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42 僕と幸福感



「はぁ……。」


僕は今日何度目かわからないため息をつく。

幸せすぎて、こうやって幸せを外に逃してあげなきゃ爆発しそうだった。


「はぁ、小春ちゃん好き。」


僕の初めてのキスは緊張であまり覚えてない。

猫の時はたくさんたくさんキスをしたけど、人間の口同士のキスは唇が柔らかく気持ちよくて何度もしたくなった。

小春ちゃんからもしてくれたし、幸せだ。


「はぁ……。」


思い返すだけで幸せな気持ちになれる。

もっと触れたいって思ったけど、それを我慢した僕は偉いと思う。


ずっとずっとくっついて離れたくなかった。

小春ちゃんへの想いが暴走しそうだった。


「随分幸せそうだね?」

「うん、今日はいい事あったからね。」

「初めてのキスはどうだった?」


神様は部屋のドアを開けて、ニヤニヤと口元に笑みを浮かべて僕を見ていた。

その顔は全て知っている顔だった。


「言わなくても分かるでしょ。」

「君の口から聞きたかったんだよ?」

「僕を人間にしてくれてありがとう。」


その一言が全てだった。


早く小春ちゃんに会いたいな。

明日もキスしていいのかな。小春ちゃんはすごく恥ずかしがるだろうな。


小春ちゃんの反応が想像出来てしまって顔が緩んでしまう。


「顔、にやけてるよ。」

「人間ってすぐ顔に出るから不便だね。」



神様が出ていってからも頭の中は小春ちゃんでいっぱいだった。


小春ちゃんが何か企んでる事はすぐわかったけど、まさかキスしたいだなんて……。

ハグだけで終わらせて帰るつもりが、キスまでしてしまった。


抱きしめた時の小さな体も、僕が耳元で喋るとちょっと身を捩らす所も。

小春ちゃんの匂いも感じたし、唇も柔らかくて、食べてしまいたいぐらい愛おしかった。

もっとたくさん触れていたかった。

猫の時は小春ちゃんに抱きしめてもらうのが好きだったけど、今は抱きしめる方が好きになった。

僕だけの小春ちゃんだって思えて、独占欲がとても満たされた。


小春ちゃんの全てが好きで、全てが愛しくて、全て僕のものにしたい。


猫は飼い主を独り占めしたい生き物だからね。

拾われた時から小春ちゃんは僕だけの飼い主。

可愛くて優しくて大好きな飼い主。


これからも沢山愛して、結婚して、幸せになるんだ。



僕はスマホの中にある小春ちゃんの写真を見て、それを抱きしめる。

小春ちゃんの夢を見れますように。


僕は願いを込めて眠りについた。




朝目が覚めると夢の内容はすっかり忘れていたが、幸せな気分という事はきっと小春ちゃんの夢をみたに違いない。

神様に挨拶をして、準備をして朝ご飯を食べて家を出る。


「気をつけていってくるんだよ。」

「いってきます。」


早く小春ちゃんに会いたくて、早めに駅に着く。

会った瞬間にキスしてもいいかな。海外ではあいさつでキスをするらしいし。


小春ちゃんを愛しく思う気持ちが溢れて仕方なかった。



だけど、その日小春ちゃんは現れなかった。


「こはるん今日休みって言ってたよ?」

「僕それ知らないんだけど。」


いつもの電車で降りてこないからおかしいって思った。

けれど待ち続けていたら、遅刻ギリギリの電車で里奈が降りてきて僕にいう。


「なんか風邪ひいたって。」

「心配だからお見舞いに行こう。」


どうして僕には連絡をくれなかったんだろう。

体調が悪くてそれどころじゃないのかな。でも里奈に送るより僕に送ってくれてもいいのに。


「私これから学校なんだけど。」

「僕、家の場所わからないし、電車乗ったことないんだ。」

「ええ!?電車乗ったことないの?」


正確に言えば乗り物に乗ったことがない。

神様もそこまで教えてくれなかったからね。


「帰りなら連れてってあげてもいいけど?」

「帰りまで待てないよ。僕は今すぐ会いたい。」

「今行ってもこはるんしんどいだけでしょ!きっと寝てると思うから、放課後しか無理!いますぐがいいなら1人でいけば!?」


確かに今行っても小春ちゃんは寝ているかもしれない。

僕はしぶしぶ里奈の言うことにしたがってとりあえず学校へ行った。


放課後までの時間が長く感じた。

小春ちゃんがいないだけで学校がとたんにつまらなくなって、ほとんどの時間を1人で過ごした。



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