表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/90

第9話

「二人とも、見つめあって、どうかしたの?」

 不思議な顔をしながら、のはらは言った。

 さなぎはいつの間にか、その視線を二人の握っている手と手から、自分を見つめている優しいのぞみさんの目にうつしていた。

「あ、え、えっと、あの、ご、ごめんなさい!」

 なぜかわからないけれど、さなぎはそう言って、のぞみさんにあやまった。

「ふふ。別にあやまることではないわ。さなぎちゃんはなにも悪いことしてないもんね」とにっこりと笑って、さなぎの頭を麦わら帽子の上から、もう一つの手で優しく撫でながら、のぞみさんはそう言った。

 それからのぞみさんは「少しやらなくちゃいけないことがあるから、ごめんね」と言って、家の奥に戻っていった。

「わかった」とのはらはいう。

 さなぎはそんな去っていくのぞみさんの後ろ姿をただ、黙ったままじっと眺めていた。


「はい。どうぞ」

 そう言ってのはらは冷たい麦茶をさなぎに出してくれた。(麦茶の入っているコップは透明な竹の模様が描かれているコップだった)

 森の中を歩き回っていたさなぎは(全身に)汗をびっしょりかいていた。

「どうもありがとう」

 そう言ってさなぎは麦茶をごくごくと(両手で透明なコップを持って)飲み干した。

「あら、ずいぶんと喉が乾いていたのね」と笑いながらのはらはいう。 

「美味しい」とのはらを見て、目を大きく見開いて驚いた顔をしているさなぎはそう言った。(本当に美味しかった。この麦茶には、喉が渇いている以外の理由があるような気がした)

「水が違うのよ」と(自慢げな顔をして)のはらはいう。

「この麦茶。もしかしてさっきの井戸の水を使っているんですか?」とさなぎは言う。

「そうよ。この家で使っている水は全部、井戸から汲み上げた地下水を使っているの」とのはらはいう。

 のはらは自分のために用意した透明なコップ(のはらのコップには笹の模様が描かれていた)の中に入っている麦茶を一口飲んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ