07 私と新しい生活(1)
今日から通う事になる学校を目の前に、私は少し緊張をしていた
新しいクラスに馴染むことができるのか
勉強はついていけるのか、次から次へと不安が頭に浮かぶ
いままでだったら、ちょっと嫌な事があっても
帰ったらレオが待っていてくれる。それだけで前向きでいる事ができたのに。
私ってレオが居ないとだめだめだな…
はぁ、と大きめのため息を吐いたところに
後ろから声をかけられる
「小春どうした?」
「颯太」
「なんだよ、久しぶりに顔見たのに、腹でも痛いのか?」
颯太は保育園からの幼馴染
こないだまで同じぐらいの背丈だったのに
あっというまに頭ひとつ分ぐらい高くなってしまった
「私、新しい事が苦手みたい。」
「中学の時もそうだったよなー。」
「よく覚えてるね?」
たしかに。中学校の時も同じようなやり取りをした気がする。
颯太と並んで歩いてるとまた後ろから声をかけられた
「こはるん、そーた、おーはよ!」
私と颯太の肩を叩いて間に入ってくるのは
「里奈」
「わー!また颯太でっかくなった!?」
「里奈がチビなんだよ。」
里奈は小学校からの幼馴染
小学校一年生の時初めて隣の席になった女の子で
なんとそこから9年間ずーっと同じクラス。
「またこはるんと同じクラスかな?そうだよね?」
「10年目もよろしくね?」
「まだクラス分け見てないのに早すぎるだろ!」
この二人が同じ学校ってだけで少し救われた気持ちになる。
「こはるんはもう大丈夫なの?」
「まだ寂しいけど…。新学期から登校拒否とか笑えないでしょ?」
私がペットロスで塞ぎ込んでほとんど外に出かけなかった間、里奈は心配して家に様子を見に来てくれていた
そしてなんでもない話をして、私を元気付けてくれた
「里奈ありがとね。」
「えー?なにがー?」
里奈にとって何でもない事でも、あの里奈との時間に私は救われた
「私と友達でいてくれてありがとって思ったの。」
「え、なにどうしたの?」
「ただ感謝を伝えたくて」
「何で里奈だけなんだよ、俺にも感謝しろよ!」
「颯太は…うーん。」
わいわいと話しながら登校する道のりは
家で一人で塞ぎ込んで悲しむ時間より心が軽かった
こうやって悲しみを乗り越えていくのかな
玄関前に張られていたクラス分けは
「やっぱり同じクラスだ!」
「また一年よろしくね。」
「俺も同じクラス!」
よかった、二人とも同じクラスで。