41 私と罪悪感
「はぁ……。」
本日何度目かわからないため息を吐いてしまう。
思い出すのは放課後の出来事。
私の初めてのキスは、幸せな気持ちになれた。
だけど今の私は罪悪感でいっぱいだった。
猫宮くんの震える声が忘れられない。
チャイムがなって離れた時にはいつも通りの笑顔で、私を駅まで送ってくれた。
「また明日ね?」
「うん、また明日。」
そう言って帰ってきたけど、明日どんな顔をして会えばいいのかわからない。
猫宮くんは私を、自分の運命のコハルちゃんだと思っている。
ずっとずっと好きだったって言ってた。
小春違いの私にその想いを向けられて、私は今罪悪感で胸がモヤモヤしていた。
何度記憶を思い返してみても、猫宮くんには会った事がない。
人を助けるなんて出来事も覚えがない。
つまり、猫宮くんは違うコハルをずっと思い続けている。
どうして私と勘違いしたのだろうか。
私はその勘違いを正そうとせず、自分が猫宮くんを好きになったからその想いを利用して付き合っただけだった。
私って最低な女じゃん……。
謝らなきゃな。
謝って全部話して、間違えを正してあげなきゃ。
正直に話したら、猫宮くんはどんな反応をするだろうか。
今までの事なかった事になるのかな。私は猫宮くんのコハルじゃないし。
コハルへの想いを私がズルして受け取ってただけだったけど。
すごく嬉しかったし幸せだった。
あんなに想ってもらえてるコハルが羨ましい。
猫宮くんの事を想うと涙が溢れてくる。
本当にごめんなさい。猫宮くんの気持ちを利用してごめんなさい。
私は心の中で謝りながら眠りについた。
夢の中でも謝っていたかもしれない。
朝目が覚めると喉に痛い。
頭が重く、立ち上がるとふらふらと体に力が入らない。
こんな都合よく体調が悪くなるなんて、私の体はよほど猫宮くんと離れたくないらしい。
熱を測ってみると38度。しっかり熱まで出ていた。
せっかく昨日打ち明ける覚悟を決めたのに。
「今日は学校休みなさい。電話しておくから。お薬もちゃんと飲むのよ。」
「お母さんごめんなさい……。」
「謝らないでいいのよ。ちゃんと寝てよくなってくれたらそれでいいから。」
私を寝かせ布団をかけてくれるお母さんの優しさに泣きそうになる。
「今日はゆっくりね。何かあったら呼んでね。」
「うん、ありがとう。」
静かにドアが閉められて、部屋に1人になるとまた昨日の事を思い出す。
あぁ、今日ちゃんと謝ろうって思ったのにな。
思考がまとまらない頭の中で、謝罪を続ける。
猫宮くんごめんなさい。
私はあなたの運命のコハルじゃないんです。
あなたが好きだから、その想いを利用しました。
あなたのその言葉はちゃんと伝えるべき相手に伝えてください。
私はおもむろにサイドテーブルに置いてあるレオの写真を手に取って抱きしめる。
寂しくてたまらなかった。
こんな時レオが居てくれたら、私はこんな間違いを犯さなかった。
レオがいなくて、私は寂しくて、猫宮くんの愛を求めちゃったんだと思う。
枕が涙で濡れていくのを感じながら私は目を瞑った。




