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ジョーズ

 1975年スティーヴン・スピルバーグ監督作。

 まったく説明の必要ないアニマルパニック物の大ヒット最高傑作。



 公開当時テレビでCMがしょっちゅう流され、街にたくさんポスターが貼ってあったのを覚えています。まだほんの子どもでしたが、ああ人気のある映画なんだなあと思っていました。同時にすごく恐そうな映画だなと。(あ、しまった、歳がばれる)

 実際に見たのは小学校6年生の時でしょうか?、テレビ放送を、思いっきり力みまくって、まさに固唾をのんで、思いっきり集中して見てました。


 すっごく恐かったですが、

 すっごく面白かったです。


 これまで見た中で最高に面白い映画だと夢中になってしまいました。



 前半の水中に潜みいつ現れるか分からない人食い鮫が突如現れ人を襲うサスペンス。

 後半の漁船で沖に出ていって死闘を繰り広げるハンティングアクション。


 サスペンスとしてもスリラーとしてもホラーとしても、完璧で、最高に面白いです。



 …と、自分の中でもはや神話的に絶賛していた映画なんですが。

 後年もっと大人になってからノーカット全長版を見まして、


 あれっ?


 …と、ちょっと印象が変わってしまいました。

 いきなりトーンダウンしてしまいますが、あんまり面白く感じなかったんですね。

 どこが?と言うと、

 前半で夏の観光ビーチの町の人間たちの間で海水浴場を開くか開かないかで利己的で無責任な言い争いが生じ、まあ彼らにしてみれば死活問題で、町長たちは主人公の警察署長の反対を押し切って海開きをし、結果痛ましい被害者を生んでしまうのですが、

 映画全体の中でこうした人間の身勝手さがやたらと強く印象に残って、巨大人食い鮫の恐ろしさを凌駕してしまっている感じがしたんですね。

 そう思わせるのが、後半の血湧き肉踊るハンティングのシークエンスが、昔テレビで見た印象よりずっと短く感じられて、今ひとつ盛り上がらなかったんですね。

 なんでだろうなあ?と考えると、

 一つ、テレビ放送の時には丸々カットされていたエピソードがあります。

 人食い鮫に多額の賞金が懸けられ、賞金目当てで地元の漁師二人が夜中、桟橋の先に肉のかたまりを仕掛けて鮫をおびき出そうとする。すると思惑通り鮫が食いついてくるが、あまりのパワーで、鎖をつないだ桟橋の先の部分がバキバキッと壊れて一人を乗せたまま沖へ持って行かれてしまう。海に落ちた漁師は慌てて泳ぎ戻ってきて、仲間に手を引かれて危機一髪難を逃れる。二人は呆然と真っ暗な沖を眺め、帰ろうと言う、というシーン。

 たしかこれ、ローランド・エメリッヒ監督の「GODZILLA」にそっくりなシーンがありませんでしたっけ?(本編じゃなく予告編だったかな? こういう記憶はたいがいうろ覚えで間違っている場合が多いので違ってたらごめんなさい)

 このシーンを見たとき、なんか怪獣映画みたいだなあと、すごくチープに感じたんですね。で、このマンガみたいなエピソードが入ったおかげですっかり中だるみしてしまい、前半が必要以上に冗長に感じられ、結果後半の見せ場が短く、あっさりした印象になってしまった、と思うのですね。


 う〜〜む、テレビ放送のカット版の方が良かったなあ…………、と。


 それともその時トイレでも行って見てなかったのかな? とにかく見た覚えがない。

 後半のハンティングシークエンスにおけるジョーズの物凄いパワーの布石だと思うのですが、やっぱり緊張感に欠けますね。

 よくDVDで劇場公開時より長いディレクターズカット版がありますが、どうも、長ければいい、全部見せた方がいい、というものでもないみたいで。

 制作者はせっかく撮影した物を見せたいのは当然で、それは当然当初から見せるつもりであったのでしょうが、思い切って「切る」事も必要なんだなあと思いました。

 やっぱり映画は最初に見た印象が一番強く、特にそれを面白いと感じれば、別のバージョンには否定的になってしまいます。しょうがないですね、頭の中で自分なりの見方が組み上がっちゃってますからね。

 最初に見ていれば、また全然印象が違ってたんでしょうね。



 以上、映画制作における編集作業の重要さ、というお話でした。




 ところでWikipediaで確認していたら面白いエピソードが紹介されていて、映画は鮫の生態を詳しく紹介した原作小説とはだいぶ違った内容になっているようで、完成した映画を見た原作者は「こんなくだらない映画ヒットするものか! スピルバーグは一生B級監督だ!」と激怒したそうなんですね。それに対してスピルバーグも「原作がつまらなかったからこうしたんだ!」とやり返したそうで。

 日本の誇るマンガの神様手塚治虫が実は相当嫉妬深い性格だったというのは死後いろいろなところから明らかにされていますが、やっぱり優秀なクリーエーターというのはエゴが強く負けん気が強くなくては駄目なんですね。手塚治虫はその上すごくいじけやすい性格だったようですが、スピルバーグもそうなんじゃないかなあ……という気がします。

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