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第16話 華麗なる剣技

 首筋を狙った必殺の剣閃だが首に届く前にリュックより片手で引き抜いた番傘に防がれていた。

「ちっ」

「お前の剣は軽いな」

「まぐれで一度止めた程度で調子に乗るなっ」

 シトヤはさっと剣を引くと同時に体を回転させて逆の首筋に一閃する。舞を舞っているかのような美しい所作ではあるがこれもまた首に当たることなく番傘に防がれ弾かれた。弾かれた剣の勢いのままに刀身を翻しての横一文字、防がれればその反動を利用しての袈裟斬り、素早く剣を返して逆袈裟と間断無き連撃は美しい軌跡を描く。

 刀特有の優麗な曲線が三日月のように輝き乱舞する。

「出たっ、シトヤさんの必殺イーセ流一刀術三日月乱舞」

「いつ見ても見惚れるほど美しい剣技だ」

 周りを固める衛兵達が賛辞を送る。どうやらシトヤはイーセにおいてそれなりの剣の使い手として認知されているようである。

 刀身を返した峰打ちでは無い本気の技に誰もが膾切りにされたガイガを想像し技の美しさの裏に秘められた残酷さに身震いする。

 ある者は生きていたら医者をすぐに呼んでやろうと思っていた者もいたが杞憂であった。

 全てが番傘に防がれた。

「馬鹿な」

 止めの唐竹割りも弾かないように柔らかく番傘に受け止められてしまった。

 自分の手柄を目撃させるつもりの衛兵達に無様を曝されシトヤはガイガを睨み付け両手で握る剣に力を込めるが受け止める番傘は僅かにも動かない。

「美しいが所詮道場剣法の域から出ないな。さてはお前戦場に出たことがないな」

「侮るなっ」

 歯牙にも掛けないガイガ物言いに最大限に侮辱されたと感じたシトヤは鍔迫り解いて軽やかに後ろに飛んで一旦間合いを外して着地すると同時に前に飛ぶ。

「きえええええええええええええええ」

 気合とともに放たれる丸太でさえ貫く必殺の突き。無駄なく弾丸の如く一直線に伸びて行くが、ガイガはさらっと躱してシトヤの背後に回り込むと背中をぽんと押す。

「うわっっととっととと」

 バランスを崩されたシトヤは踏鞴を踏むが辛うじて転ぶことだけは堪えた。

 シトヤも言うだけあってそれなりの腕であったが、ガイガにとってジャレ付く子猫に過ぎなかった。

「おい、凄くないか」

「シトヤさんが相手に成ってないぞ」

「そもそもなんであんな番傘で剣のスピードに付いていけるんだよ」

「今気付いたけど番傘片手で持ってないか」

 周りを囲んでいた衛兵達がガイガの技量に騒ぎ出す。そのほとんどがガイガへの称賛であることにシトヤはイラッとする。

「お前達何をぼっと見ているんだ。囲んで一斉攻撃をするぞ」

 ガイガを自らの手で始末したくて手を出させなかったくせにシトヤはまるで衛兵の怠惰を咎めるように怒鳴りつける。

「おい」

「しょうがねえだろ」

 職務に忠実な衛兵達は不満気ながらも仕方ないと頷き合い不審者を捕らえるために応じようとするところに一括が響いた。

「何を騒いどる!!!」

「ライガンさん」

 騒ぎを聞きつけライガンがやって来たのであった。

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