ」と思いながらも「怖っっ!!!」という優秀な物もありますから。ベスト4だったかな?もう録画を消去しちゃったんですが、「ベティの誕生日に現れたエミリーの霊」は前にも見た物ですが、改めてやっぱり『ぎゃあ〜〜』と思ってしまいました。あれは流れが自然で、普通に「居た」というところがいいんですね(←これ検索してみたら続きがあって、首が「ポロッ」と落ちるみたい。そこまでやるとエグ過ぎてテレビでは放送できないし、完全にやり過ぎでしょうね)。他の「ドラマ物」ではあんまり怖いと思った物はなかったですね。
で、ベスト50を見ていくと、幽霊のパターンというのが見えてきます。
洋物の女幽霊はたいてい白いワンピースを着て、髪が長く、その髪を前に垂らして顔が見えません。立ちポーズで腕を横にたらしていますが、少し肩を前に出しているような印象があります。見ていくと、「あ、また出演している」という感じになります。
出現するパターンも、例えば室内でカメラを左右に振って、端っこに映るんだけど、カメラマンはそれに気づかずすぐ反対に振ってしまい、『ん?』とようやく気づいてカメラを戻したときにはすでに姿はなく、また反対にカメラを振ると、そこに立っていてびっくりする、と。まあだいたいみんなこのパターンのようです。……ジャパニーズ・ホラーがさんざんやり尽くしているパターンですね。女幽霊のかっこうも「リング」の貞子さんですね。あちらはサマラちゃんでしたか。映画を見た(多分)若者が「おもしれーー!オレも作ろーっと!」という乗りで作ってネットに「怖い映像」として流した物なんでしょうね。そういう気持ちはすごーーくよく分かります。わたしもそういう乗りを理解してくれる友人が周りにいたら大喜びで作っていると思います(以前ホラービデオを撮ろうと画策して失敗しました)。
さて、恐怖映像を見ていくと洋邦の違いも見えてきます。
洋物の幽霊はカラーであることが多く、
和物は白黒っぽく色の落ちた物が多いようです。
世界に冠する日本製のビデオカメラが性能的に劣っているわけありませんから(←国粋主義者)外国、多くはアメリカの幽霊の方が自己主張が強く、日本の幽霊は遠慮がちな恥ずかしがりやさんが多いのでしょう。
という冗談はさておき、さすが鶴田法男監督の伝統があるだけに日本の幽霊ビデオの方が洗練されてリアルっぽいですね。
しかしこの日本製のビデオ作品もやっぱり「カメラを左右に振る」タイプの出現パターンが多く、まあ考えることはアメリカ人とあんまり変わらないようです。
和物映像も明らかに作った物が多いと思うんですが、その作り方には二つパターンがあるように思います。
一つはシナリオを作って最初から演出を考えて撮影したドラマ物。
もう一つは、普通のホームビデオに、後から「幽霊」を合成した物。
後者の方が撮されている者はまったくそんな自覚はないので、いかにも「映ってしまった」っぽく感じられて一瞬ゾッとする物が多いような気がします。個人のパソコンでこういう映像が作れてしまうんでしょうからね、いい時代になったものです。
今回一番ゾッとしたのは夜の墓場に肝試しに行った若者の背中から物凄い目をした女の人の顔が覗いている物。
これは正直作り物かどうか、かなりリアルに感じたし、少なくとも合成には感じられませんでした。本物なら物凄く怖いし、作り物なら、「祟られろ、アホども」と、これまた罰当たりで怖いです。いずれにしろ撮影者たちはちゃんとした神社でお祓いを受けた方が賢明と思われます。
ドラマ部門(?)では前述の「エミリー」と、我が日本からはこれまた夜の神社に肝試しに行ったら木に呪いのわら人形が何体も打ち付けられていて……と思ったら奥の木々の間から白装束の人物が飛び出してくる、の2本が怖かったです。
と、こんなところでしょうか。
とっても楽しいテレビ鑑賞でした。
1年1本ずつでは寂しい、四季折々にあってほしいものです。