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24 私と学校生活(4)




お土産にカップケーキを持って私たちは家庭科部を出た。


「入部はいつでも待ってるから!猫宮くんも!」

「ありがとうございました!」


部長も副部長もいい人だったなあ。

今日の体験入部を振り返って楽しかったなあと思う。

部活終わりの廊下はさっきより生徒が少なくて、注目される事なく歩けた。


「猫宮くん、今日は一緒についてきてくれてありがと。」


隣を歩く猫宮くんにお礼を言う。

1人だったら多分心細かったと思う。


「僕が小春ちゃんと一緒に居たかっただけだよ。」

「また、そんな事言ってる。」

「本当の事なのに。」


一昨日より、昨日。昨日より今日。

猫宮くんとの距離は近づいた気がする。

猫宮くんのストレートな気持ちの伝え方には慣れないけど、嫌だとは思わない。

むしろ嬉しく思ってしまう。


このままだと私は本当に猫宮くんを好きになってしまうと思う。

けれど、その後に私が猫宮くんの運命のコハルちゃんじゃないって分かった時が怖い。


「猫宮くんは私のどこが好きなの?」


我ながら恥ずかしい質問をしてしまった。

これじゃ、イケメンに好意を伝えられて浮かれてるアホな女だ。


「ごめん今のなーー」

「とても優しい所。」


質問を取り消そうとしたけど遅かった。


「優しいし、嘘をつけない所。実は寂しがりやで、暗いところが苦手な所も可愛い。

サラサラの髪も好き、声も、匂いも好きだよ。この手も好き。」

「っ、猫宮くん!」


猫宮くんは私の手を取って指先に唇を落とす。

突然の事に私は固まって動けない。


「こうやってまた触れる事が出来るだけで、僕は幸せだよ。」


もう何を言われても頭に入ってこない。

猫宮くんが私をみてゆっくり瞬きをしてくる。


「これ、恥ずかしいから……。」

「ごめん、調子乗っちゃった。」


唇が触れた指先が熱い。

ドキドキと心臓が高鳴って世界がぐるぐる回ってる。

猫宮くんは手を離して言う。


「帰ろっか?」

「うん。」


帰り道駅まで送ってくれた猫宮くんの顔を私は一度も見れなかった。

家に帰っても胸の高鳴りは収まらず、布団に俯して足をバタバタさせる。


どうして


そればっかり頭に浮かぶ。私が本当に運命のコハルならいいのに。

猫宮くんの記憶を頑張って探してみたけれど、思い出せない。

そもそも会ってない。はず……。

だから、今猫宮くんにときめいても無駄。

猫宮くんの運命のコハルが他にいるから。


私は大きく深呼吸をして天井を見つめる。


いいなぁ。コハルちゃん。

猫宮くんに一途に想ってもらえて。


好きって言われて好きになるなんて、なんてちょろい女なんだろう。

私は猫宮くんに恋をしてしまっている。

一途にコハルを想い続ける彼に、優しい彼に。


私じゃないコハルに恋をしている彼が好きだ。


人を好きになるのは初めてじゃないけど、

こんなにも切ない想いをするのは初めてだった。





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