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32 私と緊急お泊まり会



私はその夜里奈にメッセージを送った。


『猫宮くんに好きって言った。』


『ちょっとどういうことまって』


返事はすぐ返ってきた。

ちょっとまってての文から、次のメッセージが届かない。

忙しかったのかな?


そのまま30分ほど音沙汰なしで家のチャイムが鳴る。


「ちょっとどういうことなの!?展開早すぎない!?」


はあはあと息を切らせて玄関に立つ里奈。

お母さんがリビングから出てきて声をかける。


「あら里奈ちゃん久しぶりね。お泊まりしてく?」

「もちろん!」


よく見るとしっかり着替えのような荷物まで持っている。

ばたばたと弟の秋斗あきとも出てくる。


「里奈!!久しぶり!」

「秋!久しぶり!大きくなったねー!」


里奈は前から度々私の家に泊まったり、私も里奈の家に泊まりに行ったりと仲がいい。

昔は颯太も泊まりに来たりしてたんだけど、成長するにつれてそれもなくなった。


私は里奈を部屋に連れて行って今日あった事を話した。


「きゃー何それ!超エモいじゃん!」

「どうしよう、コハル違いでしたって言われたら!」

「大丈夫!今も分かってないんだから!」


私はお気に入りのクッションをぎゅっと抱きしめて心を落ち着かせる。

いまのこの瞬間も考えるのは猫宮くんの事ばかり。


「てゆうか、付き合ったって事だよね!?同じ気持ちって事は!」

「どう、だろう…。付き合ってとかそういうの言われてないけど…。」

「ええ!逆にそれで付き合って無いとかなくない!?」

「今まで付き合った事ないからわかんない……。」

「私も分かんないけど……。」


私も里奈も考え込んで黙ってしまう。

私たちが想像していた好きは、好きになって、告白して、付き合ってその先は彼氏彼女として過ごす。

2人とも経験がなかった。


「デートとか、行くのかな…?」

「デート……。猫宮くんが囲われて終わりそう。」

「確かに。」


猫宮くんを街に放ったら、いろんな人が声をかけてきてデートどころじゃなくなりそう。

想像できてしまう事は、大体現実になるって誰かが言ってた。


「じゃあ、お家デートとか?」

「それはまだ早い!!自分を安売りしちゃだめだよ!もっと自分を大事にして!」

「ちがっ、そんな事は考えてなかった!」


里奈に恥ずかしい勘違いをされて急いで訂正する。

外がダメなら家の中ならって、単純にそう思っただけだった。


「はー、どうしよう。月曜日会って普通だったら…。」

「それはそれで嫌だね。」

「こんな色々考えてるの私だけだったら恥ずかしいし。」

「その時は浮気しちゃお!」

「誰に?」

「木村くんとか?」

「なんでそこで木村くんの話がでるのっ。」


里奈と笑い合う。

恋バナに花を咲かせていると、お母さんが呼びに来た。


「小春ー!里奈ちゃん!ご飯できたわよ!」

「はーい。」

「わーい!こはるんママのご飯久しぶり!」

「今日はカレーだったから、ちょうど良かったわ。たくさん食べていってね?」


部屋を出るとカレーのいい匂いがする。

里奈が家に泊まりにくるのは久しぶりだからなんだか楽しくなってきた。


「あとで映画見ようよ!恋愛のやつ!」

「うわ、勉強する気じゃん!」


家族の食卓に自然と里奈も混ざって、楽しく食事をした。

その後はリビングテレビで里奈と弟も一緒に映画を見る事になった。


「秋斗興味あるの?」

「別に、あんまねえけど。里奈が見るなら見る。」


ちらりと里奈を見て頬を染める弟。

うちの弟は昔から里奈の事が大好きで、家に遊びにくるとしょっちゅうくっついてた。


「ほんと里奈の事大好きなんだから。」

「ばっ、別に、そんなんじゃねーし!」

「そうなの?うれしー!」


里奈に抱きつかれて恥ずかしがっている弟を横目に私は動画のサブスクで映画を探す。

明日は休みだから気にしないで夜更かしもできる。


私が適当に再生した映画は感動系の話で、3人はずびずび鼻を鳴らしながら最後まで見た。


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