序文
西暦2200年代に突入すると、自然物資やエネルギー物資をめぐる争奪戦は激化し、より大きなシナジーを求めて各国は協力関係から統合へと肥大化した。
ヨーロッパから中央アジア、軌道衛星都市を擁する皇国、アメリカとその協力国及び月面を中心とした連合、その歴史から永世中立を貫く東アジアの三大勢力に分かたれた。
皇国と連合の対立は熾烈を極め、第四次世界大戦へ突入。
スーパーコンピューター並みの計算力を誇る最新AIを搭載し、【敵を素粒子分解する】次世代型戦闘機クレイドルが登場するとその圧倒的制圧力・攻撃力で瞬く間に戦場を支配することとなった。
各国はクレイドル開発に血道を上げ、そのパイロット育成を最優先事項とした。
進化しすぎたAIはパイロットを選ぶようになり、クレイドルに選ばれた者でなければ起動することすら適わない。
これは、そんなクレイドルに選ばれ翻弄された少年少女たちの――ただの世界の片隅の話。
【クレイドル】Cradle
皇国が開発した全球型の次世代型戦闘機。
AIを搭載し、素粒子分解領域と呼ばれる光学的攻撃方法で、敵を素粒子に分解する現代の主力軍事兵器。AIによって目標に対し自動航行を行う。
パイロットは主に十~二十代。
搭載AIに選ばれた、適正のある者のみが搭乗できる死のゆりかご。
【レジェンズ】
先の大戦で活躍した、主に皇国所属のクレイドルパイロット。
李飛龍
ヴィルヘルム・フォン・ヴァルトシュタイン
ジェイムズ・セシル・グレンヴィル
ペドロ・シルヴァ
ディートリヒ・ジルバーナーゲル
の五英雄を指して呼ばれる俗語。
そこに
東アジアの悪鬼こと、アーサー・アル・スレイマン
大戦の魔女〈マギエル〉アイリス・ヴィクトロヴナ・ミハイロフスキー
を加えて七英傑とも言われる。