19 僕と学校生活(4)
「そもそもなんでこはるんがアンタの運命なのよ!」
お弁当を食べ終わった里奈が聞いてくる。
小春ちゃんの猫で、神様に人間にしてもらったんだとか言っても絶対信じないだろうな。
「僕がとても小さい頃の話なんだけどね、僕が怪我をして困っている所に、小春ちゃんが来て助けてもらったんだ。」
「こはるん覚えてる?」
「ごめん、全然覚えてない……。」
申し訳なさそうに答える小春ちゃんにちょっと罪悪感を覚える。
それは僕が猫だった時の話だから、覚えてないのも当然なんだけど。
「ううん、大丈夫だよ。すごく昔の話だから。」
「それ本当に小春なのか?小さい頃なら記憶違いって事もあると思うぜ?」
「それは小春ちゃんで間違いない。」
小春ちゃんの顔も匂いも声も忘れた事なんてないから。
「それでたまたま同じ学校の同じクラスになったってこと?」
「そう言う事。それこそ運命を信じて舞い上がっちゃう気持ちもわかってくれるよね?」
「分かるような気もする。」
やっぱり小春ちゃんは優しいな。大好きだ。
「ごめんね本当に覚えてなくて。」
「本当に気にしないで。僕はこうやって会えただけで幸せだから。」
「なんか話が出来すぎてる気がする……。本当にストーカーとかじゃないの?」
「僕はそんな陰湿な事する必要ないでしょ?」
「確かにその顔ならな。羨ましいぜほんと」
里奈はまだ疑いの目で僕の事を見てくる。
「僕こそごめんね。最初にあんな事言って。もう忘れて構わないから、これから友達として仲良くしてくれる?」
「うん、もちろんだよ!」
初めて小春ちゃんがちゃんとした笑顔を僕に見せてくれた気がする。
あぁ、この顔が見たかったんだ。
昔から変わらない笑顔に心があったかくなる。
その余韻に浸っていると、今僕が座っている席の主、木村くんが帰ってきた。
「次は移動教室だから、そろそろ行かないとだよ。」
「あぁ、そうだね。」
「木村くん席借りてた。ごめん。」
僕は立ち上がって木村くんに席を返す。
「いや、気にしなくていいよ。それより喧嘩しないで仲良く出来たかな?」
「ちょっとなんて私を見るの!」
また里奈が怒り出す前に僕は教科書を取りに戻る。
小春ちゃんと少しでも一緒に過ごせる事が今はとても嬉しかった。
「猫宮いくぞー。」
「うん、今行く。」
颯太に声をかけられて僕は教室を出る。
前を歩く小春ちゃんの後ろ姿はとても愛らしかった。
その後の授業も退屈しながら過ごし、帰宅する時間になる。
終了のチャイムと同時に立ち上がり小春ちゃんの席へ向かう。
「お、猫宮ちょうどいい所に!」
「どうしたの?」
小春ちゃんに声をかける前に颯太に肩に手をかけて話しかけられる。
今日の昼からやけに距離か近い気がする。
「俺今からバスケ部行くんだけど、猫宮もこねえ?背高いやつ大歓迎だって。」
「うーん、僕あんまり部活動に興味ないんだよね。」
やんわり肩にかけられた手を話して断る。
颯太は残念そうな顔をして、次は小春ちゃん達に声をかける。
「そうか。残念だな。小春と里奈は見学来るよな?マネージャーの!」
「うん行くよ!」
「里奈が行くなら、せっかくだし見学だけ行こうかな?」
「僕も行く。」
小春ちゃんが行くなら僕も行く
「みんなが行くなら僕も行ってみたいな。」
そうして僕は小春ちゃん達とバスケ部の見学へ向かった。
そもそもバスケって知識として知っているだけで、実際にはみたことがなかった。
知っておくのも悪くないかな。




