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46 私と初めてのデート(2)


デート当日、私は朝早く目を覚まして準備をしていた。

待ち合わせ時間は12時、あと5時間もある。


今日は、ランチを食べて、映画を見て、ショッピングモールで買い物をする予定。

ランチの場所は猫宮くんが事前に予約をしてくれているらしい。

どんな所に連れていってもらえるのか少しワクワクしている。


デートの予定が決まった日から、いろいろと準備をしてきた。

まずはデートの服、里奈が選んでくれた白に近い淡いピンクの膝丈ワンピース。

腰にリボンが付いていて絞る事ができるので、痩せ見えするらしい。

ついでに中川さんたちからメイクの仕方も勉強した。

派手になりすぎない、ナチュラルな感じのを教えてもらった。

髪もついでに軽く巻いておく。


もしかしたら気合を入れすぎているかもしれない。

鏡に映る自分の姿を見て急に不安になってきた。

猫宮くんの隣に立って恥ずかしくない姿で行きたいんだけど、どうしよう。


鏡の前で前を見たり後ろを見たり、気づいたら時間になっていて、私は急いで部屋を出る。


「今日は何時に帰ってくるの?」

「夕方には買えると思うー。」

「そう、気をつけてね。猫宮くんによろしくね。」


お母さんは猫宮くんをすごく気に入っているみたい。

ことあるごとに話を聞き出そうとしてくるし。

あと、お父さんの反応を楽しんでいるように見える。


お母さん、ちょっと意地悪なところあるよね。


私は猫宮くんに少しでも見合うように、少しだけヒールが高いミュールを履いて出かけた。



少し早めについてカフェでのんびりしようと思って出て来たつもりだったけど、待ち合わせ場所にはすでに猫宮くんが待っていた。


「ごめん!猫宮くん!待ったよね!?」

「ううん、今来たところだよ。楽しみすぎてちょっと早く来ちゃった。」


猫宮くんは私の髪を少し撫でて、いつもの優しい笑みで言う。


「小春ちゃんすごく可愛い。僕のためにオシャレしてくれたの?」

「うん……。そうだよ。」


今日の猫宮くんはもちろんかっこよかった。


黒のパンツに、白の無地Tシャツ。

ネックレスと時計も身につけていて、普段の学生服とは違って少し大人びた雰囲気を感じさせた。


イケメンは何を着てもイケメンで、周りの人達もちらちらと猫宮くんを見ている。

私ちゃんと彼女に見えてるのかな。

大人っぽい猫宮くんの隣にいるのが恥ずかしくなってきた。


「ちょっとメイクもしてるね?可愛い……。ワンピースも可愛いし、髪もくるってしてて可愛い。ちょっと高いヒールの靴も全部全部可愛いよ。」


私が今日してきた事全部気づいてくれて褒めてくれた。

嬉しいけど、結構恥ずかしい。


「猫宮くんと一緒に歩いても、変じゃないようにって思って。」

「全然変じゃないよ。こんな可愛い恋人とデート出来るなんて人間になってよかった。」

「ふふ、どういう事?」


猫宮くんはたまに変な事を言って笑わせてくる。

あまり冗談を言わない猫宮くんがそんな事言うからそこが面白い。


「そのままの意味だよ。じゃ、行こっか。お腹空いてる?」

「うん。どこ行くの?楽しみ。」

「ついてからのお楽しみ。」


そのまま猫宮くんと手を繋いで歩き出す。

猫宮くんと歩くと嫌ってほど他人の視線を感じる。


「猫宮くんは、慣れてるの?知らない人から見られたりするの。」

「あんまり気にしないかな。僕は小春ちゃん以外に興味がないから。」


さらりと口説いてくる猫宮くんはここまでくると流石だなって思う。

手を繋いで歩いて、人気のない道を歩き始めた。


「道に迷った?」

「んーん、迷ってないよ。」


駅の周りは人が多くてガヤガヤしてたけど、今は完全に路地裏を歩いていて人が殆ど歩いてない。

こんな所に本当にお店があるのかな?

それとも2人きりになりたくてわざとこんな道を歩いている?

猫宮くんならありえる考えに、少し胸がドキドキする。


「着いたよ。」


猫宮くんが案内してくれた場所は、隠れ家的な喫茶店だった。

ちゃんとお店に向かっていたみたい。少しだけ期待した自分が恥ずかしかった。

お店の中に入ると、中は昔ながらの雰囲気がある喫茶店で意外とお客さんは入っていた。


「ここのオムライスが美味しいんだって。」

「私オムライス好きなの、もしかして知ってた?」

「もちろん。」


2人席のテーブルに向かい合って座る。

店員さんが来て注文を聞かれて、2人ともオムライスとドリンクを頼む。

注文を待っている間猫宮くんはずっとにっこりして、私を見つめていた。


「嬉しいな。小春ちゃんと2人きり。」

「大袈裟だよ、いつでもデートなんて出来るよ?」

「僕、毎日デートしても足りないと思う。」

「じゃあ、もう一緒に住むしかないね。」


すごく嬉しそうな猫宮くんが可愛かった。

先に運ばれてきたアイスティーに口をつけながら私は冗談を言ってみた。


「えっ、そ、それは流石にちょっと早いよ……。」

「冗談だよっ!」

「一緒に住むのは、結婚してから、ね?」

「冗談だってば!」


軽く言った冗談を間に受けられてしまい少し焦る。

結婚とかそんなの全く考えた事がなかった。


「約束した仲なのに?」

「ごめんなさい、覚えてないです……。」


昔の事を問われると肩身が狭くなる。

猫宮くんの言う事が真実なら、私は猫宮くんと結婚する約束をしていたらしい。


「いいよ気にしないで?またそのうち約束してもらーー」

「お待たせしました、オムライスをお持ちしました。」


タイミングよく頼んだオムライスが運ばれてきて猫宮くんの言葉を遮る。

なんかすごい事を言われた気がする。


運ばれてきたオムライスは綺麗に卵に包まれていてとても美味しそうだった。

私は里奈に写真を送るためにオムライスの写真を撮る。


「僕も撮ろっと。」


カシャカシャとカメラの音が2回して、ふと顔をあげると猫宮くんのスマホは私を向いていた。


「待って、私を撮るの!?」

「だってオムライス美味しそうに見てる小春ちゃんが可愛くて。」

「恥ずかしいからやめてよ……。」


不意打ちで撮られた写真はきっと変な顔をしている。

恥ずかしくて顔が熱くなってくる。


「暖かいうちに早く食べよ?僕も初めて食べるんだ。」

「うん、いただきます。」


スプーンで一口分をすくって口に入れたオムライスは、ほんのり甘くて美味しかった。




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