30 僕と委員会
最近小春ちゃんとゆっくり話ができなくてストレスが溜まっている。
休み時間になる度に、運動部の勧誘が来る。
そしてそれに便乗して今まで声をかけてこなかった女の子達も集まってくるようになった。
何度断ってもやってくる彼らに爆発しそうだった。
「猫宮大変だな!」
「イケメンはね、そういう運命だから!」
その中でもこの2人は何も誘ってこないからまだマシな方だった。
せっかく小春ちゃんとお昼を過ごそうとしても、食事中にも関わらず声をかけてくる奴がいるから小春ちゃんに申し訳なくて誰にも見つからないように屋上で過ごす。
屋上に入れるのを教えてくれたのは中川だった。
いつも人に囲まれてるのは、元猫の僕からしたらストレスしかなくて
1人になれる時間が欲しかったからありがたかった。
今日の昼も屋上で過ごしていると、中川と野村がやってきた。
「イケメン発見。」
「僕の1人の時間を邪魔しないでくれる?」
「ここ教えたのウチじゃん!」
2人は笑いながら僕の近くにあぐらをかいて座る。
「いい情報教えてあげよっか?」
ニヤニヤしながら中川が僕に聞く。
なんかむかつく言い方だけど、教えてもらう事にした。
「こはるんが図書委員に立候補するんだって。」
「図書委員……。」
よし、僕も立候補しよう。
「猫宮も立候補しようって思ったっしょ?」
「うん、問題ある?」
「あるんだなそれがあ!」
いちいちリアクションが鬱陶しいな……。颯太と話しているみたいだ。
「委員会は男女1名ずつ選ぶんだけど、猫宮が手をあげたらクラスの他の女子もそれを見て手をあげる。」
「そうするとどうなると思う?」
野村までにやっとして、どうするどうする?って煽ってくる。
「その多くの中から1人を選ぶから、小春ちゃんじゃない人と図書委員をするかもしれない。」
「ピンポーン正解!」
小春ちゃんとじゃなきゃ、図書委員に立候補する意味がない。
かといって僕が手をあげなきゃ、小春ちゃんは他の男子と図書委員をする事になる。それはもっと嫌だ。
一番いいのは小春ちゃんが手をあげないで、他の人たちが図書委員になる事だけど
小春ちゃんのやりたい事は制限したくない。
「小春ちゃんが選ばれれば、問題ない……?」
「でもそれむずくね?」
「選ぶのってくじ引きとか?」
「なんでもいいんだけど、多分手軽なのはじゃんけんじゃね?」
じゃんけんだと確率が低すぎる。
望みが薄すぎてため息が出てしまう。小春ちゃん運良かったかな。
僕は大きなため息をついて、どうしたものかと思考を巡らした。
「2人は何か立候補するの?」
もしかしたら小春ちゃんは優しいから、他の人が立候補したらきっと譲るかもしれない。
「あー、ウチらを生贄にしようとしてない?面倒だからやりたくねーよ!」
「ウチはもう副委員長やるって決めてるから。」
野村の意外な宣言に少しびっくりする。
「野村そんな大役できるの?」
「まあ、木村がほとんどやってくれるから、ウチはお飾りってやつ!」
「超楽じゃんいいなー!」
お飾りだとしても何かしら仕事はしなきゃいけないと思うけど。
他に図書委員に立候補してくれそうな女の子を探すか…。
…野村が副委員長になったとしたら。
「野村ってじゃんけん弱いの?」
「え、なにいきなり、強いとか弱いとかなくね?。」
確実に小春ちゃんを勝たせるのは難しいけど、確率を上げる事は出来るかもしれない。
最後は小春ちゃんの運だけど。
「小春ちゃんとのじゃんけんに負けてほしいんだ。」
「それこそむずくね?」
そこで僕は考えた作戦を野村に伝えて、中川相手にやってみてもらう。
「すげえ!野村超弱いじゃん!」
「いやむずいってこれ!」
「僕は信じてるよ野村。」
教えた事を野村がそれを完璧に実行できるなんて思ってもなかった。
予想以上に野村の動体視力はいいらしい。
「ウチの責任重大じゃね!?」
「頑張れ野村!猫宮の青春はお前が握ってる!」
最後は小春ちゃんの運任せ。
「猫宮ひとつ貸しだからね!」
「いつも僕の事映えに使ってるくせに。」
その時が来るまで僕はそわそわとした気持ちで過ごした。




