表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/76

55 私とおばあちゃんの家



久しぶりに会うおばあちゃんはまだまだ元気そうで安心した。おじいちゃんが亡くなって1人で過ごしてて心配だったんだけど、庭をいじったり、好きなドラマを見たりと満喫していた。


「最近の役者さんは、イケメンが多くて目の保養になるわあ。」

「私はこの子が好きよ。私好みのソース顔だわ。」


2人で一緒にドラマを見てキャーキャー言うあたり、親子だなあって思う。私は1人縁側に座って切ってもらったスイカを食べながら夏を満喫する。おばあちゃんの家では時間がゆっくりと流れ、本を読んだり課題をやったりして過ごしていた。お父さんと秋人も来れたらよかったのに。2人は仕事と部活で一緒に来れなかった。


「お義母さんによろしくね。」


お父さんはそういってお土産をたくさん持たせてくれた。どれもおばあちゃんの好きなものばかり。


「春人さんと秋斗もまた会いたいねえ。」


お土産を受け取ったおばあちゃんはそう言って笑っていた。お父さんもお母さんも、おばあちゃんに一緒に住もうよって誘ってはいるんだけど、遠慮してか1人が好きなのかは、わからないけどおばあちゃんはこの家を離れようとしない。私もおばあちゃん大好きだから一緒に住んでくれたら嬉しいのに。


スイカを食べ終わった私は、また本を読むために奥の書斎へ入る。


おじいちゃんが本の虫で、この書斎には色んな本が集められている。難しい本ばかりだけど、中には読める本もあったし、なによりこの場所の雰囲気が好きだった。


今日はどんな本を読んでみようかな。

天井近くまで高い本棚をゆっくり眺めて読みたい本を探す。


「?」


本を選んで椅子に腰掛けた時にそれに気づいた。机の上に見覚えのない本が一冊。おばあちゃんが読んでいたのかな?そう思い、表紙をめくってみるとそれはアルバムだった。


かなり昔からある家族写真だった。ボロボロで白黒の写真を見るに明治時代とか写真が普及したての頃ぐらいから残されてそう。表紙の裏に神代(かみしろ)と書かれていた。おばあちゃんの苗字だった。お母さんはお父さんと結婚して紗倉になったから、これはおばあちゃんの家系の家族写真のアルバムと言うことがわかる。


昔の写真は画質が悪く鮮明ではないけど、ある程度めくっていくと人物の顔がよく分かるようになった。私は興味本位でページをめくっていく。服も和服から洋服になったり、髪型の変化など時代の流れが面白かった。


ちょうど全員が洋服になる頃、その1枚前の写真と見比べている時に気づいた。


家族写真の中に、猫宮くんに似てる男の人が居た。いまほど写真が綺麗じゃないからなんとなくそっくりだなあってぐらい。1878年、明治11年の頃の写真だった。


私もしかしたら、かっこいい人を見ると全部猫宮くんに見えてしまうのかもしれない。私は何かの機会に猫宮くんに見せてあげようって思って、スマホで写真を撮っておく。


ちょうどその時中川さんからメッセージが入って、夏休み中に海に行こうってお誘いが来た。猫宮くんも一緒に行くらしい。猫宮くんの水着をちょっと想像してしまって恥ずかしくなった。


『行きたい!里奈と颯太も誘って良い?』


中川さんからはすぐに返事が来た。許可をもらったので、里奈と颯太にも海に行こうと声をかける。予定は中川さんが立ててくれるらしい。


水着買わないとなあ。帰ったら里奈と水着選びに行こう。


海の前に、猫宮くんの誕生日もあるし。プレゼントはもう用意してあるけど、どんな誕生日にしようかまだ決めていない。本人に聞いたら、どこかに出かけるより2人でゆっくり過ごしたいって言われちゃって……。


猫宮くんと2人で過ごすのを想像すると、どうしても煩悩にまみれてしまう。


はしたない妄想を頭を軽く降って消し去る。せっかくの誕生日だからケーキとかも用意しないとね。


私はアルバムを閉じて、誕生日をどうするか考えながら今日読む予定の本を開いた。早く猫宮くんに会いたいなって考えながら徐々に本に意識を落として行く。


お母さんが声をかけてくれるまで、集中が途切れる事なく物語を楽しむ事ができた。


夕食の時、それとなくおばあちゃんにアルバムの写真を見せてみたけど、まだおばあちゃんも生まれる前の写真だった。一緒に猫宮くんの顔を知ってるお母さんに写真を見せてみたけど、なんか似てるわねえ、ぐらいの反応だったから多分私が、イケメンは全員猫宮くんに見えちゃってるみたい。


その流れでお母さんが猫宮くんの事をまたベタ褒めしまくって、おばあちゃんにも根掘り葉掘り尋ねられてしまった。


「今度連れて来なさいよ。」

「こんな遠い所まで無理だよ!」

「じゃあ、私が行こうかしらね?」

「それが良いわ!次猫宮くんに会うのはいつ?」

「帰った次の日……。」


正直に答えた後にしまったと思った。お母さんは目をきらきらと輝かせて両手を叩いて言った。


「じゃあおばあちゃんも一緒に帰りましょうよ!小春!その時猫宮くんを連れてきなさい!」

「そうねえ、春人さんや秋斗にも会いたいしねえ。」

「待って、猫宮くんの誕生日だから……!」

「ちょうどいいじゃない!みんなでお祝いしましょう!」


こうなったお母さんは誰にも止められない。猫宮くんには申し訳ないけど、少しだけ顔を出してもらって誕生日デートはまた違う日にする事にしよう。お母さんもおばあちゃんも、猫宮くんのお誕生日に出す料理の相談まで始めちゃったし……。


猫宮くんになんて言って謝ろう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ