表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/100

「ジュラシック・パーク」シリーズ

 スピルバーグつながりで「ジュラシック・パーク」シリーズを。


 わたしは「3」が好きです。

 理由は、恐竜に追われる人間たちがキャーキャー逃げ回っているだけだから。

 くっだらねー、と思う人も多いかと思うんですが、わたしもスリルやサスペンスは明らかにスピルバーグ監督の「1」「2」が上だと思います。「3」のジョー・ジョンストン監督はスピード感はありますが全体的にあっさりしすぎで、恐怖感は低いです。ぶっちゃけ言っちゃうと、完全にファミリー映画になっていると思います。

 わたしは元々ジョンストン監督の「ミクロキッズ」「ジュマンジ」が好きで、良質なファミリーアドベンチャー監督と認識し、最初からそういう物を期待していたので、劇場でもお茶の間気分でリラックスして楽しんでいました。

 最後もう10分、もう一盛り上がりあったら「傑作」と推してもいい出来だと思うんですが、上映時間94分だそうですが、長い長いエンドロールを含んでのことでしょうから、ちょっと短すぎましたね。あっと言う間に終わってしまった感じで、それだけジェットコースター気分で楽しめたのかと思うのですが。(ファミリー映画監督だと舐めていたらジョー・ジョンストン監督は「スター・ウォーズ」の特撮のメインスタッフで、なんとあのデススターやXウイング、ミレニアム・ファルコン号を作った張本人だったんですね!! そっかあ、偉い人だったんだあー)



 「1」「2」の何が気に入らないかと言うと、恐竜の恐ろしさが出ていない点。

 いや、Tレックスやラプトルに追いかけられて恐いじゃないかと、それはその通りで手に汗握って面白かったんですが、ストーリーから「恐ろしさ」が伝わってこないんですね。

 だってねー……

 セリフではさんざん「我々とは違う時代の生き物」である恐竜の「制御できない」怖さを言っていますが、実際は、人間がさんざん余計なことをやって、自分たちで勝手に事態を悪くしていっているだけじゃないですか? 別に管理システムが恐竜の攻撃で破壊されたわけではない。

 恐竜が恐ろしいんじゃなくって、人間が馬鹿なだけじゃん、と。

 だからこの映画の自分勝手な主張をほざいている阿呆な登場人物たちが大っ嫌い。なんでこいつが食われちゃわないだよ〜!とムカムカする。

 どうもスピルバーグの映画はこういうその場のノリだけのセリフや行動が多く、全体の整合性が取れていないところが多くて困ったものです。

 「3」のママさんも相当お馬鹿で、食われちゃえ!と思うんですけれど、ちゃんと「お馬鹿」として描いているのでまあ許してやろうかという気になる。「1」「2」は本気で腹が立つ。てめえに正義面されたくねえや!、と。


 スピルバーグの性格なんだろうなと思います。多分頭では分かっているんだろうけれど、その場の情緒感を優先するんでしょうね。だからこそあれだけエネルギッシュで生々しいサスペンスやスリルが生まれるのでしょう。忙しすぎて全体をきちんと考えるのがめんどくさいというところもあるんでしょうが……。



※ ※ ※ ※ ※


 とまあ、脚本的にはあんまり評価していなかった「1」なんですが、実はこのテキストはずっと前に書いていたストックを元にしたもので。


 先日新聞で藤波 心(ふじなみ こころ)さんのブログが紹介されていました。

 ご存じの方も多いと思いますが、藤波さんは兵庫県在住の中学生タレントだそうですが、彼女の書いた「反原発」記事が ≪賛同する声が次々と上がる一方で、心ない中傷でブログのコメント欄が”炎上”。所属事務所にも抗議の電話やメールが寄せられた。≫ そうで、 ≪「怖かったし落ち込んだ」。≫ と本人はインタビューに答えています。

 わたしもネットのニュースで知って彼女のブログを見てみましたが、とても立派だと思いました。一方でこの記事をバッシングする、この記事を書いた少女を「叱りつける」ような行為を行う「大人」とはどういう類の人間だろう?と怒りを覚えました。わたしが読んだ時はまだ福島原発事故の本当のダメージが明らかになる前の、「これだけの大震災でこの程度のダメージで済んだ日本の原発技術はやはり素晴らしい」という意見が支配的な状況でした。その中でこの主張を行った藤波さんの勇気は本当に素晴らしいものだと思います。

 その後、現在、福島原発の事故が実は「この程度」ではとうてい済ませられない大変なものであったことが明らかになり、そしてその被害は今現在も現在進行形です。あの時「日本の原発技術は素晴らしい!」と褒め称え、それに異議を唱えた14歳の少女を「何も分かっていない!」と叱りつけた大人たちは、今、どういう顔をしているんでしょうね?

 新聞の記事の中で藤波さんは自分のブログに≪「非難覚悟で」≫記事を書いた動機を、≪「自宅で見たCS放送の海外ニュースが伝える事故の深刻さと『安全です』と繰り返すばかりの日本のテレビとの温度差が気持ち悪かった。ネットでいろいろ調べて、やっぱりおかしいと思い、文章を書いたんです」≫と言っています。

 わたしも今さらこんな事を書いていますが、わたしは過去に「くるみの国滞在記」という思いきり意欲的な社会派ファンタジーの超大作を書いたんですが、あまりの反応の無さに自分の無力さを思い知りまして、以降出来るだけその手のことは言わないように(日常的にも)自分を戒めてきました。

 原子力発電に対するわたしの考えは、「消極的反対派」であります。はなはだ当たり障りのない卑怯な立場を取っていますが、こうして(今現在も)電気を使っている以上、自分の行動を棚に上げて「原子力発電所反対!」とは言えない。かといって危険なものであるのは十分分かっているので、将来の電力需要をこれ以上原発開発に頼るのではなく、原子力発電はあくまで次のエネルギー源に移行するまでのつなぎとして、出来るだけ使わないように心掛け、出来るだけ速やかに次の安全でクリーンなエネルギーを開発してそちらに移行していく、原発のような危険な施設は後世の迷惑にならないように安全に解体していく、べきである、と考えていました。今も基本的にその考えは変わっていないのですが、実際にこうして事故が起きてしまって、わたし自身反省するところ大であります。

 藤波さんをバッシングする、またテレビで「安全です」を繰り返す人たちを見ていて、感じたことがあります。これも過去の作品で度々取り上げてきたことなのですが、


「日本人は過去の戦争をまったく反省していない」


 と思うのです。

 藤波さんが指摘しているように海外では大変な事故が起こったと大騒ぎしているのに、当の日本人がのんびりと、「大丈夫、日本の原子力技術は安全だ」と専門家の言葉に安心しきり、それに異議を唱える少数派には大勢でよってたかって「何を言っておるか!」とその無知、無責任、を大声で叱りつける。まるで自分の「立派な態度」を周囲に誇示するように。

 その光景は、NHKの朝の連続ドラマなんかでもお馴染みの、戦争末期においてさえ「日本の勝利」を信じて疑わなかった「正しい」日本国民の姿そのものではありませんか?

 これはもう島国という閉鎖的環境の中で長い歴史を重ねてきた日本人の、どうしようもない習性なんでしょうか?

 少なくとも、不確かな情報しかなく、まだ進行中の事柄に対して、どちらの立場を取るにせよ、一方的に自分の主張を大声で喧伝するのではなく、情報を待って事態をきちんと把握し、自分たちはどう行動するべきなのか見極めようという客観的な冷静さ(誤った楽観主義ではなく)を身につけるべきではないでしょうか? そしてその意見表明を自由に、安全に、行える、「民主主義」の基本的環境を、今我々は意識的に整備する必要があるのではないでしょうか?


 「ジュラシックパーク」のスピルバーグの悪口テキストを読み返しながら、わたし自身、現在進行形で大いに反省している次第であります。



 藤波心さんのブログ


  「  藤波心オフィシャルブログ『ここっぴーの★へそっぴー』Powered by Ameba  」


 は、こちらです。

  →<http://ameblo.jp/cocoro2008/>

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ