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47 私と初めてのデート(3)


オムライスを食べた後に

デザートにワッフルを食べて、私達はのんびり映画館へ向かう。


「オムライスもワッフルも美味しかったね?」

「うん!ワッフルとか久しぶりに食べた!」


手を繋ぎながら街中を歩く。

最初は気になっていた人の視線も、慣れて来たのか気にならなくなっていた。


「映画、私が見たいやつでよかったの?」

「うん。原作は読んでるから大丈夫だよ。」


今日見る映画は、小説が原作のラブストーリーだった。

男の子はこういうの嫌がるかなって、最初は違う映画を提案していたんだけど、猫宮くんが「小春ちゃんはこっちの方が好きそう。」って提案してくれて……。


「猫宮くんもこういう小説読むんだ。」

「結構いろんなジャンルを読んでるよ。勉強するために。」

「勉強?」

「本って1冊を読み終わる頃には、人1人の人生を体験した気持ちになるのが好きなんだ。人間はこんな事を考えているんだ、とか結構勉強になるよ?」

「確かに、私だったらこう考えるけど、そっちの考えもありかって思う時あるね!」


もしかして猫宮くんのストレートな物言いも、何かの小説に影響されたりしているのかな?

同じ年の男の子達と比べたら猫宮くんってすごく大人っぽいし。

たまに本当に15歳?って思う事もある。


「あ、そういえば猫宮くんって誕生日いつなの?」

「誕生日?えーっと、……8月8日?」

「ふふ、なんで疑問なの。てゆうか来月じゃん!お祝いしなきゃだね?」


あと1ヶ月で何か準備できるかな?

8月8日かぁ……。そこでふと気づいた。


「私の猫の誕生日と同じだ。」

「そうなの?一緒だね。」


猫宮くんはなぜだか少し嬉しそうな顔をしている。


「そういえば名前も一緒だよね?」

「うんうん。そうだよ?」

「私の猫も猫宮くんみたいにすごくかっこよかったから、やっぱりレオって名前だとイケメンに育つんだね!」


名前がかっこいいと本人もかっこいいよね。

レオもすっごくかっこいい猫に育ったし。

顔が小さくて、アイラインがはっきりしてて、宝石みたいで薄いゴールドの瞳が忘れられない。


猫宮くんが小さくため息をついたのが聞こえた。


「あぁ、ごめん!猫と一緒にしちゃって!でも、レオすっごくかっこよかったの!」

「うん、ありがとう。」

「猫宮くんの事じゃなくて、レオの事だよ!」

「ん?僕はかっこよくない?」

「……かっこいいよっ!」


同じ名前だと会話がすごくややこしい事になってしまう。


「早くチケット買いにいこ!」


私は話をそこで終わらせて、チケットを買いに行く事にした。

実はオムライスは猫宮くんが払ってくれたから、ここは私が払おうと思ってる。

さっきはお財布を出そうとしたら、猫宮くんが電子マネーでさっと払ってしまっていた。


「ここは私が払うから、さっき払ってくれたし!」

「いいって。男がデート代払うのは当たり前でしょ?甘えて?」

「それは大人になってお金持ちになった人のセリフだよ!私たちはまだ子供だから、ちゃんと割り勘にしよ?」


またスマホを出して支払いの準備をする猫宮くんを下がらせて、私がさっさと2人分払ってしまう。

こういう所はきっちりしないと気が済まない。


「女の子はメイクしたり着飾ったり、いろいろ大変でしょ?こんな可愛い小春ちゃんの隣を歩けるんだから、いくら払っても足りないぐらいなのに。」

「私はこれからも何度もデートしたいから、お互いに負担ないように半分ずつがいいな?」


私がそういうと猫宮くんは、うーん、と唸って渋々納得してくれたみたいだった。

少し猫宮くんの扱い方がわかった気がする。


「じゃあ、飲み物ぐらいは僕に任せてよ。これは小春ちゃんが僕のために可愛くしてくれたお礼。」


本当は割り勘で買うつもりだったけど、どうしても猫宮くんが譲ってくれなくて飲み物は買ってもらった。


「ありがとう。」

「どういたしまして。」


にっこり優しい笑みを浮かべる猫宮くん。

ただその笑顔を見てるだけできゅんと心臓が締め付けられる。

そのまま映画の開場時間になって、スクリーンへ向かう。


今から見る映画は流行りのイケメン俳優を起用した、女性向けの作品なんだけど……。

そのイケメン俳優より、絶対猫宮くんの方がイケメンだと思う。

好きだから、補正入ってるのかな……?


指定された席に座って、猫宮くんをちらっと見てみる。


「どうしたの?」

「ううん。なんでもないよ。」


やっぱり、猫宮くんの方が絶対かっこいい。



周りが暗くなって、予告が流れる。

少し楽な体勢を取りたくてもぞもぞと座る位置を調節していると


「ねえ、小春ちゃん。」

「ん?」


こっそり耳元で猫宮くんが囁くように声をかけてきた。

いつもより少し低めに響く声がくすぐったい。


「大好き。」

「っ、なにっ?」

「なんか、そういう気分になっちゃった。」


まじかで見る猫宮くんの顔は心臓に悪い。

ドキドキと高鳴る胸が苦しい。


「手繋いでていい?」


私が返事をする前に膝の上にあった手に、自分の指を絡めてくる。

そして少しだけ私の肩に触れるように近寄る。

緊張して映画どころじゃなくなった私は、ドキドキとうるさい心臓の音を聞きながら隣に座る猫宮くんの事しか考えられなくなっていた。


「あの、集中できない……からっ。」

「なんで?」


絶対わざとやってる。

猫宮くんが少し笑みを含んだ声でささやいてくる。

しまいには私の耳たぶを軽く甘噛みして、軽く口付けされる。


急にスイッチが入ってしまった猫宮くんに私はどうしていいか分からず固まってしまう。

もうすぐ予告が終わって始まっちゃうのに。こんなの集中できるわけない……。


「ふふ、ごめんね。もう何もしないから、映画見よっか。」

「うん。」


予告が終わる前に頬にちゅ、と口付けされ映画を見る姿勢に戻る猫宮くん。

繋いでいる手と、触れている肩が熱を持っている。

こんなの全然映画に集中できないよ……。


そう思ったもの束の間、好きな小説の映画化とあって始まって少ししたら私は集中して映画を見ていた。


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