だからこうなる前に死にたかったんだ。
ウィルス的な何かでこんなに辛いものなのか、ただの疲労なのか、それとも、老化なのか。
ただ、そのうち、こうなることはわかっていた。
人間は時間が経つにつれて、いずれこうなることは、皆、知っているはずだ。
知っていて、無視しているのか。
知っているけど、逆らえないので、どうしようもないのか。
自然と眠くなってくる。
回復するためには、寝ないといけないのはわかるが、寝たら寝たで大変なのだ。
体力は回復するのが、自然と汗を掻く。
その結果、脱水気味となって起きると、喉に大ダメージを受けている。
一時的に体力は回復するものの、またすぐに症状は悪化する。
そんなことが、ここ二週間くらいずっと続いている。
がんばれ、俺の免疫系。
己に語りかけたところで、良くなる訳でもない。
病は気からと言うけれど、明らかに気だけでは済まされない。
頭が痛い。
熱がある。
喉が痛い。
倦怠感がある。
その昔、倦怠感というものが何かわからなかった。
なんだか、言ってるやつが格好つけているだけだとすら、思っていた。
でも、今ならわかる。
ちょー、だるい。
俺の言葉で、表現するとそうなる。
もう、どうにもならないレベルだ。
だから、こうなる前に死にたかったのだ。
でも、その前に死ぬ勇気もなかった。
ふらふらになりながら、立ち上がり、冷蔵庫を開けるも何もない。
一人暮らし。
頼れる家族や友人はいない。
頼りになるのは自分だけだ。
自分でなんとか、しないといけない。
スポーツドリンク系の飲み物と喉に良い飴が欲しい。
近くのコンビニに買いに行こう。
シャワーも浴びずに、ジャージを着て、外へ出る。
すぐに雨が降ってきた。
この体調の悪さに、良い訳がない。
身体の調子さえ良ければ、軽くは走っていくのだが、その気力も体力もない。
しかも、結構、強くなってきた。
隣を車が通り抜けていく。
いっそのこと、飛び出して撥ねられてやろうか。
そうすれば、あっさり死ねるだろうか。
そうなるなら、その方が楽だ。
いや、下手に死ねずに、重症を負って、車椅子生活になったら、もっと面倒くさい。
どうせ右肩下がりの人生なのだ。
あぁ、早く死んでいれば、こんな思いしなくても済んだのに。