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三題噺もどき2

遅起き

作者: 狐彪

三題噺もどき―にひゃくはちじゅう。

 


 ぼんやりとした、視界の中に。

 枕と、お気に入りの動物の人形の間に落ちた、スマホの角が見えた。動物……カワウソって海洋生物なのかな……?でもまぁ動物だよな。

 いつも枕の上に置いているのだが、ここ最近は毎度のようにこの隙間にいる。

「……」

 大き目の枕を使っているせいだろうか……。

 最近新しくした。あまり寝心地が良いわけでもなかったりする。

 いやぁ……首コリが少々ひどいもので、変えてみたんだが…正直あまり変わらない。

「……」

 ただまぁ、寝転がったままでスマホをいじったりする際には楽な姿勢を保てる。

 若干傾斜がついているのだが、それが良い感じにフィットするのだ。横を向くときは丁度いい高さだし。

「……」

 まぁ、それはスマホをいじっている時の利点であって、寝る際の利点ではないが。

 首コリはよくなったどころか、悪化している気がしなくもないし。

 酷いと頭痛がするだろう?あれが、ここ最近酷くなりつつあるのだ。

 原因がそれだけにはないしにしても、あんまりだよなぁ。

「……」

 これから梅雨の時期になってくると、低気圧も重なってくるから、それまでにどうにかしたかったのだが。

 まぁ、最悪薬でも飲めばいいし、耐えられないかといえばそうでもない。

 もう、頭痛とは長い付き合いだし、昔は頭痛薬なんてものがあるって言うのも知らなくて耐えることが当たり前なものだったから……慣れてしまった。

「……」

 実のところ、現在進行形で頭痛はしているのだが。

 今更、どうもこうもない。

 薬飲む程でない限りは、無駄な抵抗というやつだ。

「……」

 それより、今朝はアラームの音を聞いていないが、今は一体何時なのだろう。

 枕とカワウソ人形(割とお気に入りの可愛めのやつ)の間に落ちるせいか、切った覚えもないのに、アラームが聞こえてこない日々が続いていたりする。

「……」

 しかし不思議と仕事がある日は、目が覚めるしアラームの音がしかと聞こえるのだ。

 平日休みの不定休だから、体内リズムとかではなさそうだが。

 きっと無意識で、今日は仕事だ明日は仕事だ明後日は休みだとか、グダグダ考えているんだろう。それが朝起きることができるかできないかの原因だろうな。

「……」

 アラームが聞こえなかった今日は休みだったと思うのだが。

 はてさて……先に行ったように平日休みなので、他の皆は出払っているはずだ。

 その辺はなんとなくわかる。いつも。気配って不思議とわかる。

 ……あぁ、これは言っていなかったが私は実家暮らしだ。全員が働き手の我が家。

 私以外は基本的に土日休みなので(羨ましい)、平日休みの時は大抵1人になる。

「……?」

 ん……。

 しかし、リビングから人の気配がするのは気のせいか?

 ガサゴソと何かを漁っているようにも聞こえるが。

 というか、普通にテレビの音がしている。点けっぱなしで出たのか…?

 いや、そんなことはしないはず―――

「……ぁ」

 漏れたその声に、思っていた以上の不愉快が滲んでいて、自分でも驚いた。

 こんな低い声出るのかぁ……。

 人前であまり、そういう、不愉快とか不機嫌とかでないから。

 1人でいるときに、こうやって漏れて驚く。

 自分で自分に。

「……はぁー……」

 どうせ、アイツには聞こえやしないから大き目の溜息が漏れる。

 そういえば、そうだった。

 少し前から、親戚が1人、我が家に泊っている。

 なぜかは忘れたが……。

「……」

 どうも、苦手で仕方ないのだ、あれは。

 一緒に居ると疲れると言うか、イライラする。

 何がってなぁ……言動がもう既に私の許容を超えている。うるさい上にデリカシーがない。

 親戚とは言え、私はもう赤の他人だとすら思っている。そういう人間が我が家で、我が物顔で暮らしていると考えてみて欲しい……嫌じゃない?

 一つ屋根の下で、何十年も一緒に暮らしている家族とは、訳が違う。

「…っあー…」

 リビングに行くことすら面倒になってきた。

 正直、喉が渇いたし少々腹も減っているのだが。

 スマホをつかみ、時間を見れば、もう昼前と言われても過言ではない時間だ。思っていたより寝ていたようだ。

 そりゃ、アラームにも気づくまいよ……。

 アイツのせいで、メンタルに少々ボロが出ているのだろう。その上、普通に仕事で体力削っているし。疲れがたまっている。

「……」

 あーもういいか。

 このまま昼過ぎまでスマホでもいじっておこう。

 リビングに行って、絡まれるよりはマシだ。あれと絡む方が面倒で仕方ない。

「……」

 どうせ、昼食の頃合いになれば、声を掛けてくるはずだ。

 確か、母が今日は外食で済ませてくれと言っていたから、弁当も何も置いていないはずだし。

 腹が減ったから、早くどこかに連れて行けとでもいうように、大声で私の名を呼ぶだろうよ。

「……」

 はぁ……。

 今日のところは、家にあるもので適当に済ませて欲しいものだ。

 外はまだ五月だと言うのに、夏日もいいところな暑さだったていうのに。

 こんな、夏真っ盛りの日みたいなときに、外出なんてしたくない。まして休日だ。家でゴロゴロして何が悪い。

 外に出たら、体力がギリギリと削られるのが目に見えてる。

「……」

「……」

「……」

 全部面倒になってきた。

 二度寝でもするか……。



 お題:不愉快・動物・夏

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― 新着の感想 ―
[一言]  厚い枕は肩こり首こりの元なので、タオルやスポーツタオルを丸めて自分に合う高さにして枕にするのが良いかと。  私は敷布団の下に500ミリペットボトルを置いて少し低い感じです。
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