はじめに
私は多少クセの強い家庭育ちではあるものの、両親や祖父母にごく普通に愛されて育ったロクデナシ女(28)である。そして現在、2歳年上のお姉さんとともに、そこそこ幸せに暮らしている。
お姉さんのことを、ここでは「花子」とし、大変な機能不全であった彼女の家庭のこと、出会いや共同生活のことを、少しずつ綴っていこうと思う。
花子は、『機嫌が悪いとすぐに子供に暴力を振るう父』と『ヒステリックかつうつ傾向の強い母』という、なんと始めから崩壊寸前の両親のもと、関西地方某所に生まれた。
祖母は花子の面倒を両親よりはよく見ていたが、彼女もまた不良上がりでまあまあロクデナシであった。阪神淡路大震災より間もなく、炬燵の中で冷たくなっているのを花子が発見した。
母は花子が5歳の頃に彼女抱えて飛び降り自殺を図るも未遂に終わったが、そののち、花子が小学生の頃にトイレットペーパーを買いに行ったきり戻らなかった。実家の近くで首を吊って死んでいたのだ。
母が生きていた頃は、母親として完全に機能はしていないものの、遊園地に行ったりクリスマスにはケーキを食べたりしていた。もっとも、父が遊園地の帰りに癇癪を起こして花子を駅のホームに叩きつけたり、クリスマスケーキに花子の顔面を突っ込んだりしていたため、手放しに幸せとは言えなかっただろう。
母が死んでからも花子は父と暮らしていたが、彼は1ヶ月ほど家を空けることがザラにあった。小学生の娘が家にいるというのに、ひとつも帰らないのだ。
花子はその間、家では氷砂糖を舐めてなんとか生き延びていた。給食費などは納めておらず、同情してくれる友人や、時には他人に食料を恵まれながら生きていた。
父が時々連れて帰ってくる愛人が花子に綺麗でかわいらしい洋服を与えたが、ある日それを着て歩いていたら誘拐されかけたため、二度と着なくなった。
父は、誰よりも花子に何も与えなかったのである。
私の持論だが、幼い子供を幸せにできない時点でそれは『親』だの『家族』だのとは言えない存在だと考える。ただ血を分け合っただけの人間。そしてそこに暴力が加わっているのなら、それは『加害者』以外の何者でもない。
花子は、加害者とともに幼少期を過ごしていたのだった。
世の中には毒親と呼ばれる人、機能不全家族、それらに想像を絶する被害を受けた人たちがたくさんいます。
私は花子との出会いを通して、その現実を近くに感じて胸を痛めてきました。
私の綴るエッセイが、少しでも皆様の心に響いたら幸いです。
のんびり更新になるかとは思いますが、よろしくお願いします。




