23 私と学校生活(3)
「カップケーキを作るって言っても、ただ混ぜるだけの簡単な作業なの。紗倉さんはバターと砂糖を白っぽくなるまで混ぜてもらっても良い?」
「はい!」
そう言って私は部長から泡立て器と材料が入ったボウルをもらう。
「じゃあ、猫宮くんは卵2個を割って溶き卵を用意してもらえる?」
「はい。」
あれ、そういえば猫宮くんは料理とかできるのかな?
バターを混ぜながら猫宮くんの様子をみると、卵を難なく割って溶き卵を作れていた。
「猫宮くんは料理とかするの?」
「ん?しないよ?」
「それなのに家庭科部ついて来てくれたの?」
ただ私に合わせてついてきて来た猫宮くんに申し訳なく思う。
「私は料理とか結構好きだから良いけど、猫宮くんは別にそうじゃないでしょ?」
「そんな事ないよ?小春ちゃんが料理をしている姿も見れたし。今すごく楽しい。」
そう言って笑う猫宮くんを見て、私だけじゃ無くて、部長や副部長も頬を染めていた。
イケメンってただいるだけで罪な気がする。
「白っぽくなったら、溶き卵を3回に分けて入れて混ぜ合わせてね。
猫宮くんが私のボウルに溶き卵を入れてくれる。
私はそれをただ混ぜるだけ。
「後はこのふるった小麦粉とベーキングパウダーを入れて、さっくり混ぜる。」
副部長が私にゴムベラを渡してくれたので、言われた通りさっくりと混ぜる。
「紗倉さん手際いいね。お家でおやつ作ったりするの?」
「あ、たまに、本当たまに作ったりします。」
「この部活ではおやつ以外にも簡単な料理や、後は裁縫。服を作ったりするの。文化祭では作った服を着ておやつを売ったりしてるよ。」
「……すごく楽しそう!」
高校の文化祭とか想像しただけでもワクワクしてしまう。
部長や副部長は良い人だし、家庭科部いいかも。
混ぜ合わせた生地をオーブンに入れて、焼き上がりを待つ間、他のグループからも部員が押し寄せてきた。
「ねえ、2人ってどんな関係?」
「付き合ってる?」
「かっこいいけどモデルとかしてる?」
「次一緒のグループになろうよ!」
ほとんどが猫宮くんに対しての質問で、きゃあきゃあと盛り上がっている。
猫宮くんは女の子達の勢いをものともせず
「僕と小春ちゃんは友達だけど、僕が小春ちゃんに片想いしてるんだ。ね、小春ちゃん?」
「えー!なにそれ!」
「どうして付き合わないの!?私貰っちゃうよ!?」
「こら、2人の事は2人に任せてちょっかいりかけない!みんな自分の机に戻って!」
さらに盛り上がろうとしてた部員達を部長がなだめてくれた。
「ごめんね。この部男子いないから、つい盛り上がっちゃって。」
「だってこんなイケメンだもん。みんな興奮しちゃうよね。」
話しながら焼き上がったカップケーキをひとつずつ取り出す。
甘くていい匂い。
「冷めたら生クリームを上に乗せて完成だよ。」
お皿の上に並べたカップケーキをみて、出来上がりに満足する。
「早く食べたいね?」
「うん!上手にできたと思う!」
無意識にテンション高く返事をしてしまって恥ずかしくなる。
「ごめん、なんかテンションあがっちゃって…。」
「ううん。元気な小春ちゃんも可愛い。」
「君たち本当に付き合ってないの?」
猫宮くんのそのストレートに言ってくるのどうにかならないかな?
恥ずかしくてたまらないんだけど……。
出来上がったカップケーキには猫宮くんが生クリームを乗せた。
「お、上手だね!」
「ありがとうございます。」
「ねえ、記念に私のも乗せて!」
「私のも!」
1人、また1人自分のカップケーキを持って来て猫宮くんに生クリームを乗せてもらう。
気付くと長蛇の列が出来ていた。
「もう、みんな…。」
「お願い部長!2人の邪魔はしないから思い出だけでも!」
部長は何か言いたげに私を見て来たけど、どう返せばいいか分からなかったから笑っておいた。




