31 私と同じ気持ち
「ねごっ、みやぐんと、図書委員やりだがったのにぃ……。」
しゃっくりをあげながら泣くクラスメイト。
近くの友達が背中をさすって慰めている。
じゃんけんに勝った私が悪者みたいじゃん。
なんか嫌な気持ちになりながら席に座って息を吐く。
「やったねこはるん。」
「うん、勝ててよかった。」
口をぎゅっと閉めてなきゃにやけてしまいそうだった。
これで猫宮くんと過ごせる機会が少し増える。
こっそり猫宮くんの方を見ると、猫宮くんは私をにんまりと見ていた。
「じゃあこの後、委員会に決まった人たちは各自教室に行ってください。」
木村くんが号令をかけ、各々解散となった。
「じゃあ、俺らは部活行くから。」
「うん!また明日ねこはるん!」
颯太と里奈は部活へ向かった。
私はこのあと図書室の隣の教室で図書委員の説明を受ける。
「こはるちゃん、行こっか?」
「うん。」
猫宮くんの隣に並んで歩く。
最近、本当は猫宮くんは歩くのが早いことに気づいた。足が長いからそれだけ歩くのも早いんだと思う。
だけど私と一緒に歩く時は歩くのをゆっくりにしてくれている。
「猫宮くんが図書委員になりたいなんてしらなかったよ?」
「小春ちゃんが立候補するって聞いたから。あんな事になると思わなかったけど。」
「みんな手あげるからびっくりしちゃった。」
恐るべき猫宮くんパワー。
「小春ちゃんが勝ってくれてよかった。」
猫宮くんは優しく微笑む。
私はじゃんけんに負けて泣いてたクラスメイトを思い出す。
あの子からしたら、猫宮くんに好意を寄せてもらっている私は邪魔者なんだろうな。
何もしていないのに好かれてるなんて、ズルをしている気分だった。
「みんなに遠慮して立候補取り下げちゃうかと思ったよ。」
「いつもだったらそうするんだけど……。」
「どうしてしなかったの?」
ずるい。その顔は理由がわかっている顔だ。
猫宮くんは優しく微笑みながら私の答えを待っている。
きっと私が答えたら、猫宮くんは「僕も」って返してくれると思う。
ドキドキして震えそうな声をなるべく落ち落ち着けて答える。
「猫宮くんと過ごす機会が増えればいいなって思って。」
「僕もそう思って立候補した。」
顔に熱がのぼる。
多分今すごく顔が赤くなってると思う。
前に猫宮くんが私に『もう一回また好きになってもらうから。』って言った。
私が好きになったらその先は何があるの……?
私は運命のコハルじゃないって気づいたらどうなるの?
「最近小春ちゃんと過ごす機会が少なくて寂しいんだ。」
「うん、私も。」
「お昼も一緒に食べられなくて寂しい。」
「私も。」
「小春ちゃんが他の男子と話してたらちょっと嫉妬する。」
「……うん、私も。」
「同じ気持ちだね?」
「そうだね。」
心臓が破裂してしまうんじゃないかってぐらいドキドキしている。
もう猫宮くんの顔は見れない。
「もしかして、好きって気持ちも同じ?」
小さく聞こえないぐらいの声で返事をした。
猫宮くんはそっと私と手を繋いだ。




